FRONTEO:社会課題解決に異次元のA Iソリューション
FRONTEOは、自社開発の特化型AI「KIBIT」を核に、ライフサイエンスAI、ビジネスインテリジェンス、リーガルテックAIなどの分野でAIソリューションを提供。2025年3月期の業績では大幅な収益改善を達成し、2026年3月期も増収増益を見込む。主力事業とするライフサイエンスAIでは、大手製薬会社と共創し、仮説生成プロセスを大幅に短縮するAI創薬技術の進化を図る。また、ビジネスインテリジェンスや経済安全保障分野での成長も目指し、2029年3月期には売上高300億円、営業利益60億円を目標とする。AIを通じて社会課題を解決し新たな市場を創出する戦略が注目される。
FRONTEO<2158>は、2003年設立の東京証券取引所グロース市場上場企業であり、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」を核に、ライフサイエンスAI、ビジネスインテリジェンス、経済安全保障、リーガルテックAIといった分野で専門家の判断を支援するAIソリューションを提供している。独自の自然言語処理技術とネットワーク解析に強みを持ち、少量の教師データでも高精度を発揮するアルゴリズムが特長で、医療・製薬・金融・製造業から官公庁まで幅広い顧客基盤を有する。
【2025年3月期連結業績及び2026年3月期予想】
2025年3月期の連結業績は、売上高6,099百万円(前期比17.3%減)、営業利益527百万円(前期は185百万円の赤字)、経常利益543百万円(前期は168百万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益555百万円(前期は2,843百万円の赤字)と、大幅な収益改善を果たした。これは、コスト構造改革の効果やAIソリューション事業の収益性改善の効果が反映されたことに加え、前期はリーガルテックAI事業の米国ビジネスで約25億円の減損の特別損失を計上した反動の結果である。
セグメント別には、AIソリューション事業が売上高2,607百万円(前期比6.8%減)、営業利益は277百万円(同71.2%増)、リーガルテックAI事業が売上高3,491百万円(同23.7%減)、営業利益が249百万円(前期は347百万円の赤字)となった。AIソリューション事業がリーガルテックAI事業のセグメント利益を上回り、順調に事業転換が進んだ格好だ。
2026年3月期業績予想は、売上高7,000百万円(前期比14.8%増)、営業利益700百万円(同32.7%増)、当期純利益615百万円(同10.8%増)と増収増益を見込んでいる。米国子会社のeディスカバリ支援事業撤退による売上の減少を、AIソリューション事業の拡大がこれを補う形で、業績の底打ちから持続的且つ非連続な成長への転換が期待される。また、2026年3月期からは報告セグメントを変更。AI創薬などの「ライフサイエンスAI事業」、ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援分野、経済安全保障分野やリーガルテックAI分野などの「リスクマネジメント事業」、さらに、ビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援分野や子会社アルネッツを通じたDX支援分野などの「DX事業」の3つに再編する。
【成長戦略】
同社は中期計画「ステージ4」を掲げ、2029年3月期までの成長戦略として以下の3つの事業分野を注力分野として育てる方針である。
まず、ライフサイエンスAI事業では「Drug Discovery AI Factory」を通じてAI創薬領域の進化を図る。第一三共、丸石製薬、エーザイ、中外製薬など大手製薬会社との共創プロジェクトが進行しており、特化型AI「KIBIT」を活用した、仮説生成や新規標的分子の発見支援が高く評価されている。同社の技術は従来約10年かかっていた仮説生成プロセスを1か月程度に短縮するものであり、創薬プロセスの異次元の効率化が実現している。同社は最終的には日本の薬価をより安価にしたいという志を持ちながら取り組んでいる。また、塩野義製薬と開発中の会話型認知機能検査用AIプログラム医療機器(SDS-881)は、2026年度の承認を目指して治験届を提出した。この機器は、厚労省の優先審査対象品目に指定されたため、審査期間の大幅な短縮が期待されており、上市された場合、AI医療機器市場における先行優位性が期待される。このように、同社ではライフサイエンスAI事業を主力事業に育てる構えであり、2029年3月期には売上高130億円達成を目標としている。
次に、ビジネスインテリジェンス分野に注力する。「KIBIT Eye」を中核とする不正検知・コンプライアンス監査ソリューションが金融・製造業を中心に浸透。リカーリング型ビジネスの比率も向上しており収益基盤のベースラインを底上げしている。メガバンクや大手証券会社など、各業界のトップクラスの企業が契約先でもあることから今後の契約先数拡大や、導入企業の複数部門での利用拡大といった深化が期待される。この分野においては2029年3月期には売上高100億円達成を目標としている。
第三の注力分野が経済安全保障分野である。地政学リスクやサプライチェーン規制の強化を背景に、官民双方からの需要が急増。「KIBIT Seizu Analysis」によるネットワーク解析技術を通じて、企業の調達リスクや制裁リスクへの対応を支援している。今後ニーズの高まりが期待出来る技術漏洩リスクや人権リスクへの対応拡大が期待される。2029年3月期には売上高50億円に成長させる構えである。
なお、祖業であるリーガルテックAI分野については2029年3月期の売上高40億円を目標としている。
こうした取り組みにより2029年3月期には売上高300億円、営業利益60億円達成を目標としている。
数あるAIテック企業の中でも、同社はAIを単なる業務効率化の手段にとどめず、社会課題解決を通じて新たな市場を創出する戦略的資産として捉えている点が際立つ。今後の非連続的な成長に対する期待は大きい。
<HM>
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