ロジザード Research Memo(9):2028年6月期に売上高3,113百万円、営業利益539百万円を目指す
1. 中期経営計画の概要
同社は、製品開発及び人材への積極的な投資を通じて、事業規模の拡張と業績の加速を目的とした中期経営計画を推進している。「時流×ハイタッチサービス」を基本成長戦略に掲げ、業績の拡大と企業価値の向上を図る基本方針に変わりはない。ここでいう「ハイタッチ」とは、顧客との密接な1対1のコミュニケーションを通じて課題や要望を緻密に汲み取り、個々のニーズに最適化された支援を提供するサービスを指す。最終年度である2028年6月期には売上高3,113百万円(2025年6月期比43.0%増)、営業利益539百万円(同31.8%増)、MRR209百万円(同40.5%増)を目標に据える。
売上高については、クラウドサービスをけん引役として、BtoB企業への取り組み強化を通じたMRRの安定成長に取り組む。また、次期中期経営計画を視野に入れた新規サービスの市場投入を現中期経営計画期間中に実施し、多様な顧客ニーズに対応することで受託開発売上の伸長と成長スピードの加速を図る。営業利益については、2026年6月期は、人材採用投資を加速するため一時的な減益を見込んでいるが、2027年6月期以降は、採用人材の戦力化による増収と利益率の改善を計画している。MRRについては、従来のBtoC企業からの案件に加え、BtoB企業案件の獲得により、堅調な積み上げを見込んでいる。
新中期経営計画の方向性は、外部環境の変化を反映した適切な内容となっている。クラウドサービスによる高収益かつ安定した収益基盤の確立、BtoB案件の増加に伴う顧客単価の上昇が見込めることなどから、中長期的な成長が期待される。
2. 成長戦略
(1) BtoB企業への取り組み強化
人口減少に伴う労働力不足と需給ひっ迫による賃金上昇により、企業には省人化・自動化が求められている。同時に生産性向上のためのDXが不可欠であるが、老朽化したレガシーシステムが推進の阻害要因となっている。こうしたなか、経済産業省が公表する2025年4~6月の「卸売業、小売業、無店舗小売業(通販)販売額の推移」に着目すると、2025年4~6月の小売業の販売額は38,679億円と前年同期の40,641億円から微減している。一方、企業間取引である卸売業は116,173億円に達し、前年同期(109,018億円)から大幅に拡大した。また、無店舗小売業の販売額も3,904億円(前年同期は3,001億円)と、購買チャネルの多様化とテクノロジーの進展を反映して着実に伸長している。同社はこうした環境変化を好機と捉え、これまでの知見を活用し、物流の2024年問題※1やレガシーシステム課題に直面するBtoB及びBtoC企業に対するサービス展開を加速している。特に、出荷量が多くOMOやロボティクス、RFID※2等の高度なソリューションニーズが高い大規模BtoB企業を強化領域として掲げ、拡大する市場課題の解決を通じてさらなる成長を目指す。
※1 働き方改革関連法により2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が年960時間に制限されることから、物流の遅延や人手不足が生じる。
※2 Radio Frequency Identificationの略。小型のICタグ(RFタグ)に記録された情報を、電波や磁界などの無線通信で読みとる技術。電波が届く範囲であれば遠くのタグの読み取りが可能で、複数のタグを一括スキャンできる。
(2) 共創型モデルによるアプリケーションプラットフォームの提供
共創型モデルによるアプリケーションプラットフォームとは、生成AIの普及により誰もが容易にアプリを構築できる時代背景に対応した構想である。「ロジザードZERO」を中核に、社内外のベンダーが同社のデータベースを活用したアプリをプラットフォーム経由で提供できるようにすることで、利便性の向上を目指す。対象範囲、社会的意味、社会的影響という3つの領域で新規サービスを開発し、サプライチェーンにおいてなくてはならない存在を目指す。
(3) ハイタッチサービスを推進するための人材投資
ハイタッチサービスを推進するための人材投資として、2028年6月期に177名(2025年6月期比45名増)まで拡充する計画である。業務効率を高めるために組織・体制を整備し、AIを業務に活用して各人の作業効率を引き上げる。事業運営力向上を狙った組織改革として、全社の工数を高頻度で分析しデータに基づく業務改善を推進する業務プロセス改革室を新設し、業務DXによる効率化を進める。また、契約事務を集中処理してフロント業務の負荷を軽減し、処理精度向上と業務フローの確立を担う契約事務課を新設した。これらの施策により個人及び組織の業務効率を引き上げ、営業現場がより案件獲得に集中できる環境を整える。
3. 弊社の見方
同社の成長戦略は、クラウド型WMSを中核としたサブスクリプションモデルにより、安定した収益基盤を築いている点に特色がある。中期経営計画では、2028年6月期に売上高3,113百万円(2025年6月期比43.0%増)、営業利益539百万円(同31.8%増)、MRR209百万円(同40.5%増)を目標として掲げており、売上高・営業利益・MRRのいずれも着実な成長軌道となっていることが確認できる。特にMRRはサブスク事業の将来性を示す重要指標であり、長期的に積み上がる予測可能な収益は、景気動向に依存しない安定的な経営体質の確立に寄与している。
同社の強みは、単なるシステム提供にとどまらず、ハイタッチサービスによる伴走支援を通じて高い継続率を実現している点にある。既存顧客からのアップセルや追加機能の提供により収益性を高めつつ、BtoB領域での新規導入によってMRRの拡大を継続している。労働力不足が加速する物流業界のDXの需要は構造的な追い風であり、同社のクラウド型WMSがその受け皿となる構図は今後も継続すると弊社では見ている。
一方で、2026年6月期は採用や教育といった人材投資を強化することから、短期的な営業利益は減少する見通しである。しかし、これはサービス品質の向上と顧客満足度の向上につながり、結果として解約率を低下させる効果を持つと弊社では考える。中長期的にはAIやデータ活用を組み込んだ新サービス開発や共創型プラットフォームの展開を進め、サブスク基盤の上に新たな収益源の積み上げが期待される。
総じて、同社は短期的な収益変動を許容しつつも、サブスクモデルによる安定収益とBtoB市場拡大の成長機会を背景に、持続的成長に対する蓋然性は高いものと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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