スカラ Research Memo(3):DX事業、人材事業、EC事業、金融事業、インキュベーション事業の5事業を展開
スカラは5つの事業セグメント(DX事業、人材事業、EC事業、金融事業、インキュベーション事業)を運営しており、最も大きいのがDX事業で、売上の半分以上を占めています。特に、SaaS/ASPサービスやシステム開発で安定した収益を上げています。人材事業では、新卒や中途採用を支援、EC事業ではトレーディングカードのECサイトを運営しています。金融事業ではペット保険を提供、インキュベーション事業では自治体と連携した地方創生やM&A支援を行っています。今後はデジタル技術を活用し、各業界との協業を強化し社会課題解決に貢献する新サービスを拡充する方針です。
2. 事業内容
スカラ<4845>は事業セグメントをDX事業、人材事業、EC事業、金融事業、インキュベーション事業の5つに区分して開示しており、2025年6月期中間期の事業セグメント別売上構成比は、DX事業が51.6%と過半を占め、次いでEC事業が23.5%、金融事業が13.0%、人材事業が9.4%、インキュベーション事業が2.4%となっている。また、営業利益に関してはDX事業、EC事業、人材事業の順に大きく、金融事業とインキュベーション事業については収益化に至っていない。
各事業セグメントを構成する子会社と主な事業内容を見ると、DX事業はSaaS/ASPサービスやシステム受託開発を主に展開する(株)スカラコミュニケーションズ、国策事業やふるさと納税事業※1、ヘルスケア事業(フレイル※2対策用システム・アプリの開発)、地域創生事業を展開するエッグ、コールセンターサービスを行う(株)スカラサービスの3社で構成されている。
※1 自治体職員が作成する寄付者情報や返礼品の管理、各種関連書類の作成などを正確にかつ効率的に作成するシステム。エッグは国内で初めて同システムを開発・提供し、地方自治体の1/3に当たる680以上の自治体に導入実績を持つ。
※2 「フレイル」とは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、(一社)日本老年医学会が2014年に提唱した概念。多くの高齢者は健常な状態から、筋力が衰える「サルコペニア」という状態を経て、さらに生活機能が全般に衰える「フレイル」となり、要介護状態に至ると考えられている。
人材事業については、体育会系大学生の新卒採用支援サービスを主に展開している(株)アスリートプランニングと、2024年1月に新設した中途採用支援サービスを提供する(株)GeaREmake(ギアリメイク)の2社で構成され、EC事業は(株)スカラプレイスにて対戦型ゲームのトレーディングカードを売買するECサイト「カードショップ -遊々亭-」を運営している。金融事業は日本ペット少額短期保険でペット保険を開発・販売しており、インキュベーション事業では同社にて戦略投資事業(M&A支援サービス)を展開しているほか、ソーシャル・エックスで官民共創プラットフォーム「逆プロポ」の企画・運営等、(同)SCLキャピタルで投資ファンド運営事業を行っている。
(1) DX事業
DX事業では、Webや電話による問い合わせ、情報検索、申し込みなどのSaaS/ASPサービス(「i-シリーズ」)をはじめとした各種ITサービスの開発・提供、並びにITシステムの受託開発等を行っており、SaaS/ASPサービスはストック型ビジネスとして安定収益基盤の役割を果たしている。
ここ数年は、DXをテーマとした新規事業や新規サービスの創出などを目的に、各業界、関連技術に精通したパートナーとの協業を積極的に進めている。具体例を挙げると、xID(株)との協業によるデジタルIDを活用した公共施設予約システムや、大塚製薬と共創するヘルスケアプラットフォームサービスなどがある。今後も社会課題の解決につながる共創型の開発プロジェクトを多く手掛け、それを横展開することで成長を加速する戦略を掲げている。
(2) 人材事業
人材事業については、アスリートプランニングが体育会系学生向けの総合就職支援サービスや女子学生に特化した就活支援サービス、プロアスリートのセカンドキャリア支援などを展開している。収益源は、新卒採用向け企業合同説明会の企画・運営(オンライン開催含む)となる。また、中途採用・転職支援サービスの強化を目的に、2024年1月にGeaREmakeを新たに設立し、事業立ち上げに取り組んでいる。
(3) EC事業
EC事業では、スカラプレイスが対戦型ゲームのトレーディングカードの買取販売及び、攻略サイトの機能を備えたリユースECサイト「カードショップ - 遊々亭 -」を運営している。同サイトは、中古カードの値付けで参考指標にされるほどの影響力を持ち、トレーディングカードの買取販売では業界首位のECショップとしての地位を確立している。2020年6月期に海外ユーザーからの買取を開始し、2025年6月期には海外ユーザーへの直販サービスも開始した(従来は転送サービスを活用)。2024年12月時点で登録会員数は30万人を超えた。
(4) 金融事業
金融事業は、2022年4月に子会社化した日本ペット少額短期保険が展開している。ペット保険「いぬとねこの保険」を提供しており、補償割合最大90%などの特長ある保険商品を揃えている。
(5) インキュベーション事業
インキュベーション事業は、同社による事業投資や自治体と連携した地方創生関連サービス、共創型M&Aアドバイザリーサービスのほか、ソーシャル・エックスによる官民共創プラットフォーム「逆プロポ」、SCLキャピタルによる投資ファンド運営事業などが含まれる。
「逆プロポ」とは、大企業やスタートアップ企業などの民間企業が社会課題解決型の新規事業を実施する際に、当該事業の需要動向の把握や仮説検証などをスピーディに実施したいときに活用するサービスである。従来の公募プロポーザルは、自治体が予算を持って公募するプロジェクトに対して、受注を狙う企業が事業計画書を作成・提出し、それを第三者機関が評価し選定するが、「逆プロポ」では企業が費用を負担して企画する社会課題解決型のテーマに対して、参加を希望する自治体を公募する流れとなる。参加可能な自治体はテーマに則した実証実験などの提案書を作成・申し込みを行う。選定する自治体数は複数でも可能であり、企業は多くの実証実験を行うことができる。なお、選定された自治体に対しては公募する企業側から「寄付受納」という形で予算が支払われる。ソーシャル・エックスが直接得られる収益は少ないが、同プロジェクトで活用するシステムの開発を同社が受注するケースがあるほか、マッチングした自治体からDX支援などほかのプロジェクトを受注する機会も増えるため、「逆プロポ」を官民共創プロジェクト拡大のための重要なフック役として位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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