ククレブ Research Memo(7):営業体制の強化と新規事業立ち上げ等により年率50%超の成長を目指す
ククレブ・アドバイザーズは、年率50%以上の成長を目指し、企業価値を160億円から400〜500億円に引き上げることを計画しています。成長戦略の一環として、営業体制の強化、「CCReB CREMa」の金融機関向け導入拡大、新規事業の育成を推進します。営業部門の増員計画や「CCReB AI」などのツール使用による効率化を図る予定です。また、地方銀行への「CCReB CREMa」の導入を進め、地方銀行が抱える不動産情報の取扱い課題への解決策を提供します。さらに、有効活用不動産のマスターリース事業として、危険物倉庫の賃貸を開始し、新たな収益源を創出します。2026年8月期までにこれらの施策を進めることで、売上高と営業利益を大幅に増加させる見込みです。
ククレブ・アドバイザーズ<276a>は今後の目標について年率50%以上の収益成長を継続し、企業価値(時価総額)を現在の160億円程度(4月21日終値3,860円換算)の水準から、早期に400〜500億円規模にまで高めていきたい考えだ。当面は成長性と安定性を兼ね備えた収益構造の構築を目指しており、固定収入(不動産テック、CREアドバイザリー(固定)、不動産賃貸)を積み上げながら、CREソリューションによる変動収入(CREアドバイザリー(変動)、B/S活用不動産投資、不動産仲介、コンパクトCRE、プロジェクトマネジメント)を伸ばし、持続的な高成長を実現する考えだ。成長戦略としては、営業体制の強化、「CCReB CREMa」の金融機関向け導入拡大、新規事業の拡大の3点に取り組む。
1. 営業体制の強化
今後も高成長を続けるには、CREソリューションビジネスの拡大に向けた営業人員の体制強化を図ることが重要と同社では考えている。2025年2月末時点で営業部門の人員のうち営業専任者が5名体制となっているが、今後3年間で現状比3倍となる15名前後まで増員する方針を立てている。営業支援ツールとして「CCReB AI」などを用いて効率化を図っているが、最終的には人が関わるプロジェクトのため、人的リソースの強化が高成長を継続するには必要不可欠である。2025年8月期末までに1名の入社が予定されており、2026年8月期には増員ペースが加速する見通しとなっている。中途採用が中心となるが、同社では不動産業界の経験の有無にかかわらず、営業センスを持ち自発的に行動できる人材を採用することにしている。前述したとおり、新規顧客の探索は「CCReB AI」で、アプローチ手法についてはCRE提案のノウハウが蓄積された「CCCHAT」を用いることで、業界経験が浅い、または未経験者でも対応できるようになるためだ。
2. 「CCReB CREMa」の金融機関向け導入拡大
高成長を実現していくうえで重要な役割を担う「CCReB CREMa」の利用ユーザー及び登録情報件数の拡大に取り組んでいるが、なかでも地方銀行への導入拡大に注力している。地方銀行では同社がフォーカスする中堅・中小企業の顧客を多く持ち、これら顧客の不動産情報を把握しているためだ。地方銀行では、不動産ニーズの情報取り扱いに関しては属人的であり、組織全体で統括的に把握できていないほか、全国の不動産情報・ニーズが把握できていないため顧客のCRE戦略に対して差異的なソリューションを提案できていないケースも多く、こうした銀行に対して「CCReB CREMa」は有効なツールになるとを同社では考えているためだ。導入が進めば、サブスクリプション収入が増加するだけでなく、同社への物件紹介が増えることでB/S活用による不動産投資・賃貸や、不動産仲介、CREファンド組成といったCREソリューションビジネスのパイプラインの増加につながることが期待される。
現在、導入済みの金融機関が6行、提案済みが18行(うち商談中8行)となっている。金融機関では提案から導入契約に至るまでに相当程度の時間を要するため、進捗状況はスローとなっているが、地方銀行でも新たな収益機会の獲得が求められるなかで、CREソリューションによる収益獲得機会を効率的に実現できる「CCReB CREMa」のニーズは強いと考えられ、着実に導入が広がるものと予想される。同社の営業ターゲットとなる金融機関数は、都市/信託/地方銀行で116行あり、これら金融機関が「CCReB CREMa」を導入することで潜在需要も拡大していくことになる。なお、これら地方銀行では顧客の不動産情報についてはオープンにせず自社内だけで利用したいというニーズがあり、こうした機能を提供できる「CCReB MB(マッチングボックス)」の営業を推進している。
