ブロードエンター Research Memo(2):「BRO-ZERO」を強みに、物件の価値向上を支援
1. 会社概要
ブロードエンタープライズ<4415>は、「不動産オーナーのキャッシュ・フローを最大化する」をミッションに掲げ、マンション向け高速インターネット「B-CUBIC」「B-CUBIC Next」、IoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」、内装リノベーション「BRO-ROOM」、外壁・修繕工事「BRO-WALL」を展開している。加えて、スマートカメラなどの各種IoTデバイスを提供し、物件価値の向上を実現している。初期導入費用ゼロ円を実現した独自のファイナンススキーム「BRO-ZERO」はオーナーの初期投資負担を解消する強力な顧客獲得ツールとなっており、同社の競争優位性を支えている。
2000年に、代表取締役社長である中西良祐(なかにしりょうすけ)氏が同社を創業した。2003年に西日本電信電話(株)(NTT西日本)の光ファイバー回線「Bフレッツ」の販売代理事業を受託した後、マンション向けインターネットサービス事業に参入した。その後、2005年にマンション向け高速インターネット「B-CUBIC」、2019年にIoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」、2023年に契約期間の拘束を排した「B-CUBIC Next」、内装リノベーションサービス「BRO-ROOM」を開始した。さらに、2024年には特定建設業許可を取得し、外壁塗装・修繕工事「BRO-WALL」の提供を開始するなど、事業領域の多角化を進めてきた。
サービス提供地域も順調に拡大し、2005年の東京進出を皮切りに、福岡、名古屋、横浜・神戸・広島※に支店を開設した。現在は北海道から沖縄までを網羅する全国的な提供体制を構築している。
※ 横浜・神戸は2024年に東京・大阪へ統合。名古屋は2025年に閉鎖。
2. 収益構造
同社の収益構造は、インターネットサービスの提供、宿泊施設運営によるストック収益モデルと機器・IoTデバイスの販売・施工、内装・外装施工によるフロー収益モデルで構成される。
「B-CUBIC」「B-CUBIC Next」の保守運用から得られるストック売上が収益基盤の安定に寄与する一方、「BRO-LOCK」、各種IoTデバイス、「BRO-ROOM」「BRO-WALL」「B-CUBIC Next」の販売・施工に伴うフロー売上によって、安定した収益基盤と高い売上成長の両立を可能にしている。とりわけ、2023年に開始した「B-CUBIC Next」「BRO-ROOM」の提供が、フロー売上高に厚みを持たせた。
こうしたフロー売上の成長を支えるのが、独自のファイナンススキーム「BRO-ZERO」である。債権流動化を活用することで、オーナーは物件への設備導入に伴う初期費用の手元の資金負担が不要となる。この仕組みが導入障壁を解消するため、フロー収益の獲得が進んでいる。
3. 事業内容
(1) 「B-CUBIC」「B-CUBIC Next」
「B-CUBIC」は、マンションの全居室へインターネット環境を一斉導入する「全戸一括型」サービスである。オーナーはサービス導入により空室対策が可能となる。債権流動化を活用した「初期導入費用ゼロ円プラン」は、同社の競争優位性を支えるスキームである。加えて、契約期間の拘束を排した「B-CUBIC Next」の提供が導入障壁を大幅に下げ、他社との差別化及び優位性を確立した。同サービスを起点に各種IoTデバイスの提供も展開しており、累計導入棟数は2024年末の9,208棟から2025年末には10,293棟まで拡大した。
(2) 「BRO-LOCK」
「BRO-LOCK」は、マンションのエントランスをオートロック化する顔認証付きIoTインターフォンシステムである。顔認証、ICカード、QRコード、時限式暗証番号など多様な解錠方式に対応し、スマートフォンを通じて外出先からの来訪者応対も可能にする。「BRO-LOCK」も「初期導入費用ゼロ円プラン」の対象であり、設置からアフターフォローまでの一貫体制や管理業務を効率化するクラウドサービスの提供により、オーナーや管理会社の負担軽減に寄与している。
(3) 「BRO-ROOM」
2023年7月に開始した、初期投資を抑えつつ戸建ての空き家、集合住宅の空室等の内装リフォーム・リノベーションを実現するサービスである。既築賃貸市場において債権流動化を活用する例は稀であり、他社との明確な差別化要因となっている。提供開始以来、導入実績は1,100室を超えた。
(4) 「BRO-WALL」
物件の修繕・外壁塗装を初期費用不要で可能にするサービスとして、2024年10月に開始した。事業開始にあたり、特定建設業許可を取得し、建築士や施工管理技士等の専門人財を確保した。建築一式工事を直接請け負う体制を整えたことで、2025年末までの導入実績は全国で140棟を超えた。
(5) 各種IoTデバイス
「B-CUBIC」を基盤に、スマートカメラ(セキュリティカメラ)、宅配ボックス等のIoTデバイスをワンストップで提供している。これら周辺デバイスについても「初期導入費用ゼロ円プラン」での導入が可能であり、物件の付加価値向上をトータルで支援している。
4. 市場環境と強み
日本の総人口が減少傾向にあるなか、貸家の新設着工戸数は増加を続けており、空室率の上昇に伴う不動産オーナーのキャッシュ・フロー悪化が顕在化している。こうした環境下で同社は、提供する各サービスを通じて物件のバリューアップを図り、オーナーのキャッシュ・フロー最大化に寄与している。入居者ニーズの高い「インターネット無料」「オートロック」の装備、並びに現代のライフスタイルに即した内装リノベーションは、物件のリーシング能力を直接的に高めるものであり、空室率の改善及び賃料水準の維持・上昇を実現する。
一方、同社の取引先管理会社数は1,005社(2025年12月末時点)となっているが、賃貸住宅管理事業者登録をしている不動産管理会社8,898社(2023年9月末時点、国土交通省調べ)に対するシェアは11.3%にとどまっている。未提携の管理会社は7,893社であり、依然として市場の開拓余地は大きい。
同社は債権流動化の仕組みを既築の賃貸市場に応用し、オーナーの初期投資負担を解消する独自の導入モデルを確立している。ファイナンススキーム「BRO-ZERO」が新規開拓の端緒となり、さらなる顧客層拡大への寄与が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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