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ヤマノHD Research Memo(8):積極的な人財投資により「従業員が投資したくなる会社」を目指す(3)


*13:08JST ヤマノHD Research Memo(8):積極的な人財投資により「従業員が投資したくなる会社」を目指す(3) ■中長期の成長戦略と業績見通し

(3) 資本コストや株価を意識した経営
WACC(資本コスト)を上回る当期純収益を安定的に稼ぐことで、株主の期待に応え持続的な株価向上につなげる計画方針だ。ヤマノホールディングス<7571>では、コロナ禍を挟む2019年3月期〜2024年3月期において、ROEが株主資本コストを上回ったのは3決算期であり、事業ごとの粗利益額や販促費の増減などによる営業利益率の変動により、ROEが安定しないことを課題として認識している。そのため、各既存事業における適切な販売単価管理、厳格なコスト管理、従業員1人当たりの生産性向上などによりEBITDAマージン向上による「収益性の改善」、事業承継型M&Aに積極投資しグループ企業価値を向上するほか、事業の入替により保有ポートフォリオの最適化を図りROEの向上による「資本効率化」、投資家との対話及び情報開示の充実・高度化により同社の成長戦略の理解促進や資本コストの低減を図る「IR活動の強化」の取り組みに注力し、PERの向上を目指す。

中期経営計画初年度では、「既存事業の収益安定化」施策の実行により全セグメントの収益性が向上し、EBITDAマージンは2.6%(前期は1.6%)、ROEは3.3%(前期は-2.3%)と収益性、資本効率は大きく改善した。また、IR活動強化の取り組みとしては、2024年7月にコーポレートサイトを全面リニューアルした。中期経営計画リリースのタイミングで、同社の経営理念、事業内容をすべてのステークホルダーによりわかりやすく伝え、多様な人財を迎えるために求職者に対しても同社の魅力や働きやすさをアピールすることを目的としている。リリース件数の拡大、外部レポートの活用、メディアなどを活用した決算情報の配信を強化し、機関投資家やアナリストの意見、要望を社内にフィードバックし、事業戦略や方針見直しに活かすなど、ステークホルダーとのコミュニケーションツールとしての機能を高めた。採用情報も新卒採用、中途採用の各ページを設けたほか、先輩社員インタビューや各事業の業務の1日の流れなど事業内容の紹介を充実させており、案内役として同グループ創始者 山野愛子をキャラクターにして分かりやすく説明するとともに、ブランドイメージの強化を図っている。

(4) 定量目標
定量目標として、既存事業とM&Aの両輪による利益成長を図り、2027年3月期の売上高は175〜185億円(年平均成長率1.6%)、EBITDAは7〜8億円(同22.2%)を目指す。既存事業については、収益安定化を目標とし、店舗運営における生産性向上に最注力して、2027年3月期に売上高145億円、EBITDA4億円を計画する。M&Aについては、既存事業とのシナジー発現と新規事業の獲得による業容の拡充を図り、売上高30〜40億円、EBITDA3〜4億円の規模を計画している。また、財務目標として、事業収益力を高め、株主資本コストを上回るROEの実現を目標とし、2027年3月期でEBITDAマージン5.0%以上(営業利益520百万円)、エクイティスプレッド7.0%以上(ROE15.0%−株主資本コスト8.0%)、PBR2.5倍以上を目指す。

(5) 利益配分方針
安定的かつ継続した株式配当を基本とし、株式価値の向上に資する人的投資、事業成長投資並びに自己資本の蓄積など、バランスを重視した利益配分を計画する。配当性向については、利益配分方針に沿い、また各年度の業績に連動して適切に検討する。

3. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高14,400百万円(前期比3.1%増)、EBITDA640百万円(同73.9%)、営業利益500百万円(同95.3%増)、経常利益450百万円(同90.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益320百万円(同665.1%)と前期に続いて増収増益を見込む。収益性を改善した既存事業での増収増益を計画する。また、新たに加わったYSの高品質・先進的なサービス、NYJのユニークな店舗展開・専門スタッフのコーディネートサービス、同社に統合するヤマノプラスの新商品・サービスなど、グループ内の多様なサービスとの事業間シナジーを創出しながら独自性のある提供価値を磨くことで差別化を図り、業界での競争優位性を高める計画だ。そして、買収した2社の着実なPMIを進めながら、積極的なM&Aにより成長を加速させる方針である。新たに加わったYSの収支は7ヶ月分を織り込んでいるが、NYJは織り込んでいないので売上高への影響はわずかだ。利益については、両社ののれんの金額、償却方法などは未確定であるが、取得関連費用が計67百万円発生しており、初年度は利益に貢献しない見通しである。

一方、会計上の一時的な要因により売上高と営業利益がかさ上げされる。期首から和装宝飾部門に導入した新販売管理システムによって、従前一括して顧客への引渡しを行っていた商品の一部について商品ごとに引き渡しが可能となり、和装部門の一部商品の引渡しを早期化する業務プロセス変更を行った。そのため、売上が早期に計上されることとなり、2026年3月期第1四半期において前年同期比での売上の増加が見込まれる(第2四半期に顧客に引渡しされていた商品の一部が第1四半期に引き渡され売上に計上される)。通期で売上高約3億円、営業利益約2億円程度が増収増益となる。この要因を考慮すると、実質的には売上高は135百万円の増収、営業利益は43百万円の増益を計画している。また、リユース事業、フォト事業において多店舗展開による成長を図るという選択肢もあるが、同社においては、足元でOLD FLIPを黒字化し、NYJとYSのPMIと事業間のシナジー効果発現に注力する考えであり、多店舗展開は将来的な選択肢として想定しているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)


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