ZETA Research Memo(8):中長期的にも成長が期待できる同社の事業領域
ZETAは中期経営計画としてEC市場の拡大を背景に、ECサイトのCX改善サービスとリテールメディア広告の成長を見込んでいる。特に、クッキー規制の影響で縮小するリターゲティング広告に代わるリテールメディア広告を重視している。ZETAは2027年までに営業利益17億円を目指し、既存事業の拡大とUGCを活用した新規事業の開発に注力する計画だ。また、社員の育成と労働環境の改善を通じて高い成長率を維持し、IR活動と株主還元の強化により市場での認知度を高める方針を取っている。利益目標は据え置きながらも、労働環境の変化や大型案件の先送りなどを理由に、一部の年度で予測を修正している。最終年度には、業績好調を反映した上方修正が予想され、ポジティブな展開が期待される。
1. 環境予測
ZETA<6031>は、今後の市場環境に関して、EC市場の拡大を背景に短中期的にECサイトのCX改善サービスが高成長すると見ている。また、クッキー規制によってリターゲティング広告が縮小していることから、代替手法の1つとして、中期的にサイト内検索連動型広告を中心とするリテールメディア広告市場が大きく伸びると見ている。リテールメディア広告では、同社が先駆する本来の意味であるサイト内連動型広告の拡大が中心となるが、サイトに広告を貼るだけの、より広い意味での“リテールメディア広告”も広がりを見せると想定している。さらに長期的には、リテールメディア全域において、UGCビジネスなど新たな事業が広がると見込んでいる。こうした環境予測の下、利益が加速度的に拡大している「ZETA CXシリーズ」を成長ドライバーに、中期的にリテールメディア広告を取り込み、ハイエンドCXのオンリーワン企業として高い利益成長を目指す。長期的には同社が蓄積しているUGCをビジネス化した新規事業を開発する計画だ。
中期経営計画の目標は従前どおり、2027年12月期の営業利益17億円
2. 中期経営計画「Strive for 17 and beyond」
2021年6月期〜2024年6月期をファーストステージとし、旧 ZETAとの経営統合、「ZETA CXシリーズ」の強化、ソフトバンク<9434>からの自社株買い、リターゲティング広告事業の譲渡、積極的なIRへの方針転換、株主還元への取り組み強化など構造改革を進めた。その後、事業環境が予測を超えるスピードで現実化し、「ZETA CXシリーズ」が想定以上に好調に推移、加えて構造改革の進展により成長企業として安定した事業構造になってきたため、2027年12月期に営業利益17億円を目指すこととした。そのため、2024年12月期はトランジションステージとして、グループ3社の合併、ZETAへの商号変更、決算期変更を行ってさらなる飛躍への準備期間とし、2025年12月期〜2027年12月期をセカントステージとして中期経営計画「Strive for 17 and beyond」を策定し、既存事業のさらなる進化、新規事業の展開、IRと株主還元のさらなる加速により、東証プライム市場への移行をも見据えた成長を目指すこととした。
既存事業のさらなる発展では、ターゲットとする市場で大きな成長が見込まれるため、それをテコに今後も「ZETA CXシリーズ」などで高い成長を目指す。既存事業とのシナジー効果の大きいリテールメディア広告事業、また新規事業としてUGCを活用した自社メディア事業などを展開することで、事業領域を拡大する計画だ。ただし、前提として、「ZETA CXシリーズ」の既存売上については絶対額だけではなく成長率も高めていく一方、「ZETA AD」の成長を中期経営計画に織り込まないなど新規売上高の成長は保守的な予想とする。また、機会ロスを抑えるべく、従業員数の増加と育成にも注力する方針だ。中期的に高い成長率を目指すことになるが、ファーストステージと同水準の成長率であるため実現性は高いと弊社では見ている。また、IRと株主還元の強化では、同社の将来性に対する理解が株式市場で不足していると考えている。このため、より一層IRを強化し、機関投資家のみならず個人投資家とのコミュニケーションも活発化させるなど情報発信を積極化するとともに、増配や自社株買いなどにより株主還元を強化する方針だ。
今般、会計処理の訂正を行ったが、戦略変更は行わず、セカンドステージの諸計画値を微修正するに留め、最終年度となる2027年12月期における目標利益(営業利益17億円)を堅持し、引き続き着実な成長軌道を維持することとした。一方、昨今の労働市場の変化を踏まえて人材確保と従業員満足度向上のため人件費を見直すとともに、持続的成長と競争力の向上を実現するため、オフィス環境の刷新など従業員の労働環境改善を検討中だ。このため、2025年12月期の販管費を0.5億円積み増し、営業利益を当初目標の8億円から7.5億円へ引き下げた。また、会計処理の訂正で売掛金が減ったことに伴って分配可能額が減少したため、配当方針を一時的に保守的なものに変更した。
2026年12月期は、好調継続は変わらないが、大型案件の売上計上先送りと賃上げを見込んで、売上高を29.5億円から29.0億円、営業利益を12.0億円から10.5億円へと修正した。中期経営計画の最終年度である2027年12月期は、当初の予想が保守的だったこともあり、業績好調を反映して売上高を36.0億円から37.0億円に上方修正する一方、人件費などの増加は続くものの売上拡大などを背景に営業利益を17.0億円に据え置いた。もちろん、「ZETA AD」などが立ち上がってくれば、利益はプラスオンされる見込みだ。なお、今後の事業環境なども踏まえて現在見直しを行っており、2025年12月期を含めて改めて公表する予定である。ポジティブな方向での見直しに期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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