CSSHD Research Memo(8):4つの取り組みを推進し、中期経営計画の目標達成を目指す(2)
CSSホールディングスは、中期経営計画の目標達成を目指し、空間プロデュース事業の強化を図っています。具体的には、営業接点の拡大や新しい価値創出のための取り組みを進めており、2027年9月期の売上高と営業利益の大幅増加を目指しています。また、X-valueユニットを新設し、ビジネスパートナーとの積極的な関係構築や、外部リソースの活用による提携やM&Aも模索中です。さらに、グループ全体での人材育成やESG問題への取り組みを強化し、多様な人材の登用や社会課題への対応を進めています。特に、外国人スタッフの新卒採用を進め、多様性への対応を図っています。これにより、グループの成長を目指すとともに、持続可能な事業価値の向上を図ります。
(3) 空間プロデュース事業
同事業では、AV機器コンサルタントや代理店、施工会社との関係性を広げて、顧客との営業接点を拡大すること、産学連携やデジタルワークプレイスソリューションなどの新しい分野において価値の見える化を図ることで、2027年9月期の売上高は6,535百万円(2024年9月期比24.8%増)、営業利益は329百万円(同46.9%増)を目指す。営業利益率は5.0%となり、同0.7ポイントの上昇を見込んでいる。
同社は同事業の市場環境について、次のとおり分析している。音響設備及び監視カメラは堅実な更新需要に加えて、AI機能など期待されるソリューションの裾野が広がっている。設計・施工の現場は、顧客提案の活性化のために先進性やソリューションの多様性を実現できる取扱製品のフレキシビリティを求めている。忠実さや迫力ある再生を実現する音響機器から、映像効果を含めたエンターテイメントとしての感動を演出するトータル空間演出システムのニーズが拡大している。また、ミーティングや仕事の質及び生産性に寄与するコミュニケーションを実現するシステム導入ニーズが高まっている。さらに、産学連携プロジェクトを契機として、時代に即した社会的価値に対する関心が高まっている。
以上から、「基軸事業の強化による収益力の向上」では、業界や競合ベンチマークなどによるマーケティングの多様化及び収益マネジメントの強化を図る。また、ビジネスパートナーとの連携強化による顧客営業接点の強化と販促営業活動の多様化を目指す。さらにマルチベンダー、設計から施工・保守までをトータルでプロデュースできる強みを生かすパートナー開発を行う。
「X-valueユニットによる新たな価値創出」では、スチュワード事業やフードサービス事業のセグメント顧客関係性を生かした生産性向上のソリューションを提案する。また、上記を実現するためのビジネスパートナーとの関係性の積極的な開発を図る。さらに産学連携の推進による、学習と集客に影響力を発揮する「環境」をコンテンツ化するような空間プロデュース価値の実現を目指す。
2025年9月期中間期の実績としては、東洋メディアリンクスが、サイバーセキュリティソリューションをBPOとして展開するバリオセキュア<4494>との業務提携に関する基本合意書を締結した。映像や音声信号をIPネットワーク(LAN)で伝送する“AV over IP”の導入が進み、データのクラウド管理が主流となる時流に則って、セキュリティ対策の負荷増大に対応すべく、本提携により時代の要請に応えた最適なソリューション提供の実現を目指す。この業務提携は短期的には収益に直結しないものの、セキュリティの知見を学びながら進める息の長い取り組みである。
(4) 事業開発戦略
同社は、2023年10月に新たにX-valueユニットという組織を立ち上げ、推進すべき内容をモニタリングしてきた。その成果を踏まえ、中期経営計画ではX-valueの推進によるグループシナジーの創出や既存の発想にとらわれない外部リソースの積極活用による提携、M&Aなどを模索することで、各事業の拡大にプラスα(上乗せ)を目指す方針である。
具体的には、今後の事業開発を既存事業組織の推進エンジンとX-valueユニットの推進エンジンの双方向から進める。また、特命特化するX-valueユニットが既存組織を巻き込む形で「開拓」「開発」を強化する。そして、現在所有する現金及び預金9億円に不動産・投資有価証券の時価30億円を加えた合計約40億円の資産を、収益性の高い事業において競争優位を高める分野(スチュワード事業、フードサービス事業)、同社の顧客資産に対して高い付加価値を追加提供できる分野、ROE及び総資産回転率に大きく貢献する分野(空間プロデュース事業、シェアードサービス事業)へ投資し、有効活用する計画だ。
既存の3事業により安定領域から開拓領域、開発領域に事業領域の拡大を図るとともに、X-valueユニットからのアプローチによって事業領域の拡大を目指すことで、中期経営計画を達成する計画である。
(5) グループ全体としての取り組み
同社はグループ全体の取り組みとして、「人材育成の強化」「ESG課題への取り組み推進」に注力する。X-valueユニット活動支援、外国人を含む採用強化、社会保障環境の動向を踏まえた働き方改革の推進や業務のスリム化及び効率アップのためのBPR活動及びESG課題への取り組みを通じて、グループ全体の人材開発力や社会課題解決力及び事業価値の向上を推進する。
「人材育成の強化」では、現場ファーストの働きやすい職場環境づくりとして、手続き書類やフローの必要性の見直しやデジタル化・ワークフロー化などに取り組む。また、教育研修や適材適所人事による能力開発として、次世代幹部育成研修や営業・マーケティング戦略メソッドなどを実施する。さらに、多様な人材の活躍のサポートとして、ダイバシティ支援グループの組織化や海外における社員採用活動などに取り組む計画だ。
「ESG課題への取り組み推進」では、「環境」に対する取り組みとして、食品廃棄量削減や再資源化を推進する。「社会」に対する取り組みとしては、従業員の労働現場環境の巡回と問題抽出、従業員の健康や安全に配慮した連絡会と指示徹底などを推進する。「ガバナンス」に対する取り組みとしては、グループ各社連携のリスクマネジメント強化やIR活動における投資家との対話機会などに取り組む計画である。欧州投資家を中心に、世界的に企業のESGへの取り組みを考慮した株式投資が拡大しており、わが国でも近年はESG投資が急拡大していることから、同社グループの取り組みが注目される。
2025年9月期中間期の実績としては、セントラルサービスシステムでは、かねてよりダイバシティ推進部を新設し、多様な国籍の人材に対応できるよう取り組み、新たに外国人正社員の採用・受け入れ等の準備を進めてきたが、2025年5月にはネパール・インドより7名が来日して入社した。同社員は、入社式や交流会、会社見学など、日本人スタッフと触れ合う機会からキャリアをスタートした。業務スキルはもちろんのこと、同社事業におけるマネジメント人材として、増加するクライアントの外国人要人や同社従業員を含む業界業務の担い手の外国人とのコミュニケーションの担い手としても大いに期待されている。同社グループでは従来から外国人スタッフの採用は行っていたが、現地での新卒採用は今回が初めてである。
弊社では、経営方針を明確化し投資家や従業員が同社グループの将来像を共有するためにも、中期経営計画の発表・推進は非常に有意義であると考えている。引き続き、今後の業績推移及び成長戦略への取り組み状況を注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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