ベルトラ Research Memo(4):2025年12月期は投資回収局面に入る。営業損益は黒字転換の計画
ベルトラの2025年12月期の業績見通しでは、営業利益が500百万円で黒字化を目指し、主に海外旅行事業とLINKTIVITYが成長を牽引する。アジアにおける海外旅行の人気や円安の影響がインバウンド市場の拡大を後押ししている。今後は既存事業の強化とグローバル市場への本格展開を進め、2027年12月期には営業収益8,400百万円を目標とする。特に、オンライン旅行代理店(OTA)事業とLINKTIVITYの事業拡大に注力し、マーケティングとテクノロジーへの投資を強化する方針。また、事業領域拡大のための成長投資を続け、内部留保を充実させることで株主利益の最大化を図る。
ベルトラ<7048>の2025年12月期の連結業績は、営業収益が前期比25.4%増の5,400百万円、営業利益が同500百万円(前期は175百万円の損失)、経常利益が480百万円(同298百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が400百万円(同407百万円の損失)の見通しである。
営業収益は、前期に引き続き、海外旅行事業及びLINKTIVITYが牽引すると見込まれる。2025年12月期の市場成長率見通しは、国内旅行市場及びグローバル市場は前期比横ばい。一方で、海外旅行市場はアジアエリアの人気継続及び低価格帯の消費ニーズの継続により同6~13%増、インバウンド市場は円安局面の継続、及び中国市場の回復により同15%増としている。為替見通しは米ドル/円145~155と、前期比で大幅な円高とはならない想定。海外旅行及びインバウンド市場の成長に加え、商品の拡充や付加価値の向上などによる市場シェア拡大により計画達成を目指す。
営業利益は、2019年12月期以来の黒字へ転換する見通しである。同社は前期に人員及び販促などに関する先行的な成長投資を行い、その効果の発現に向けた準備がおおむね整ったと見られる。2025年12月期は人材採用及び広告投資の圧縮により、黒字化の達成を目指す。
■中長期の成長戦略
中期経営計画を発表、既存事業を強化したうえでグローバル市場への展開を本格化
1. 中期経営計画
同社は2025年2月14日に、2025年12月期から2027年12月期までの中期経営計画を発表した。成長シナリオとしては、最優先事項として主力のOTA事業の収益力改善、及びLINKTIVITYの事業拡大に取り組み、そのうえでこれまでに同社が構築した国内外の取引先などの経営資産の有効活用により、グローバル市場におけるサービス展開を推進する。
2027年12月期の定量目標は、営業収益が8,400百万円、営業利益が1,400百万円、営業利益率が17%である。また、最重要指標としてROE20%、グローバル売上比率30%、中期経営計画3年間のCAGR(年平均成長率)25%を掲げている。グローバル売上とは、LINKTIVITYを含む日本人以外の営業収益のことを指す。LINKTIVITIYで展開するインバウンドビジネスを足掛かりとして、アジアエリアを中心とするグローバル市場におけるサービス展開を本格化し、中長期的な収益基盤の整備を推し進める。
2. 事業別の成長戦略
1) OTA事業
OTA事業では、日本人向けの旅行市場における同社のターゲットユーザーを再確認し、最新の顧客ニーズを踏まえたサービス展開を進め、2027年12月期に営業収益6,200百万円(3年間のCAGRは20%)、営業利益2,785百万円、営業利益率45%の達成を目指す。
同社によると、足元の旅行市場は旅行代理店が飛行機やホテルなどをまとめて手配するパッケージツアーではなく、個人がオンラインで個別に選択・予約を行うスタイルが主流となっている。また、円安やインフレなどの影響に伴う旅行単価の上昇により、比較的安価なアジア方面に旅行する人の割合が増加している。事業環境が変化するなかで、同社はこれまでのメイン顧客層に加え、パッケージを組まないライトユーザーの新規獲得についても注力する。競合他社との比較においては、旅先での人的交流にフォーカスした特徴的なサービス設計、海外でも安心して参加・体験することができる高品質なサービス提供などにより差別化を図る。
また、継続的な事業成長と生産性改善を実現すべく、マーケティング及びテクノロジー分野への投資をさらに強化する計画だ。マーケティング分野では、顧客から得られたデータの収集、分析をもとに商品の品揃えを最適化し、集客力の強化を図る。テクノロジー分野では、Webサービスの操作性や使用満足度の改善及び問い合わせへの対応速度向上などにより顧客のエンゲージメントを高め、リピート率を上昇させていく。リピート顧客の増加により顧客当たり売上が拡大すれば、生産性向上が期待される。同社はこれらの投資実行により労働集約型業務の改善、広告依存率の改善を進め、定量目標として2027年12月期に営業収益人件費率で2024年12月期比14ポイント改善の19%、営業収益広告費率で同5ポイント改善の18%、1人当たり営業収益で同11.7百万円増の27.3百万円を目指す。
2) LINKTIVITY
LINKTIVITYでは、既存プラットフォームビジネスにおける商品数の拡大、事業のグローバル化、新たなソリューションの開発などにより、2027年12月期には営業収益1,800百万円(3年間のCAGRは35%)、営業利益300百万円、営業利益率17%の達成を目指す。
既存プラットフォームビジネスにおいては、訪日旅行者向け鉄道プラットフォームを中核に事業サービス、対象顧客、商品カテゴリー、販売チャネルを拡大し、TAM(獲得可能な最大市場規模)を広げることで成長を加速する。特に事業サービスと対象顧客の拡大に関しては、海外OTA向けのチャネルマネジャーとしての強みを武器に国内企業と提携、販路の強化支援、観光DX、交通MaaSなどの領域を中心に提供するサービスを拡充する方針だ。足元では、Tencent Japan(同)との戦略提携によるWeChatミニアプリの提供、サプライヤー向け直販ソリューションの提供、観光列車基幹システムの提供など、新たな取り組みを続々と始めている。中期経営計画の期間中は、展開している事業の早期黒字化を図るとともに、OTA事業で稼いだキャッシュを活用し、事業領域の拡大に向けた成長投資を年間2~3億円のペースで実施する計画である。
■株主還元策
当面は事業拡大のための投資を優先
同社は、将来の事業の発展及び財務基盤の長期安定を経営の最重要課題の1つと認識している。そのために内部留保を行い、事業拡大のための投資及び財務基盤の安定化に充当することが、株主利益の最大化につながると考えており、今後も当面は内部留保の充実を図る方針だ。ただし、株主優待制度については、世界150ヶ国の現地体験型オプショナルツアーの強みを生かした動きが今後出てくることが見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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