ドリーム・アーツ Research Memo(10):SmartDBによる市民開発の認知向上と顧客基盤拡充を図る(1)
1. 中期経営計画の概要
2025年8月に中期経営計画(2026年12月期〜2028年12月期)を公表した。2025年12月期に成長に向けた経営基盤を整えたうえで、2028年12月期に売上10,000百万円突破を目指す。大企業における業務システム開発の主流が、IT人材の不足から現場によるノーコード開発にシフトすることを見据えて、2028年12月期末までに1,000名以上の大企業・大組織における導入シェア10%超を目指す。母数は約3,700社あり、2025年度期初計画における導入社数200社から380社を目指す。年平均60社の新規導入を目指し、顧客基盤を拡充する。「SmartDB」を成長エンジンとしたオーガニックな成長による売上基本計画を8,700百万円とし、M&A機会の模索により10,000百万円超まで売上を上積みする。営業利益は売上基本計画に対して2,000百万円、営業利益率約23.0%を基本計画とし、M&Aにより営業利益率を維持し利益を上積みする。売上基本計画8,700百万円のうちホリゾンタルSaaSの売上は6,290百万円と2025年12月期の業績予想値3,534百万円の約1.8倍で、CAGR(年平均成長率)は約21%だ。また、同社はホリゾンタルSaaSの前受金モデル(導入時に一定期間の前受金を受け取り、契約債務に計上する)を通じて売上発生前に資金を確保できることと、利益成長の相乗効果により安定的なキャッシュ・フローを創出しており、機会があればいつでもM&Aに投資できる強みがあり、M&A案件のソーシングをさらに積極的に進めていく方針だ。
2. 成長戦略とCSF(Critical Success Factor:重要成功要因)
この計画は、同社がこれまで掲げてきた「デジタルの民主化」を基本戦略とする。今回、「デジタルの民主化」を「DX内製化が経営課題となるなか、業務部門がDXによる課題解決と価値創出に主体的に取り組み、その改善と価値の増幅を自律的かつ継続的に主導する状態」と定義した。すなわち、「業務部門が自部門DXの投資対効果に責任を持つ」「業務部門が業務要件の定義と仕様決定を主導する」「業務部門が『市民開発』により、実装プロセスに能動的・主体的に関与する」ことが成立要件となる。「デジタルの民主化」なくしてDXは成立しない、ということを「NOデジ民 NO DX!」というキャッチフレーズで表現し、ノーコードツールである「SmartDB」が、現場の担当者(「市民開発者」)が自ら能動的・主体的にDXを進めることができるプラットフォームであることを引き続き訴求していく。
基本戦略の推進に当たっては、5つのCSFがカギを握ると考えている。1点目は、MCSA(Mission Critical System Aid)領域での「SmartDB」の活用促進だ。2点目は、2024年9月に「SmartDB」の機能・オプションとして展開することをリリースした「グローバル・コネクト」である。日本本社と海外拠点の業務プロセスの統一や標準化をノーコードで実現するため、グローバル展開する大企業での活用が「SmartDB」を展開していくためのカギとなる。具体的には、AI翻訳による20ヶ国語以上の言語対応が可能な「マルチLANGUAGE」、申請書など「SmartDB」のフォームに入力されたテキストを自動翻訳する「AI翻訳ロボット」、GDPR(General Data Protection Regulationの略、EU一般データ保護規則)やCCPA(California Consumer Privacy Actの略、カリフォルニア州消費者プライバシー法)など各国の法対応に向けた規約同意を取集する「規約確認機能」、国内外を問わずユーザーのアクセス経路に応じたデータアクセス権限を規制する「マルチGATEセキュリティ」、24時間365日無停止のサービス提供を行う「無停止運用」の機能・オプションを備える。
3点目は、2025年6月に発表した大企業におけるAI活用の新たな独自構想「DAPA(DreamArts Practical AI:ダーパ)」だ。急速に進展する生成AIを同社製品に実装し、大企業の業務プロセス改革に活用していく考え方と方向性を示した。第1弾として、業務フローにAIを統合し、入力内容のチェックやドラフト案の生成などを通じて組織の意思決定を支援していく。2025年度にテスト運用し、2026年4月からサービス提供する予定だ。現場の業務プロセスに自然に組み込むことで、AI活用のハードルを下げ、実務での定着と成果創出を実現することがカギとなろう。
4点目は、PLG (Product-led Growth)であり、「SmartDB」を主な成長エンジンとして、顧客獲得・エンゲージメント・拡張(アップセル)を推進していくことであり、「SmartDB」が持つスモールスタート可能な価格設計、利用拡大に応じた段階的ライセンスモデル、柔軟なオプション課金などを維持・向上させていく必要がある。「SmartDB」にはユーザー追加、バインダ(データベース)追加以外にも業務の複雑性に応じた課金オプションが用意されており、セキュリティオプション、タイムスタンプ、データ一括アップロード、業務ダッシュボード、検証環境などの多様な製品オプションをラインナップしている。2025年7月には「SmartDB」でマイナンバーカードによる本人確認への対応を開始した。マイナンバーカードを用いた社外パートナーとの連携を業務プロセスに組み込むことで、分断されていた業務を統合し、安全かつ効率的な外部連携を実現する。また、他社SaaSとのAPI連携モジュールも投入しており、これらのオプションによってアップセル、ARPAの向上を図る。なお、他社SaaSとの連携としては「Microsoft 365」「Amazon Business」「Adobe Sign」「クラウドサイン」など多数ある。5点目は、EC2(External Capability & Capacity)だ。「デジタルの民主化」に必要な推進体制・支援体制を強化するため、社外リソース(ユーザー企業内の資格認定者、戦略パートナー)を拡充することがポイントとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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