TDSE Research Memo(5):プロダクト事業とAIエージェント事業は好調
1. 2026年3月期第3四半期の業績概要
2026年3月期第3四半期の業績は、売上高が2,171百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益が147百万円(同1.5%増)、経常利益が164百万円(同3.8%増)、四半期純利益が112百万円(同5.2%増)となった。中間期までは営業減益と厳しい業績だったが、第3四半期に営業利益率が大きく改善し、累計で営業増益を確保した。
同社の2026年3月期第3四半期における日本経済は穏やかな回復基調が続いたが、米国の通商政策に伴う国際経済環境への影響、国際情勢による地政学的リスクの影響などもあり、依然として先行き不透明な状況であった。一方、情報サービス産業においては、企業の競争力強化、生産性向上のためのDX関連投資の意欲は引き続き高い状況にあり、特に生成AIやAIエージェントを活用したDX市場が拡大した。こうした環境下、同社は「MISSION2025」で掲げるコンサルティング事業の持続的な成長、プロダクト事業のラインナップを強化というテーマの実現を図るとともに、生成AI市場の急成長を背景に企業向けAIエージェン事業の提供を開始した。
コンサルティング事業においては、技術面では、生成AI領域の拡大に向けたソリューションの作成、「Databricks」活用によるデータマネジメント領域の強化を進めた。営業面では、2026年3月期に増強した営業組織と新たに設立したプリセールス活動の専任組織による営業強化、生成AIや「Databricks」に関する発信強化、協業企業とのアライアンスを活用した受注獲得に取り組んだ。プロダクト事業においては、QUID製品の販売強化と自社製「TDSE KAIZODE」の付加価値向上に取り組んだ。AIエージェン事業においては、「Dify」を軸とする最新の生成AI技術を踏まえたAIエージェントに関するソリューション開発及びデリバリー強化に取り組んだ。また、パートナー戦略も強化し、「Dify」を用いた生成AIの開発をプライベートクラウド上で利用するサービスの提供を開始した。
この結果、売上面では、AIエージェントの活用が広がるなかコンサルティング事業が低迷したものの、プロダクト事業とAIエージェン事業が順調に拡大したため2ケタ増収となった。利益面では、コンサルティング事業強化のための人件費、新設のAIエージェント部門立ち上げに伴う人件費のほかM&A費用などが増加したが、増収効果により僅かながら増益を確保した。なお、四半期3ヶ月ごとの営業利益率は、第1四半期が1.0%、第2四半期が4.9%、第3四半期が13.9%と大きく改善した。これは、内製化を進めるなか、第2四半期までにM&A費用がなくなったことが要因で、中期経営計画で浮上したコンサル事業の課題が解消されたわけではない。しかし、課題が解消することで利益率が大きく変わる可能性を持つ企業であることから、将来的に収益拡大が期待できるポテンシャルの高い企業と言える。
本業の課題解消に向けた取り組みを進めることが重要
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績については、売上高3,000百万円(前期比11.1%増)、営業利益200百万円(同0.7%増)、経常利益204百万円(同1.3%増)、当期純利益137百万円(同0.3%増)と増収増益を見込んでいる。第2四半期末に期初予想より売上高で160百万円、営業利益で20百万円の下方修正を公表したが、修正予想の達成へ向けて推進中である。
2026年3月期第3四半期までの業績と中期経営計画における課題に対し、足元の2026年3月期のみならず、2027年3月期や次期中期経営計画へ向けた取り組みを進めていくことが重要だと思われる。厳しい業況にあるコンサルティング事業は、従来の分析に加えて顧客ニーズの強いAIエージェントにも対応することで、AIエージェント領域の拡大に向けたソリューションを開発していく必要があろう。おおむね計画どおりに推移しているプロダクト事業は、SNS分析サービスにおいて、検索結果の順位を競うSEOからAIに推奨されるAIEO(AI Engine Optimization)への転換が進むなか、AIエージェントを活用した次世代サービスへシフトすることで、国内で不動の地位確立を目指す。想定以上に伸びているAIエージェント事業では、同事業が成長エンジンとなって業績をけん引できるよう、営業人材やAIエンジニアを厚くすべく組織力の強化を図り、引き続き2027年3月期に向けて見込客の開拓を進めていく。事業横断的な取り組みとしては、好調なAIエージェント事業の成長を促進するための経営資源の再分配を伴う組織改編や、経営トップ関与による効率的に収益を稼ぎ出すための統制された営業体制の構築が重要であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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