ビーアンドピー Research Memo(6):売上高5,000百万円、営業利益率15.0%を目指す
1. 基本方針と環境認識
ビーアンドピー<7804>は2023年12月に、2024年10月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「BLUE PRINT 2026」を公表した。青写真(計画や見通し)という意味と社名の頭文字をかけた表題であり、「より良い働きを通じて全従業員の物心両面の幸せを創造し、社会へ貢献する」経営理念の実現とともに、「売上を最大限に伸ばし経費を最小限に抑える」高収益経営の実践を基本方針としている。事業環境として、デジタル印刷市場の拡大、新テクノロジーの社会実装本格化、世界的な環境意識の高まりを認識し、同社のサービスを通じて社会が直面する課題解決に寄与することにより高成長・高収益経営の実現を目指す。デジタル印刷市場の拡大に対しては、同社の主力であるインクジェットプリント事業のさらなる基盤拡大、中量・大量生産に対応するオンデマンド印刷によるサービス展開、地域密着対面営業による高付加価値サービスの提供を目指す。新テクノロジーの社会実装本格化に対しては、「リアル×デジタル」を融合させた高付加価値サービスの展開、デジタルサイネージ、ARなど社会のDXに対応した商材活用によるデジタル部門の事業展開を目指す。世界的な環境意識の高まりに対しては、SDGs推進のため環境配慮型商品の拡販、環境に配慮した「環境配慮型エコ素材」「次世代インクの使用」「不燃インクジェット出力」などの取り組みを推進し、持続可能な社会の継続的発展への貢献を目指す。
2. 経営数値目標
2026年10月期に売上高5,000百万円、営業利益750百万円、営業利益率15.0%、ROE10.0%以上、配当性向40.0%という数値目標の達成を目指す。初年度となる2024年10月期は、営業利益率15.6%、ROE11.9%だった。続く2025年10月期も営業利益率15.6%、ROE12.9%と中期経営計画の目標値を上回った。2026年10月期は、スマートファクトリー推進に絡んだ継続投資のほか、オフィスの移転統合に伴う一時的なコスト増、新規で立ち上げるパッケージソリューション事業への投資などをこなしつつ目標を達成する方針だ。
M&Aについては社内でプロジェクトチームを編成し、2019年7月の新規上場において調達した資金を活用して、継続的なM&Aに関する情報収集や調査に加え、専門会社から複数の案件について提案を受け同社の事業との相乗効果、成長性、利益率などの観点で検討を進めている。戦略として、同社の事業活動に必要な経営資源(商材、人材、技術、設備、顧客、商圏など)を有している企業、同社の有している経営資源を生かせる企業、同社の利益率向上に貢献する企業、買収後のシナジー効果や組織力強化により利益率アップを実現できる企業をターゲットとして掲げている。中計期間中には2024年11月にイデイを完全子会社化し、2025年10月期決算にて業績貢献しているが、引き続き積極的に案件を検討していく方針である。
3. 3大重点戦略と具体的実行施策
同社は引き続き「シェア拡大」「機能拡大」「領域拡大」という3つの重点戦略を実行し、「One&Only 唯一無二のアプローチで次の時代の競争優位性をつくる」ことを中期ビジョンとして掲げた。成長している印刷通販市場の営業形態とは異なり、「地域に密着した対面営業を行い、顧客に対し高付加価値な機能とサービスを提供すること」が同社の強みであるとして、これを「絶対に勝てるポジショニング戦略」と位置付け、競争優位性をつくることを重点戦略のベースに置いている。シェア拡大については、全国主要都市での営業エリア拡大による顧客占有率の向上、多重下請け構造からの脱却による顧客層の拡大を目指す。具体的には、主要な顧客ターゲットの広告代理店に加えて、メーカーや広告主の顧客数を3年間で30%増加し、顧客基盤の強化と売上拡大を図る計画だ。なお、イデイの買収により、顧客数としては中期経営計画の目標を達成したと言えよう。
機能拡大については、インクジェットプリント以外のプリントソリューションへの進出、デジタルサイネージ・ARなどのデジタル商材の拡販を目指す。領域拡大については、オーダーグッズ事業におけるIPコンテンツ分野への参入、M&Aにより既存事業のノウハウが生かせる新規分野の探索を目指す。
投資戦略としては、持続的な成長を見据えた先行投資、高い利益を生み出せる生産環境の実現に向けたDXの推進、社員がさらに高い付加価値を提供できるよう人的資本の価値向上への取り組み、事業拡大のためのM&Aの具体的な推進、SDGs推進のため環境配慮型の製品の取り扱いなどを想定している。省人省力化や生産工程・稼働状況の可視化など生産効率化及び工程のDXに向けて、3年間で総額250百万円の投資を予定しており、スマートファクトリーを実現する計画である。ただし、スマートファクトリーの取り組み自体は今中計期間以降も持続的に推進する。
また、新たに「お客さまのブランドストーリーを形にし、人々の生活をより楽しく、記憶に残るものとする」という企業パーパスを定め、事業戦略を担うプロフェッショナル人材の採用・育成による拡充、多様な人材が自律的かつ柔軟に働ける環境づくりのための制度の整備、戦略・価値観を浸透させ組織を活性化するためのカルチャー醸成などの人材戦略テーマを推進するパーパス経営を実践する計画である。なお、実際に2024年10月期に、通常の法定労働時間を上回る勤務時間設定をしていた変形労働時間制を廃止した。これに続き2025年10月期には、育休制度、時短勤務制度、在宅勤務制度等を取り入れ、柔軟に働ける環境づくりを加速している。2026年10月期については、評価制度含めた人事制度全般の見直しを通じて、一段のエンゲージメント向上につながる仕組みの構築を目指すようだ。
4. サステナビリティアクション
同社はサステナビリティアクションとして、ダイバーシティ&インクルージョンを掲げ、社員の多様性を尊重することで組織の活性化を図り、企業競争力を高め、持続的な成長・発展を目指している。具体的には、働く環境への投資、研修による能力再開発、プロフェッショナル人材の拡充など人材育成・採用などに注力する。また多様なワークスタイルを確保するために、育休制度、時短勤務制度、リフレッシュ休暇制度など多様な勤務に対応するための制度を一層充実させる。現場においても、スキルレスな生産工程の実現、生産設備の新機種増設、無駄や滞留の可視化、柔軟な設備選択による稼働率向上などスマートファクトリーと高い生産性を実現する。こうした取り組みにより、パーパスの浸透・共感を進めるとともに、業界トップクラスの報酬確保と健康経営の継続を実現し、従業員のエンゲージメント向上を図る。また、環境に配慮した「環境配慮型エコ素材」「次世代インクの使用」「不燃インクジェット出力」などのSDGs推進の取り組みを通じて、地球環境保護・保全と持続可能な社会の継続的発展に貢献することを目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)
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