クラボウ Research Memo(4):半導体製造関連分野などが順調に伸び過去最高益を更新
クラボウは2025年3月期上期において、売上高は前年同期比で微減の71,845百万円としたが、営業利益が9.4%増の4,241百万円、経常利益が12.7%増の5,100百万円、中間純利益が35.8%増の3,425百万円に達し、過去最高益を更新しました。売上高は若干減少しましたが、営業利益と経常利益は増益となりました。 特に、化成品事業が半導体製造装置や太陽電池向けの製品で好調を見せ、環境メカトロニクス事業も半導体関連製品が順調でした。一方、繊維事業はカジュアル向けの不振が影響しましたが、海外子会社の改善で黒字化を達成。また、不動産事業と食品・サービス事業も堅調に推移しました。自己資本比率の上昇も見られ、財政体質も強化されています。今後も半導体製造関連分野に注力する方針で、同社の成長が期待されています。
1. 2025年3月期上期の業績概要
2025年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比1.1%減の71,845百万円、営業利益が同9.4%増の4,241百万円、経常利益が同12.7%増の5,100百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同35.8%増の3,425百万円と微減収ながら各段階利益で過去最高益を更新した。2024年8月7日公表の増額修正予想に対しても、売上高、各段階利益ともに上振れる結果となった。
売上高は、半導体製造装置向け高機能樹脂製品や太陽電池向け機能フィルムが好調であった「化成品事業」が大きく拡大し計画を上回ったものの、カジュアル向けが不振であった「繊維事業」の落ち込みや「環境メカトロニクス事業」における工作機械事業の譲渡※による影響もあり、わずかに減収となった。もっとも、「環境メカトロニクス事業」においても工作機械事業の譲渡による影響は想定内であり、エレクトロニクス事業での半導体製造装置向け液体成分濃度計やエンジニアリング事業での環境関連ビジネスは好調を維持している。また、「食品・サービス事業」及び「不動産事業」についても堅調に推移した。
※ 2024年1月に実施した倉敷機械の株式譲渡に伴うもの。
利益面では、「化成品事業」における高付加価値商品の販売拡大や価格改定の効果に加え、海外子会社の損益改善が進んだ「繊維事業」の黒字化により計画を上回る大幅な増益を実現し、営業利益率も5.9%(前年同期は5.3%)に改善した。
財政状態に大きな変動はないが、自己株式の取得に伴う現預金の減少等により総資産は前期末比0.9%減の191,032百万円とわずかに縮小した。一方、自己資本は内部留保の積み増しやその他有価証券評価差額金※の増加により同1.8%増の118,922百万円に増えたことから、自己資本比率は62.3%(前期末は60.6%)に高まった。
※ 株価上昇に伴い、投資有価証券の評価額が高まったことによるもの。
各事業の業績は以下のとおりである。
(1) 繊維事業
売上高は前年同期比4.2%減の23,650百万円、セグメント利益は35百万円(前年同期は373百万円の損失)と減収ながら黒字転換した。1) 糸は、国内インナー向けが前年同期並みで推移するとともにブラジル、タイ子会社の販売が堅調に推移した。2) テキスタイルは、国内、中国子会社ともにカジュアル素材の受注が減少した。3) 繊維製品についても、暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム「スマートフィット」の販売が増加したものの、カジュアル向けが低調であった。利益面では、タイ、インドネシア子会社の損益改善(販売数量の確保や業務効率の向上、為替の影響など複合的な要因)や高採算の中東向け生地の輸出増加等により黒字化を実現することができた。
(2) 化成品事業
売上高は前年同期比11.4%増の32,592百万円、セグメント利益は同41.8%増の2,312百万円と大幅な増収増益となった。1) 機能樹脂製品は、半導体製造装置向け高機能樹脂製品が市況回復により大きく拡大したほか、機能フィルムも太陽電池向けに伸長し、全社業績をけん引した。2) 軟質ウレタンは、自動車内装材向けが国内自動車生産の回復に伴って好調に推移した(ただし、中国子会社は低迷)。3) 住宅用建材は、断熱材が低調も、一昨年立ち上がった集合住宅向けプレキャストコンクリート製品の受注が増加した。4) 不織布は、前年同期並みで推移した。利益面でも、機能樹脂製品を中心とする高付加価値商品の伸びや価格改定の効果により大幅な増益を実現した。
(3) 環境メカトロニクス事業
売上高は前年同期比27.9%減の8,866百万円、セグメント利益は同34.9%減の1,052百万円と、工作機械事業の譲渡による影響やウエハー洗浄装置の販売台数減により減収減益となった。ただ、1) エレクトロニクスでは、半導体製造装置向け液体成分濃度計が順調であったほか、2) エンジニアリングでは、半導体業界向け薬液供給装置が低調も、排ガス処理設備は順調に推移したことに加え、子会社での大型プラント案件も寄与した。3) バイオメディカルについても撹拌脱泡装置が堅調に推移し、前年同期並みを確保した。
(4) 食品・サービス事業
売上高は前年同期比7.8%増の4,873百万円、セグメント利益は同20.1%減の217百万円と増収減益となった。1) 食品分野は、成型スープが低調であったものの、即席麺具材などが順調に伸びた。2) ホテル関連は、好調な国内旅行やインバウンド需要の影響により宿泊やレストランが堅調に推移した。一方、利益面では、仕入れコストの上昇等の影響を受けて減益となった。
(5) 不動産事業
売上高は前年同期比1.3%減の1,862百万円、セグメント利益は同4.4%減の1,186百万円となった。売上高は前年同期並みを確保したものの、租税課金の増加などにより減益となった。ただ、セグメント利益率は63.7%(前年同期は65.7%)と高い水準を確保しており、引き続き安定収益源となっている。
2. 2025年3月期上期の総括
2025年3月期上期を総括すると、増額修正予想(8月7日公表)をさらに上回る水準を達成するとともに過去最高益を更新したことは、明らかに外部要因(半導体市況の回復等)及び内部要因(収益構造の変革等)の両方が順調に進展していることの証左と言えるだろう。特に、注力分野である半導体製造関連分野(化成品事業及び環境メカトロニクス事業)が順調に伸びているところは今後に向けても明るい材料となった。半導体製造工程向けに、ウエハー洗浄装置、薬液供給装置、高機能樹脂製品、液体成分濃度計、機能フィルムといった幅広い製品を提供し、前・後工程の様々な需要を取り込めており、同社の総合力が発揮された分野として評価することができるだろう※。活動面でも、高機能樹脂製品の生産・開発体制の増強や販売・生産体制の効率化、新規事業の創出(ロボットセンシングやIn-Situ計測技術の実用化など)等に向けても着実な進展を図ることができた(詳細は後述)。
※ 同社では、半導体製造関連製品の2024年度売上計画として、高機能樹脂製品を179億円(2021年度比平均成長率+10%)、半導体製造工程フィルムを6億円(同+36%)、ウエハー等洗浄装置を15億円(同△9%)、液体成分濃度計を18億円(同+15%)、薬液供給装置を3億円(同△9%)、合計221億円(同+9%)と見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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