WACUL Research Memo(1):2025年2月期は減益見通しだが、2026年2月期は利益回復局面入りへ
WACULは、デジタルマーケティング分野でAIを使ったサービスを提供する企業で、2025年2月期は売上が増加するものの、利益は前年より減少する見通しです。具体的には、第3四半期の売上は前年同期比で3.8%増加しましたが、利益面では大幅な減少がみられます。プロダクト事業の低迷が一因であり、特にGoogleアナリティクスの移行による影響が大きかったとされています。しかし、2026年2月期には分析需要の回復に期待がかかっており、利益回復が見込まれています。また、成長戦略として、100社との資本業務提携により、CRM分野でのサービス拡充を図る方針です。これにより、顧客基盤の拡大とサービス強化を目指します。
WACUL(ワカル)<4173>は2010年9月に設立され、企業のデジタルマーケティング領域を中心として、AIやビッグデータを活用して戦略の設計から運用まで一気通貫で支援するサービスを提供している。主要サービスは、Webサイトのアクセス解析データを基に、自動で課題発見及び改善提案を行う自社プロダクト「AIアナリスト」である。また、マーケティング施策の企画から実行までを伴走型で支援を行うコンサルティングサービスや、マーケティング業界に特化した人材マッチングサービスなども併せて展開している。
1. 2025年2月期第3四半期累計業績概要
2025年2月期第3四半期累計の業績は、売上高が前年同期比3.8%増の1,351百万円、営業利益が同69.5%減の37百万円、経常利益が同70.2%減の37百万円、四半期純利益が同67.8%減の35百万円と、増収減益となった。
売上面は、第1四半期が前年同期比6.4%増の453百万円、第2四半期が同9.0%増の461百万円に対し、第3四半期はプロダクト事業におけるSEO(Search Engine Optimization:検索エンジンにおいて自社サイトを上位に表示させるための施策)・制作サービスの納品タイミングの影響などにより同3.5%減の435百万円と減収に転じ、期初の通期売上高計画2,233百万円に対する第3四半期累計の進捗率は60.5%に留まった。利益面は、人材マッチング事業及びインキュベーション事業の伴走型案件の拡大に伴う売上ミックスの変化により、売上総利益率は前年同期比10.1ポイント悪化した。また、販管費は人件費の適正化及び広告宣伝費のROI(Return on Investment:投下した費用に対する利益の割合)向上などにより、販管費比率が同3.4ポイント改善した。その結果、EBITDA(営業利益に減価償却費を加算して算出)は同36.0%減の131百万円、営業利益は37百万円と黒字を確保した。
2. 2025年2月期業績見通し
2025年2月期通期の連結業績は、売上高が前期比1.6%増の1,846百万円、EBITDAは同24.7%減の232百万円、営業利益が同45.9%減の107百万円、経常利益が同45.4%減の114百万円、当期純利益が同54.6%減の91百万円と増収減益の見通しである。
事業別に見ると、プロダクト事業はGoogleが提供していたサイトアクセス解析ツール「ユニバーサルアナリティクス」(UA)から「Googleアナリティクス4プロパティ」(GA4)への移行に時間を要する企業が多かったことから、上期まで主力サービス「AIアナリスト」を活用した分析需要の低迷が続き、新規獲得数及び同サービスを起点としたクロスセルが低調に推移した。他方で、足元では分析需要は回復局面に入っており、周辺サービスのクロスセルなども含めリカーリング売上高の積み上げにより、2026年2月期以降の復調が期待される。インキュベーション事業は増収での着地を見込んでいる。上期に既存の伴走型案件が拡大するなかで、営業リソース不足などにより新規顧客の流入が減少した。今後は、高付加価値なコンサルタントを含む採用の強化及び営業やデリバリーの効率化・増強などにより、さらなる事業拡大を図っていく。
人材マッチング事業は順調に事業拡大しており、増収での着地を計画しているものの、上期に実施した販促活動の投資対効果が低調であったことから下期は投資を停止し、他事業から獲得されるリードの転用やウェビナー等のコンテンツの強化、既存顧客への集中アプローチなどに注力した。今後は、顧客向けには顧客セグメントの細分化及びそれぞれに適したアクションの徹底、マーケター向けには優秀層のマーケターの新規獲得及び関係の深化などに注力し、2026年2月期以降も増収基調を維持する見通しだ。
利益面については、人件費や広告宣伝費など営業コストの最適化を図っているものの、営業利益は売上ミックスの変化により前期比45.9%減で着地する計画である。他方で、リカーリング売上高は「AIアナリスト」を中心に回復基調であり、売上ミックスの変化による全体の収益性の悪化については底打ち感がある。2026年2月は増収効果及び収益性の維持及び向上により、利益回復局面入りが期待される。
3. 成長戦略のトピックス
同社は2024年7月、サービスラインナップの拡充を目的としてCRM(Customer Relationship Management:顧客との関係性を管理する経営手法)ツールの設計・構築・運用に強みを持つ(株)100(以下、ハンドレッド社)の第三者割当増資を引き受け、資本業務提携契約を締結した。今後は、顧客基盤の相互送客、両社がコラボレートしたサービスの構築及び展開などにより、顧客が抱える課題に対してワンストップで対応する体制を整備していく。同社のハンドレッド社への出資比率は36.78%である。ハンドレッド社との協業の深化によりさらなる事業規模の拡大が期待される。同社は今後、連結決算への移行も視野にあり、持分法利益での貢献や追加投資による連結決算への取り込みで売上高の大幅な積み上げが起こる可能性がある。
■Key Points
・デジタルマーケティング領域のソリューションを一気通貫で支援
・2025年2月期第3四半期累計は増収確保も、売上ミックスの変化により営業減益
・2025年2月期は減益見通しだが、2026年2月期は分析需要の回復に伴い利益回復局面入りへ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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