PBシステムズ Research Memo(8):成長戦略を2セグメント6戦略に再設計
ピー・ビーシステムズは、2025年9月期に売上高3,420百万円、営業利益380百万円を目標とし、持続的な成長基盤を固める計画です。この成長戦略は、セキュアクラウドシステム事業とエモーショナルシステム事業のシナジーを活用し、2セグメントで計6つの戦略を設定しています。セキュアクラウドシステム事業では、基幹システムのクラウド化やサイバーセキュリティ強化が主な焦点です。特にクラウド化ではハイブリッドクラウド化を推進し、老朽化するシステムの刷新を目指しています。サイバーセキュリティにおいては「サイバー忍法帖」という統合セキュリティサービスを提供し、顧客に包括的なセキュリティ対策を提供します。また、スマートファクトリー化を通じて製造業のDXを推進し、生産ラインのスマート化を図ります。これらの取り組みを通じて、セキュリティリスクへの対応と製造業の効率化を進め、持続的成長を狙っています。
1. 2025年9月期の業績見通し
2025年9月期の業績見通しについては、売上高が前期比10.0%増の3,420百万円、営業利益が同4.9%増の380百万円、経常利益が同3.8%増の376百万円、当期純利益が同0.3%増の256百万円の計画を据え置いている。同社は2025年9月期を「持続的な成長への基盤固め、成長のための準備を加速する一年」と位置付け、増収増益及び7期連続最高益更新を目標に掲げる。積極的な人財増強を継続し、セキュアクラウドシステム事業とエモーショナルシステム事業のシナジー発揮により収益基盤を拡大し、偏重傾向のある第4四半期で主に挽回し、計画達成を狙う。また、同社はエモーショナルシステム事業の成長を実現するべく、新たな販売促進施策として、営業力の強い大手企業と協業する動きを進めている。同社が狙う顧客(自治体、各種イベントや展示施設、美術館等)に強い企業と連携することで、リファレンスマーケティングを展開し、効果的に需要にアクセスする構想だ。
ハードウェア販売高は、上期時点で前年同期比で約1割減の状況であり、通期ベースでは前年超となる公算のようだ。高付加価値商品販売の方は同23%減と苦戦気味だが、アップセル等の取り組みが着実に増えている印象であり、下期で挽回できるか注目したい。なお、新たな成長戦略として、2セグメント3戦略の合計6戦略を示しており、この路線で計画達成を目指す。
1) セキュアクラウドシステム事業
戦略1:基幹システムのクラウド化
中堅企業や自治体では、システムの複雑性やセキュリティ・予算面への不安等から、クラウド移行に至らないケースも多くあったが、経済産業省が指摘した「2025年の崖」が示すように、老朽化した基幹システムの刷新やクラウドへの移行ニーズがようやく全国的に顕在化しており、こうした需要を一段と獲得する方針だ。特に同社は、ハードウェア、仮想基盤、セキュリティを融合させたハイブリッドクラウド化を推進する。こうした需要の開拓にあたり、まず重要ポイントとなるのが、同社との関係性も深いアセンテックがCloud Software Groupとの戦略的提携に基づき設立した100%子会社のCXJとの協業である。既に新パートナー契約を通じて、Citrix再評価の動きと連動し、Citrix販売拡大に向けた連携を本格化させている。
また、ローカルLLM※の活用も中長期目線で非常に重要となろう。例えば2025年9月期に受注した食品製造業向け基幹システム案件を例にとれば、顧客社内でも誰もわからない、いわゆるレガシーシステム(アプリ)の刷新であり、否応なしにロジック解析に手間取ることが案件の初動を鈍らせる。システム(アプリ)構築時のロジック保有者が不在であり、詳細を読み解く難易度が高いロジック解析に生成AIサービスを利用した場合、情報漏えい等のリスクが懸念されることから、打開策として大規模言語モデルを閉鎖環境で活用できるローカルLLMの利用を進める方針だ。これにより、入り口であるレガシーシステムのロジック解析工程が短縮され、効率的なシステム更改を実現し、開拓余地が依然として非常に大きい「2025年の崖」関連需要を早期に取り込む計画である。加えて、DELL等のハードウェアメーカーとの協業も一段と拡大する。実際、受注残の項目で触れたとおり、関係深化で紹介案件が増加していることは、営業面でやや課題感のある同社においては、追い風となろう。
