アイリック Research Memo(6):2026年6月期も増収増益で連続過去最高予想
1. 2026年6月期連結業績予想の概要
2026年6月期の連結業績予想は前回予想(2025年8月14日公表の期初予想値)を据え置いて、売上高が前期比19.8%増の11,288百万円、営業利益が同13.9%増の844百万円、経常利益が同12.7%増の848百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.4%増の507百万円、EBITDAが同19.1%増の1,230百万円としており、2ケタ増収増益で連続過去最高予想である。売上面は各セグメントとも2ケタ増収を見込み、利益面は人件費や開発投資などの増加を増収効果やストック売上の積み上げなどにより吸収する。
なお通期予想に対する中間期の進捗率は売上高46.8%、営業利益38.5%、経常利益38.9%、親会社株主に帰属する当期純利益33.1%、EBITDA40.9%とやや低水準の形だが、同社の収益構造として期末に向けてストック売上高が積み上がるため従来から下期の構成比が高い傾向があることに加え、譲受した来店型保険ショップの「保険クリニック」への切り替えに伴う改装関連費用や転籍従業員のリスキリング費用など一時的費用の影響を見込み、当期は期初時点で下期偏重の予想としている。店舗数増加やWebプロモーション効果により「保険クリニック」の来店数・成約件数が増加基調であること、ソリューション事業及びシステム事業では期末に向けてストック売上の積み上げが進展すること、そして中間期の各利益が予想を大幅に上回ったことなどを勘案すれば、通期ベースでも好業績が期待できると弊社では考えている。
2. セグメント別の予想と重点施策
セグメント別の予想は、保険クリニック事業の売上高が前期比18.5%増の5,675百万円で営業利益(全社費用等調整前)が同18.7%増の731百万円、FA事業の売上高が同21.0%増の2,170百万円で営業利益が同26.7%増の89百万円、ソリューション事業の売上高が同21.4%増の1,789百万円で営業利益が同12.2%増の644百万円、システム事業の売上高が同20.8%増の1,653百万円で営業利益が同38.1%減の92百万円としている。システム事業は開発投資の増加により減益を予想するが、保険クリニック事業、FA事業、ソリューション事業はいずれも2ケタ増収増益の予想である。
重点施策として、保険クリニック事業の直営事業ではWeb広告による効率的な集客の強化、コンタクトセンターからのアフターフォローコールの強化、譲受した店舗の早期の収益性改善、「保険IQシステム」などによる人材育成体制の強化、スクラップアンドビルド実施による収益性向上などを推進する。保険クリニック事業のFC事業では効率的なプロモーション実施によるFC店への送客強化、FC加盟店・店舗数の継続的な拡大に向けた新規リクルート活動や店舗運営指導の強化などを推進する。FA事業のうち同社のFA事業部では法人向けコンサルティングサービスの積極展開、業務提携先の深耕による提案先の拡大など、LAの訪問販売事業では訪問販売チャネルの採用強化、教育体制強化による生産性の向上などを推進するとともに、IFAとしての成長を目指して同社FA事業部とLA訪問販売部門の融合・シナジー創出を推進する。
ソリューション事業では、大手金融機関向け「AS」シリーズや「AI-OCR」等の大型案件の取り込み、保険代理店向け「AS」シリーズ「AS FiNDER」「職域ロボアド」等のソリューションの拡販など、保険募集人の効率的な業務を支える「AS Platform」導入社数拡大を推進する。加えて、コンテンツ開発・拡充、新規ソリューションの開発(損保版AS-BOX、AIエージェント活用等)、CS(カスタマーサクセス)機能によるデータ利活用や顧客フォロー最適化などを推進する。システム事業では、AIプロダクト・クラウドサービスの継続的な成長に向けて、ダイレクトマーケティングの強化、アライアンスパートナーとの連携強化、AIを活用したプロダクトサービスの拡充、システム投資や組織体制強化などを推進する。
■成長戦略
さらなる成長と資本効率の両立の実現を目指す
1. 3か年計画(2026年6月期~2028年6月期)
市場環境として、年間保険料総額で生命保険マーケットは28兆円、損害保険マーケットは9兆円が払い込まれる巨大マーケットであり、保険販売チャネルについては保険ショップ経由での加入シェアが上昇基調である。また改正保険業法(2026年6月1日施行予定)により乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保などが義務付けられるため、同社にとって損害保険領域への展開など新たなビジネスチャンスが生まれることが予想される。
こうした市場環境の中で同社は、自社開発の「保険IQシステム」を活用して生産性の高い「保険クリニック」を展開するだけでなく、業界唯一の商品比較システムである「AS」シリーズを中心としたソリューションを保険代理店・銀行・保険会社等に対して提供できる強みを持っている。
そして3か年計画(2026年8月期~2028年6月期)ではさらなる成長と資本効率の両立の実現を目指し、最終年度2028年6月期の目標値として売上高15,205百万円、営業利益1,578百万円、営業利益率10.4%、ROE20.0%を掲げている。売上高は全社ベースでCAGR17.3%(セグメント別には保険クリニック事業が18.9%、FA事業が14.3%、ソリューション事業が7.9%、システム事業が24.3%)を想定し、成長投資を吸収しながら営業利益率とROEの向上を推進する。セグメント別の2028年6月期の計画は、保険クリニック事業の売上高が8,046百万円で営業利益(全社費用等調整前)が1,051百万円、FA事業の売上高が2,680百万円で営業利益が157百万円、ソリューション事業の売上高が1,850百万円で営業利益が794百万円、システム事業の売上高が2,628百万円で営業利益が324百万円としている。
主要KPIとして、保険クリニック事業の「保険クリニック」店舗数(直営とFCの合計)は、2025年6月期末の283店舗から2026年6月期末307店舗、2027年6月期末327店舗、2028年6月期末363店舗、さらに2031年6月期末までに500店舗を目指す。直営店の新規出店を加速するほか、FCの新規加盟や既存加盟店舗の拡大、M&Aなどを活用し、重点施策として「保険クリニック」のさらなるブランド力向上(マーケティング強化や新規出店など)、出店スピードに合わせた人材の育成(「保険IQシステム」や配属後の育成プログラムによる未経験者の早期戦力化など)、M&Aで譲り受けた店舗の収益性改善・向上、新たな出店エリアの開拓などを推進する。
FA事業は同社FA事業部とLA訪問販売部門の融合・シナジー創出を推進し、保険領域にとどまらない総合金融企業IFAビジネスの拡大を目指す。ソリューション事業は、生命保険募集人約120万人市場をターゲットとする「AS platform」を核とするプラットフォーム戦略によって「AS」シリーズ等の拡販を推進し、2028年6月期の代理店・銀行向け「AS」シリーズID数10,000、保険会社向けMRR50,000千円を目指すとともに損害保険領域への本格展開を目指す。システム事業はAI-OCRの開発で培った技術を生かし、保険業界以外もターゲットとしてAIプロダクト・AIソリューション戦略を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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