3. 新規事業の育成
同社は企業の土地有効活用支援に関する新規事業として、「有効活用不動産のマスターリース事業」の開始を発表した。第1弾として、危険物倉庫のマスターリース事業を2026年8月期以降に開始し、さらなる収益機会の拡大を目指す。危険物倉庫の需要は、地域ごとに品目の特性が異なるが、主には半導体やEV用バッテリーに用いられる特殊原材料、化粧品や農薬の原材料、潤滑油などが挙げられ、特にここ数年はEV用バッテリーや化粧品など化学品原材料の倉庫需要がサプライチェーンリスクの高まりもあって増加傾向にある。一方で、危険物倉庫の供給については面積ベースで年々増加傾向にあるが、自社所有の倉庫が多く賃貸型の危険物倉庫の供給についてはまだ少なく、危険物倉庫の賃貸需要については成長余地が大きいと見られる。
こうした市場動向から、同社では企業が保有する遊休地の有効活用ソリューションとして賃貸型の危険物倉庫を提案するとともに(「CCReB AI」を利用)、借り手となるテナントのニーズも把握したうえで(「CCReB CREMa」を利用)、企業側の意思決定における懸念(テナント退去リスク等)を排除している。危険物倉庫の建設資金については基本的には企業側が負担し、同社は企業とマスターリース契約を結ぶとともに、テナントにサブリースすることで賃料の差額を得るほか、施設管理のためのプロパティマネジメントフィーを得るビジネスモデルとなる。従来は、建設プロジェクトに係るプロジェクトマネジメントフィーだけが収益ポイントであったが、マスターリース事業ではさらにマスターリースによる賃料の差額並びにプロパティマネジメントフィーが新たな収益ポイントとして加わることになる。
既に、3社に対して提案活動を行っており、最短で2027年後半に危険物倉庫が竣工する見込みとなっている。このため、2026年8月期はプロジェクトマネジメントフィーのみ売上げに計上されることになり、マスターリースに係る売上げは2027年8月期以降となる見通しだ。3つのプロジェクトで合計10数棟の倉庫※を建設する見込みで、1棟当たり年間10百万円弱の売上げを想定している。将来的にはエンドユーザーが保有期間を自由に選べるようなシステムを開発し(開発費は数千万円程度)、賃貸床のサブスクリプション販売を行う予定だ。保管ニーズにおいて季節変動の大きい品目もあり、こうしたニーズを取り込んでいく。
※ 消防法によって、危険物倉庫の建築基準は高さ6m以下の平屋建てで、延床面積で1千m2以下と規定されている。
4. 2026年8月期の成長イメージ
同社では、中期経営計画を2025年8月期の決算と同時に発表すべく準備を進めている。当面は旺盛なCREニーズを受けて年率50%以上の収益成長を継続することを目標としている。実際、コンサルティング案件は順調に積み上がっているようで、現時点における2026年8月期のパイプラインの積み上げをベースにして試算した想定売上高は2025年8月期計画比で1.5倍となる33億円程度になる見通しだ。また、想定営業利益については同社が目標とする「営業利益率30%」を達成した場合、同1.5倍の10億円程度となり、EPSは160円程度を想定している。
費用面での中期的な見通しについては、営業体制の強化により人件費の増加が見込まれるほか、オフィスの移転増床により賃借料の増加が見込まれる。そのほか、認知度向上のための広告宣伝費や新規事業に係るシステム開発費用が増加要因となるが、業績への影響は軽微と見られる。人員の採用数が短期間で大幅に増加した場合は、一時的に生産性が低下し利益率の悪化要因となるリスクはあるが、各種ツールを活用することで生産性低下の影響を最小限に抑えることは可能と見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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