propetec Research Memo(5):厳選仕入など重点施策の効果で業績向上
1. 2025年11月期中間期の業績動向
2025年11月期中間期の業績は、売上高が24,202百万円(前年同期比27.4%増)、営業利益が1,077百万円(同284.0%増)、経常利益が897百万円(同530.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が545百万円(同2,556.7%増)と大幅増収増益となった。収益が下期に若干偏る傾向のある同社だが、進捗率も売上高で52.6%(前年同期45.7%)、営業利益で65.7%(同20.6%)、経常利益で73.0%(同14.0%)、親会社株主に帰属する中間純利益で74.7%(同3.2%)とハイピッチで、非常に好調な決算となった。
日本経済は、企業収益が改善傾向となるなか、設備投資の堅調推移や雇用の改善など緩やかな回復基調で推移した。一方で、物価上昇の継続による消費者マインドの低下、各国の通商政策の不確実性の影響、金融資本市場の動向などに注意を要する状況が続いた。同社の中古住宅再生事業の属する中古住宅市場においては、売れる物件と売れない物件の二極化が進むなか流通在庫の増加が懸念されていたが、首都圏中古マンションの成約件数が増加、平均在庫件数も減少に転じるなど市場環境は徐々に改善した。このような環境下、同社は、リアル(実取引)で築き上げてきたデータベース(実績)と仲介会社取引ネットワーク、AI査定などのテクノロジーを有機的に結び付けたKAITRYプラットフォームを効率的に運用することで差別化を進めた。また、拠点のある全国主要都市において、顧客ニーズの強い地域、価格帯、商品内容を分析したきめ細かな仕入と販売に努めるとともに、ポータルサイト「KAITRY(カイトリー)」の活用促進や仲介会社への情報提供機能を強化した。
重点施策としては特に、厳選仕入、販売日数・工期の短縮、プレミアムマンションの立ち上げ、オーナーチェンジ※物件の販売を推進した。なかでも1年半前から実行している厳選仕入では、本部の経営企画が各拠点での仕入・販売実績を分析してルール化し、データベースを基に築浅や駅徒歩数分、売れ行きの良い階層など早期売却を見込める物件に厳選して仕入れることを徹底した。これにより、仕入単価が上昇、つれて販売単価も向上、利益拡大につながる仕入の質的向上を図ることができた。販売日数・工期の短縮は、仕入れ決済が終わって早々に工事に入ることで工期を短くし、同時に販売契約から決済までを早めることで、在庫や資金の効率化を図った。プレミアムマンションについては、ニーズが強いうえに、固定費を抑えて効率的に売上・利益を確保できるため、新たな成長の柱として育成を開始した。「眺望マンションHOMENET」サイトを開設して国内外の富裕層に直接訴求するとともに、仲介会社や金融機関など富裕層データを持っている先と連携して仕入・販売を進めているところである。オーナーチェンジ物件の販売については、「ファミリータイプのリノベ済賃貸区分マンション」投資という特色あるストックビジネスを確立した。前期よりセミナーなどで訴求してきたため、安定したインカムゲインや、中古物件における短期償却、賃貸物件のままや実需購入などエグジットの選択肢が広いことなどの特徴に対する理解が進み、足元好評に推移している模様である。
※ 賃貸としても魅力がある物件に関して、同社がリフォームし販売までの保有期間中に賃料を得る方式。長期在庫の有効な活用方法でもある。
この結果、KPIはそれぞれ非常に順調な推移となった。仕入契約額(前第2四半期累計比54.5%増/前第2四半期会計比18.4%増※)は、厳選仕入などの効果で数量ベースでは伸び悩んだものの、プレミアムマンションの販売が始まったこともあるが、スタンダードマンションの仕入・販売単価が大きく上昇したことが要因である。販売契約額(同31.3%増/同28.3%増)については、プレミアムマンションはまだ多くないものの、スタンダードマンションが順調に販売単価を伸ばしたことが要因である。査定数(同9.9%増/同1.8%減)の低い伸びについては、厳選仕入で査定対象を絞り込んだことが要因で、それでも第1四半期はテレビ東京のワールドビジネスサテライトで紹介されたことで増加、中間期に厳選仕入の影響が顕在化した格好である。査定数は当面低い伸びが続くと思われるが、今後厳選仕入に繋がる査定を増やすことを計画しており、一巡すれば再び伸びていくものと思われる。期末在庫額(実需)(同23.8%増/同23.8%増)については、プレミアムマンションが増加していることなどが要因で、積極販売を予定している下期には伸びが落ちる可能性があると思われる。期末在庫額(オーナーチェンジ)(同5.6%増/同5.6%増)については、販売を仕掛けたことが要因と思われる。
※ 第2四半期累計期=12月〜翌5月、第2四半期会計期=翌2月〜5月。
以上から、連結の売上高が前年同期比3割近く伸び、営業利益が4倍近い増加となった。売上高は厳選仕入など施策の効果と一棟物件など開発案件の計上により中古住宅が好調で、戸建住宅の遅れをカバーした。利益面では、一部評価損を計上したうえ高採算の戸建住宅の構成比が下がったものの、厳選仕入によりスタンダードマンションの収益性が向上、プレミアムマンションと開発案件の採算が比較的高いこともあって、売上総利益率の改善につながった。販管費に関しては、中古住宅の売上増加につれて増える仕組みになっていないため微増にとどまり、販管費率が大きく改善した。通期予算に対する進捗も非常に順調で、売上高では前年同期の45.7%が52.6%となった。会社予算に対しても、戸建住宅が分譲建売の遅れで未達になったが、予算になかった開発案件が計上されたため全体で過達となったようだ。営業利益はさらに進捗が順調で、進捗率は前年同期の20.6%から65.7%へと大きく上昇した。また、一部在庫で評価損を計上したが、開発案件の利益貢献、スタンダードマンションの収益性向上、販管費抑制などにより、会社予算に対しても超過した模様である。
こうした業績を調整前子会社別に分けると、売上高はホームネットが前年同期比35.8%増、戸建住宅2社が同12.8%減、営業利益はホームネットが同3.5倍近い増加、戸建住宅2社が若干の赤字拡大となった。ホームネットは、スタンダードマンションの売上高が同15.5%伸びているところに、前年同期になかったプレミアムマンションと開発案件が乗ることとなった。利益面では、スタンダードマンションで一部評価損を立てたものの厳選仕入の効果で売上総利益率が向上、そこに相対的に高採算のプレミアムマンションと開発案件が乗ったため、ホームネットの売上総利益率は大幅な改善となった。戸建住宅2社については、秋田、山口ともに厳しい市場環境のなか、注文住宅は前年同水準だった。しかし、分譲建売の販売に遅れがあった分売上高が減少した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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