システムサポート Research Memo(3):クラウドインテグレーション事業を中心に5つの事業を展開(1)
システムサポートホールディングスはクラウドインテグレーションを主力とする5つの事業を展開しています。クラウドインテグレーション事業はServiceNowやAWSなどのクラウド基盤導入支援を行い、高い収益性を誇ります。システムインテグレーション事業ではITシステムのコンサルやERP技術支援を提供、アウトソーシング事業はデータセンター運営を中心にサービスを展開しています。プロダクト事業では多様なソフトウェアを開発・販売し、特にクラウド型サービスによるストックビジネスが主体です。このようにクラウド市場の成長を背景に事業を多角化し、安定的な収益を確保しています。
2. 事業内容
同社グループは、同社と連結子会社9社(2024年12月末時点)で構成されており、クラウドインテグレーション事業、システムインテグレーション事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業、海外事業の5つの事業セグメントで開示している。2025年6月期中間期の売上構成比は、システムインテグレーション事業が50.1%と過半を占め、クラウドインテグレーション事業が35.7%、アウトソーシング事業が8.8%、プロダクト事業が3.4%、海外事業が2.0%と続く。直近3期間の推移は、クラウド基盤サービス市場の拡大を背景にクラウドインテグレーション事業が上昇し、逆にシステムインテグレーションが低下傾向にある。全体に占める比率は両事業合わせて80%を超えている。売上総利益の事業セグメント別構成比についてもほぼ同様の傾向であり、クラウドインテグレーション事業の構成比が上昇傾向にある。
(1) クラウドインテグレーション事業
クラウドインテグレーション事業では、ServiceNowやAWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructureなど各種クラウド基盤の導入・利用支援やライセンスの再販(リセール)を行っている。2025年6月期中間期の売上構成比は、ServiceNow関連が34.4%と最も高く、次いでAWS関連が32.1%、Google Cloud関連が11.6%、Microsoft Azure関連が10.6%となっている。また、ストック型ビジネスとなるリセールの売上比率は32.8%となっている。
クラウド関連の受注案件は、クラウド事業者からの紹介が多いため、各種クラウド基盤の認定技術者を数多く育成し顧客満足度の高い開発実績を積み重ねることが、受注拡大の重要なポイントとなる。このため、同社は認定技術者の採用・育成に注力しており、こうした取り組みの結果、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle関連などのAwardで数多くの表彰を受け、新規案件の獲得につながっている。収益性は比較的安定しており、なかでもServiceNow関連については、国内でいち早く参入し多くの開発実績を積み重ねてきたこともあり、クラウド関連の中ではもっとも高い収益性を確保している(2025年6月期中間期の売上総利益率は42.0%で事業セグメント全体の29.2%を上回る)。
なお、リセールはデータ利用量に応じた従量課金による売上が中心で、クラウド事業者からドル建てで同社に請求が送られ、それを同社が円換算して一定のマージンを上乗せしたうえで、円建てで顧客に請求している。このため、為替が円安となった場合は売上高や売上総利益の増加要因となるが、顧客側の支払い負担が増加するため利用量を抑制する動きが出る可能性がある。また、決済期間は平均で1~2ヶ月程度であるが、この間に急激に為替が円安に振れた場合はドル建て債務に関する為替差損が発生する。
(2) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業は、企業のITシステムのコンサルティング・設計・開発・運用保守のほか、ERPパッケージの導入・利用にかかる技術支援、Oracleデータベース等のインフラ構築(Oracle Cloud Infrastructure関連はクラウドインテグレーション事業に含む)が含まれる。2025年6月期中間期の売上構成比は、ITシステム開発が55.4%と過半を占め、ERP関連が30.0%、データベース関連が14.6%と続く。
金融機関向けシステム開発やERP構築など大規模プロジェクトについては、納期遅延などによる不採算発生リスクを避けるため、直接受注ではなく二次請けで受注するケースが多い。収益性は低くなるが、大規模プロジェクトは長期間にわたって売上貢献するため、エンジニアの稼働率を一定水準維持する役目を果たしている。なお、2024年7月に子会社化したコミュニケーション・プランニングの売上高は同事業に含まれる。
(3) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業は、子会社のイーネットソリューションズが運営する国内2ヶ所のデータセンター(東京、金沢)における運営サービスが売上高の77.3%と大半を占め、残り22.7%をデータ分析・入力、ニアショアによるシステム運用保守で占めている。
データセンターについては、企業のプライベートクラウドのインフラ用あるいはBCP対策・データバックアップ管理用として主に利用されており、顧客数は約1,050社である。データセンターの顧客獲得施策、またアップセル施策として、地震情報と連動して社員の安否確認メッセージを自動で配信する緊急通報・安否確認サービス「Safetylink24」やワークフローサービス「ActionPassport」、オンラインストレージサービス「ActiveAssets」を提供しているほか、2017年より日本アイ・ビー・エム(株)の「IBM Watson Explorer」(AIを活用した検索・分析プラットフォーム)を月額料金制で利用できるサービス「Magic Insight」を開始するなど付加価値サービスの提供を行っている。データセンターサービスは、顧客数の増加及び顧客の利用業務拡大により月額売上が積み上がるストック型の収益構造であり、サーバー等の能力増強投資は需要に応じて適宜実施している。
(4) プロダクト事業
プロダクト事業では、同社グループによるプロダクト(ソフトウェア)の開発及び販売、サービス提供を行っており、顧客ニーズに応じたカスタマイズ開発にも対応している。現在の主力製品は、建築業向け工事情報管理システム「建て役者」、卸・小売業界向けを中心としたモバイル受発注システム「MOS」、勤怠・作業管理システム「就業役者」、クラウド型シフト管理システム「SHIFTEE」の4製品で、2025年6月期中間期の売上構成比はそれぞれ31.8%、29.8%、13.1%、9.4%となっている。不定期にカスタム開発案件を受注するほか、導入時にハードウェアの売上を計上することもあるが、クラウド(SaaS型)サービスによる月額課金売上が全体の約54%を占め、契約件数の積み上げによって収益が増加するストック型ビジネスとなる。販売については直販が多いが(「建て役者」はOEMが多い)、販売力強化のため代理店施策にも積極的に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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