アイリック Research Memo(1):2025年6月期中間期は大幅増収増益と順調、通期も大幅増収増益予想
アイリックコーポレーションは2025年6月期の中間決算で大幅な増収増益を達成し、通期でも過去最高を見込んでいます。独自に開発した「保険IQシステム」を活用した保険分析・販売のプラットフォームを展開し、顧客サービスをワンストップで提供しています。この成功の裏には、人材や店舗、プロモーションへの積極的な投資があり、同社は保険領域におけるNo.1ソリューションカンパニーを目指しています。市場の変化に伴い、保険ショップ経由の加入シェアの増加やデジタル化の推進が同社のビジネスチャンスを広げています。また、「AS」シリーズや「スマートOCR」などの製品が市場での導入を拡大しており、さらなる成長が期待されています。
アイリックコーポレーション<7325>は、企業テーマに「人と保険の未来をつなぐ〜Fintech Innovation〜」を掲げ、自社開発したワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム(R)」(以下、「保険IQシステム」)を活用し、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開するFintech企業である。
1. 「保険クリニック」、保険分析・販売支援ソリューション、スマートOCRを展開
同社はセグメント区分を保険販売事業、ソリューション事業及びシステム事業としている。保険販売事業は「保険IQシステム」を活用した来店型保険ショップ「保険クリニック(R)(以下、「保険クリニック」)」の直営店運営及び法人営業を、ソリューション事業は保険代理店・銀行・保険会社向け「ASシステム」の開発・販売(AS部門)及び「保険クリニック」FC事業(FC部門)を、システム事業は子会社(株)インフォディオのAI搭載次世代型光学的文字認識システム「スマートOCR(R)(以下、「スマートOCR」)」開発・販売を展開している。保険ショップの新しいスタイルとして「保険IQシステム」を活用し、最良の顧客サービスをコンサルティングから契約までワンストップソリューションで展開していることが同社の強み・競合優位性である。
2. 2025年6月期中間期累計は大幅増収増益と順調
2025年6月期中間期累計の連結業績は売上高が前年同期比25.2%増の4,479百万円、営業利益が同29.3%増の263百万円、経常利益が同29.9%増の268百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同42.3%増の156百万円、EBITDA(=営業利益+減価償却費)が同25.0%増の404百万円となった。大幅増収増益で中間期として過去最高となり、全セグメントが増収と順調だった。保険販売事業及びソリューション事業のFC部門は店舗数増加効果やプロモーション効果などで「保険クリニック」の集客数が増加し、ソリューション事業の「AS」シリーズやシステム事業の「スマートOCR」の導入数も拡大した。利益面は人件費や広告宣伝費等が増加したが増収効果で吸収した。
3. 2025年6月期通期も大幅増収増益で過去最高予想
2025年6月期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が2024年6月期比21.7%増の9,640百万円、営業利益が同41.3%増の700百万円、経常利益が同30.9%増の705百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同20.0%増の422百万円、EBITDAが同38.5%増の1,041百万円としている。大幅増収増益で過去最高予想である。各セグメントとも伸長し、増収効果やストック売上の積み上げなどによって人件費や広告宣伝費の増加を吸収する見込みだ。中間期の進捗率は売上高が46.5%、営業利益が37.6%とやや低水準の形だが、同社は社内計画に対して売上高はほぼ計画水準、営業利益は計画を上回る水準としている。
4. 保険領域に関するNo.1ソリューションカンパニーを目指す
市場環境として生命保険・損害保険マーケットは巨大マーケットであり、保険販売チャネルは保険ショップ経由での加入シェアが上昇基調である。さらに保険業法改正が見込まれており、比較推奨販売の徹底による販売プロセスのデジタル化の必要性が高まることも予想される。こうした市場環境の中で同社は、自社開発の「保険IQシステム」を活用して生産性の高い「保険クリニック」を展開するだけでなく、業界唯一の商品比較システムである「AS」シリーズを中心としたソリューションを保険代理店・銀行・保険会社等に対して提供できる強みも併せ持っている。この強みを生かし、中長期的成長イメージとして保険領域に関するNo.1ソリューションカンパニー(保険ショップNo.1×保険ソリューションNo.1)を目指す。
5. 成長スピード加速の可能性に注目
同社の業績は2024年6月期から再成長期に入り、2025年6月期も過去最高の見込みとなっている。これは積極的な人財投資、新規出店投資、プロモーション投資、新サービス開発投資等を継続してきた成果と考えられ、「保険クリニック」の店舗数や集客数の拡大だけでなく、ソリューション事業の「AS」シリーズやシステム事業の「スマートOCR」も導入拡大によって収益化が進展している。この点を弊社では評価している。さらに保険ショップ経由での加入シェア上昇や販売プロセスのデジタル化ニーズの高まりという市場環境の変化も、「保険IQシステム」や「AS」シリーズという強みを持つ同社にとってビジネスチャンスと考えられる。このような状況を勘案すれば同社が新たな成長ステージに入った可能性が高いと考えられ、今後の成長スピードの加速に注目したいと弊社では考えている。
■Key Points
・来店型保険ショップ「保険クリニック」、保険分析・販売ソリューション、スマートOCRを展開
・2025年6月期中間期累計は大幅増収増益と順調。2025年6月期通期も大幅増収増益で過去最高予想
・保険領域に関するNo.1ソリューションカンパニーを目指す。成長スピード加速の可能性に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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