ラクトJPN Research Memo(5):2025年11月期は過去最高業績を更新。構造的な収益力強化が進展(1)
1. 2025年11月期の業績概要
2025年11月期の連結業績は、売上高・各利益ともに前期を大きく上回り、過去最高業績を更新した。売上高は182,816百万円(前期比7.0%増)と、安定した需要を背景に増収となった。売上総利益は12,288百万円(同22.0%増)と大幅に伸長し、売上総利益率は5.9%から6.7%へと改善した。営業利益は5,947百万円(同33.5%増)、経常利益は5,796百万円(同34.2%増)となり、利益成長が売上成長を大きく上回る結果となった。親会社株主に帰属する当期純利益は4,317百万円(同37.2%増)となり、当期純利益率は1.8%から2.4%へ上昇した。
業績拡大の主な要因は、販売単価の上昇や販売数量の増加、商品ミックスの改善にある。販売単価は、乳製品原料を中心とした原料相場高を背景に全体として高い単価水準が維持され、販売数量については、特に食肉食材部門、機能性食品原料部門、アジア事業・チーズ製造販売部門において伸長し、売上成長を下支えした。また、高付加価値商品の拡販と機能性食品原料やアジアでのチーズ製造販売事業の収益性向上が、全社の増益に寄与した。一方で、人件費や物流費の上昇といったコスト増加要因は存在したものの、増収効果と利益率改善により吸収した。前期に計上された一部商品の品質不良に関する受取補償金(営業外収益)を除外しても利益水準は過去最高を更新しており、一過性要因に依存しない構造的な収益力が強化されたと言えよう。
2. 事業部門別の動向
(1) 乳原料・チーズ部門
乳原料・チーズ部門の売上高は118,679百万円(前期比3.9%増)、販売数量は165,501トン(前期比6.2%減)となった。主要な乳製品原料の国際相場は期初より高値圏で推移した一方、物価上昇の影響により食料品全般の需要は想定を下回り、乳原料販売の販売数量は前期比で減少した。チーズ販売についても、製品値上げの影響から小売向けを中心に需要は引き続き低調に推移した。しかし、販売単価が前期を上回る水準で推移したことから、売上高は前期比プラスで着地した。また、市場が拡大しているアイスクリーム関連原料や高たんぱく製品向け原料の販売は堅調に推移している。
同部門では、数量面では伸び悩んでいるように見えるものの、商品ミックスの中身は変化している。従来は、脱脂粉乳に砂糖等を混合した乳調製品などの汎用品が主力で、物量は稼げる一方、利益率は相対的に低かった。しかし近年、アイスクリーム向けの脂肪系原料など、利益貢献度の高い商品の拡販により利益率が改善傾向にある。また同社は既に輸入シェアが高い商材を多く有する一方、一部シェアが相対的に低いアイテムについては、今後の重点拡大分野として位置付けている。
(2) 食肉食材部門
食肉食材部門の売上高は22,770百万円(前期比4.5%増)、販売数量は32,794トン(前期比3.0%増)と、売上・数量ともに堅調に推移した。輸入ポークの国際相場は1年を通じて高値圏で推移したが、鶏肉関連商品は既存顧客向けの販売が安定的に推移したほか、香辛料・香辛料抽出物及び岩塩等の新規商材の取り扱いも順調に拡大した。商材別では、フローズンポーク(ハム・ソーセージ原料)の販売が前期を大きく上回った。従来、同社の食肉事業は特定の海外調達先への依存度が高かったが、近年は欧州など複数産地の開拓を進め、価格競争力のある調達体制を構築してきた点が奏功している。また、大口顧客向けの取り引きが拡大したことも販売数量増加に寄与した。従来は顧客側での直接輸入が主流であった分野において、同社の調達力や提案力が評価され、取り引きが拡大したものと見られる。
(3) 機能性食品原料部門(現ライフサイエンス事業部門)
機能性食品原料部門は、売上高9,594百万円(前期比86.6%増)、販売数量7,073トン(前期比68.4%増)と、全社で最も高い成長を遂げた。世界的な高たんぱく原料需要の高まりを背景に、国際相場は1年を通じて高値で推移するなど厳しい調達環境であったが、顧客ニーズに沿ったサプライチェーン構築支援が高く評価された結果、既存・新規ともに取り引きが大きく拡大した。成長の中心はホエイをはじめとする高たんぱく原料である。
高たんぱく原料の商売以外でも、同社は原料輸入・販売にとどまらず、商品提案、レシピ設計、原料調達、製造委託先の選定、さらには販売支援までの一気通貫型の幅広いサポートを行っている。顧客は、食品、スポーツニュートリション、美容・健康業界と多岐にわたる。本部門は同社の中長期的な成長をけん引する事業として期待されている。
(4) アジア事業(乳原料販売部門)
アジア事業(乳原料販売部門)の売上高は22,819百万円(前期比5.7%増)、販売数量は38,078トン(前期比4.2%減)となった。日系食品メーカー向けを中心に、東南アジア地域での現地向け原料販売は堅調に推移した。一方、日本国内において、生乳生産量は好調に推移したものの需要が追い付かず、脱脂粉乳在庫が積み上げられたことにより、日本向け粉乳調製品ビジネスの回復は想定より遅れたことで販売数量は前期比で減少した。しかし、国際相場高を反映した販売単価の上昇により、売上高は前期を上回った。国内事業と同様、数量よりも単価が業績を支える構図となっている。
(5) アジア事業(チーズ製造販売部門)
アジア事業(チーズ製造販売部門)の売上高は6,391百万円(前期比14.2%増)、販売数量は5,640トン(前期比4.0%増)となった。現地の外食産業向け、ベーカリー向け、加工食品メーカー向けを中心に需要は堅調に推移し、品質重視の姿勢や販売後のアフターフォローが奏功し、販売は順調に拡大した。同社が現地で評価されている理由は、日本仕様の品質・安全基準を満たしたチーズをアジア現地で安定供給できる点である。日系企業向けに加え、現地企業向けの需要も拡大している。アジア市場ではチーズを使った食品や外食メニューの人気が高まっており、今後さらなる消費量の伸びが期待されている。
一方で、アジア市場は価格感度が高く、低価格品を展開する競合も存在する。同社も競争環境を踏まえ、一部で低マージン品を導入している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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