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テラスカイ Research Memo(7):ソリューション事業は2ケタ増収増益、製品事業は増収効果で損失額が縮小


テラスカイは業績が好調で、特にソリューション事業は30.1%の売上増で最高記録を更新しました。SalesforceやSAPクラウドの導入支援が好調で、アメリカや英国との新たな提携も進展しています。人工知能とクラウドを用いた技術革新が進む一方で、製品事業は17.2%の売上増加を記録しましたが、mitoco ERP向けの開発投資により損失を抱えています。特に、クラウド会計システム「mitoco会計」を中心に財務機能の強化を図っており、新機能の追加が進行中です。量子コンピュータ関連のQuemixも産学官共同研究を進め、長期的な成長を目指しています。

*17:07JST テラスカイ Research Memo(7):ソリューション事業は2ケタ増収増益、製品事業は増収効果で損失額が縮小 ■テラスカイ<3915>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高は前期比30.1%増の22,946百万円、セグメント利益(営業利益)は同41.1%増の2,927百万円と過去最高を連続更新した。売上高は、旺盛なDX投資需要を背景にSalesforceの導入開発事業やBeeXが手掛けるSAPのクラウド・マイグレーション事業、テラスカイ・テクノロジーズの派遣事業を中心に順調に拡大した。利益面では、QuemixやTerraSky (Thailand)の先行投資負担を増収効果で吸収し、大幅増益となった。

同社はSalesforce関連のソリューション力強化のため、提携戦略も積極的に推進している。2023年6月にFlosum Corporation.(米国)と「Flosum※1」の国内における独占販売契約を締結し、販売実績を積み上げている。2024年9月にはClarivate Plc(英国)と国内におけるインプリパートナー契約を締結し、知財管理システム「IPfolio」の導入プロジェクトに関するパートナーシップについて合意した。また、2025年1月にACCELQ,Inc.(米国)とAIを活用したノーコードによるテスト自動化・管理ツール「ACCELQ※2」の国内販売契約を締結した。Salesforceを導入し内製開発を推進する企業やSalesforce開発のシステム・インテグレーターを中心に拡販を進める考えだ。

※1 「Flosum」はSalesforceのリリース管理やCI(継続的インテグレーション)の運用を効率化するアプリケーションで、Salesforceのリリースやバージョン管理など、開発者・システム担当者にとって負担が大きい作業工数を削減し、Salesforceの活用や内製化を推進する企業に採用されている。
※2 ACCELQの発表では、情報通信業の大規模Salesforceユーザー企業において、数日間にわたる手動テストの作業が「ACCELQ」を使うことで数時間に短縮でき、コストと労力の大幅削減を実現できたとしている。

子会社の動向においては、テラスカイ・テクノロジーズがSalesforce専門人材(主にシステム運用管理者)の旺盛な派遣ニーズにより、増収増益を達成した。リベルスカイはGCPの構築やビッグデータ分析・AIコンサルティングなどの引き合いが増え、増収増益となった。従来は外注を主に活用してきたが、事業が軌道に乗ってきたことから人材採用についても2026年2月期以降に本格的に強化し、さらなる成長を目指す。SalesforceのMAツールの導入・運用・定着化支援を行うDiceWorksやECサイトの構築・運用保守やその他システム開発を手掛けるCuonについても売上規模は小さいながらも増収となった。

量子コンピュータ関連のアルゴリズムやソフトウェアの研究開発を行うQuemixでは、ライセンスビジネスや産官学との共同研究が進んでいる。2025年3月には、旭化成<3407>、東京大学、(国研)量子科学技術研究開発機構との共同研究により、Quantinuum製量子コンピュータと東京大学物性研究所のスーパーコンピュータを連携させたハイブリッドコンピューティングを用いて量子化学計算を実行し、窒化アルミニウムの新たな用途の可能性を示す研究成果が得られたことを発表した。2028年以降の本格実用化が見込まれているFTQC(誤り耐性量子コンピュータ)※1向けアルゴリズムを用いた世界初の実証例となり、日本での研究開発をリードする存在となっている。2024年11月にはSCSK<9719>と量子コンピュータの社会実装に向けた研究開発の加速とマテリアルズ・インフォマティクス※2事業の拡大を目的に資本業務提携を締結したほか、2025年4月にはSCSKや同社及びベンチャーキャピタルなどから第三者割当増資により総額5.5億円の資金調達を実施した。

※1 FTQC:量子誤り(エラー)訂正の仕組みを取り入れたゲート方式量子コンピュータのこと。計算中に誤りが発生しても訂正できるため、信頼性の高い量子計算が実現できる。
※2 マテリアルズ・インフォマティクス:情報科学やAIを活用して材料開発の効率を高める方法のこと。膨大な実験データやシミュレーションデータを解析し、所望の材料特性を実現し得る物質の組成を予言することで、新たな材料の発見や開発の加速を目指す。

タイの子会社については、2019年の設立以降コロナ禍により休眠状態であったが、2022年夏から事業活動を開始し現在エンジニア10数名体制でSalesforceの導入支援を行っている。徐々に顧客も開拓できているようで、2026年2月期はまだ損失が残るものの、早期の利益化を目指している。

(2) 製品事業
製品事業の売上高は前期比17.2%増の1,973百万円、セグメント損失(営業損失)は68百万円(前期はセグメント損失190百万円)を計上した。製品の売上高92.9%を占めるサブスクリプション売上は同14.5%増と順調に拡大しており、このうち主力製品となるデータ連携ツール「mitoco X」が同11.9%増、「mitoco」が同16.3%増といずれも2ケタ成長となった。一方、利益面では「mitoco ERP」の開発投資継続により損失が続いた。ただ、償却前営業利益では同214.9%増の270百万円と利益体質となっている。また、四半期ベースでは第3四半期以降、若干ながらも利益が出る状態となった。

2023年にリリースしたSalesforceをプラットフォームとするクラウド会計システム「mitoco会計」については、2024年3月にキャッシュ・フロー計算書機能や配賦仕訳作成機能、証憑ファイルの一括取り込み機能など新機能を追加したほか、支払業務や債務残高管理を行う「mitoco支払管理」をリリースした。また、同年12月には売掛金や貸付金の管理を行う「mitoco債権管理」をリリースするなど企業の財務会計業務にかかわる機能の強化を進めた。導入実績についてはまだ少ないものの、今後も機能拡充を進めながら拡販を進める予定だ※。

※ 料金体系は、月額システム利用料が「mitoco会計」が7万円、「債務管理」「債権管理」が各3万円、ユーザーライセンス料が月額1万円で、その他オプションメニューもある。

そのほか、2024年9月にAIを活用した中堅企業向けクラウドERPの促進を目的に、Salesforce AppExchangeアプリケーションの主要ベンダーである(株)シナプスイノベーション、チームスピリット<4397>と協力し、「ERP Cloud 360コンソーシアム」を立ち上げた。このコンソーシアムは、各社が持つ業務特化型の製品を「ERP Cloud 360」としてSalesforceプラットフォーム上に一元化し、最適なERPソリューションとして提供するための技術情報の共有や各社製品を連携させるための交流の場となる。今後は同コンソーシアムを通じて中堅企業向けの販路拡大を目指すほか、同コンソーシアムに賛同する販売パートナーや製品の導入パートナーを募集し、成長を加速する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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