Jトラスト Research Memo(2):アジアの総合金融グループとして成長
1. 事業内容
Jトラスト<8508>は、国内外の金融事業などの事業会社を統括するホールディングカンパニーである。日本で培ったノウハウを海外展開し、アジアの総合金融グループとして成長を遂げてきた。同社グループは、日本金融事業・韓国金融事業を基盤に、東南アジア金融事業をけん引役として持続的な利益拡大を目指してきたが、コロナ禍による世界的な経済環境の悪化に直面したことから、2020年12月期よりいち早く抜本的な事業ポートフォリオの再編に踏み切った。その結果、2021年12月期に黒字転換して以降、事業ポートフォリオの見直しを行いながら営業利益を継続的に計上している。
同社は、銀行、保証、サービサー(債権回収)の3つを「コア事業」として金融事業を展開している。代表取締役社長の藤澤信義(ふじさわ のぶよし)氏による2008年のTOB以降、数々のM&Aによりグループの業容を急速に拡大させ、資産合計は2008年3月期末の12,189百万円から2025年12月期末には1,319,072百万円に拡大した。
2025年12月期の事業セグメント別営業収益の内訳は、東南アジア金融事業36.9%、韓国金融事業35.0%、日本金融事業15.3%と金融3事業で87.2%を占めており、不動産事業12.7%、投資事業0.2%、その他(主にシステム事業)0.5%であった。
2. 沿革
同社の旧商号は「株式会社イッコー」である。中小企業及び個人事業主向け商業手形割引や手形貸付などの貸付業務を行っていた。1998年9月には大阪証券取引所市場第2部に上場した。2005年に全国保証<7164>が同社の親会社になったのち、2008年3月に藤澤氏がTOBにより筆頭株主となり、2009年には商号を現在の「Jトラスト株式会社」に変更し、債権回収会社やファイナンス会社などに対して機動的かつ効果的なM&Aを実施した。一方、リスク管理を基本とした事業運営を軸に外部環境の変化に的確に対応するとともに、迅速な意思決定ができる経営体制を目指し、2010年には様々な金融事業のノウハウを有する持株会社制に移行した。
2011年6月に大阪から東京都港区に本社を移転し、国内において蓄積したファイナンスノウハウを生かして海外展開を進めた。2012年に韓国で貯蓄銀行業を開始し、2013年に東南アジアの投資拠点をシンガポールに設立した。2014年3月期から2015年3月期にはライツ・オファリングで調達した976億円を活用し、韓国におけるファイナンス会社や貯蓄銀行、インドネシアの商業銀行などを取得した。2019年8月には、カンボジアの優良銀行であるANZ Royal Bank (Cambodia) Ltd.の株式55%を取得し、商号をJ Trust Royal Bank Plc.(以下、Jトラストロイヤル銀行)に変更した。2019年3月期には、東南アジア金融事業及び投資事業において不良債権の抜本的処理を断行して大幅な営業損失を計上し、業績回復への道筋をつけた。
2020年に入り世界的なコロナ禍による経済環境の激変に遭遇し、不動産事業ではキーノート(株)、日本金融事業ではJトラストカード(株)、韓国金融事業ではJT親愛貯蓄銀行(株)及びJTキャピタル(株)を売却するなど、抜本的な事業ポートフォリオの見直しに着手した。しかし、その後の経済・社会環境の落ち着きに伴い資産のキャッシュ化を急ぐ必要性が薄れたことから、将来的な成長が見込めると判断したJT親愛貯蓄銀行及びNexus Card(株)(旧 Jトラストカード)を2022年4月にグループへ再編入した。また、新たにJトラストグローバル証券(株)(旧 エイチ・エス証券(株))を子会社化し、2023年2月には不動産会社のミライノベートを吸収合併した。なお、本社機能の強化と業務効率化を図るため、2022年12月に本社を東京都渋谷区に移転した。
■業績動向
2025年12月期は日本金融事業が大きく貢献し、営業利益は大幅増益
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、営業収益124,265百万円(前期比2.5%減)、営業利益10,902百万円(同71.6%増)、税引前利益11,633百万円(同34.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,939百万円(同31.4%増)となった。営業収益は、銀行業の収益減及び販売用不動産における販売収益の減少などにより減収となった。しかし、利益項目は日本金融事業の成長と韓国金融事業及び投資事業の改善により、大幅な増益であった。期初予想比では、営業収益は銀行業の収益減と販売用不動産の売却の期ずれにより、未達であった。また、営業利益及び税引前利益も小幅な未達であったが、親会社の所有者に帰属する当期利益は法人所得税費用の減少により予想を大きく上回った。事業セグメント別営業利益では、日本金融事業、韓国金融事業と投資事業が計画を上回って着地し、連結業績をけん引した。一方、東南アジア金融事業は貸倒関連費用が増加して減益となり、不動産事業とともに計画を下回った。金融3事業では、好調な日本金融事業、韓国金融事業が、東南アジア金融事業の減益を補った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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