※ クラウドを利用せず自社内で生成AIを運用する仕組みでセキュリティや応答速度に優れている。
戦略2:サイバーセキュリティ
ランサムウェア・標的型攻撃・ビジネスメール詐欺など、サイバー攻撃の多様化・高度化の加速が止まらないなか、同社では「一気通貫レジリエンス」を特徴とする総合セキュリティ対策サービス「サイバー忍法帖」を推進している。顧客の規模や業種に応じ、コンサルティング提案から導入、保守まで一貫して対応する。サイバー攻撃の入り口で防御の仕組みを構築し、24時間365日体制で監視を続け、感染の際にはバックアップによるリストアで早期復元・回復を図る。先にも述べたが、サイバー攻撃を受けた企業からの緊急的な援助要請も実際にあり、復旧・回復後には防御策から始まる「サイバー忍法帖」への受注につなげた。同社がリリース当初より想定していたプル型マーケティングによる需要獲得となる。これまで同社が提供してきた様々なサイバーセキュリティ関連の処方箋は、システム担当にしか理解されにくい面があったが、「サイバー忍法帖」という形でまとめあげて展開したことで、自社営業、顧客、双方の視点で理解しやすくなった面があるだろう。新規・休眠顧客にさらにアクセスするには、まだ時間を要するだろうが、拡販に向けた効果的な販売促進活動について検討しており、早い段階で新たな拡販施策を展開する考えのようだ。また、サイバー攻撃は日々進化しており、高度化するサイバー攻撃へ同社技術を駆使して対応することで実績を重ね、基幹システムの更新やアップグレード時のバンドル販売へとつながっていく期待も実績の積み上がりとともに徐々に高まるだろう。
なお、市場環境として、ランサムウェア被害復旧に係る期間は1ヶ月未満がおよそ半数の一方、2ヶ月以上もしくは復旧がそれ以上に継続するケースが約3割を占める(有効回答126件)ほか、半数以上が1,000万円以上の復旧費用を要している(有効回答102件)。(警察庁サイバー警察局)潜在顧客にBCPの観点からサイバーセキュリティ推進を後押しすることで収益基盤拡大に期待がかかる。また、2024年末から新年にかけて重要インフラとなる金融機関等ではDDoS(分散型サービス拒否)攻撃が頻発したもようで、その危険性が指摘されており、同社顧客の自治体や金融機関等での対策も急がれるだろう。
戦略3:スマートファクトリー
人手不足等を背景とした製造業のDX需要を睨み、AIによるスマート化を推進する。ターゲットを中堅・中小企業に据え、まずは直面するネットワークの老朽化や複雑化という課題に対し、基礎インフラ刷新ニーズに対応する。2024年8月にはアライドテレシス(株)と協業し、拡張性を持つシンプルな構成のネットワーク環境を構築して全館フルWi-Fi可を実現した。同時にアライドテレシスの統合管理ツール導入で、ネットワーク全体の可視化と自動復旧機能を備え、運用を開始した。今後は、生産ラインのリアルタイム監視や生産データ解析による予測のほか、品質管理でのローカルLLM活用を実現する計画である。最終的には、ロボットによる自動化やデジタルツイン技術※での生産現場仮想モデル等によるフルスマートファクトリー化を提供することを目指す。現在、製造業界に向けて営業を推進しており、手応えを感じているもよう。製造業では工場のノウハウが競争の源泉となり、生産データを多く収集し漏えいせずに蓄積することが重要なため、対応策の中心にローカルLLMを据えている。成長の柱とすべく早急に取り組みを開始しており、営業活動を推進し需要を捉える計画である。
※ IoT等で集めたリアル空間にある情報を送信し、サイバー(仮想)空間でリアル空間を再現する技術を指す。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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