AHCグループ:大幅増益の好決算、主力の福祉事業が順調でAI実装も加速
AHCグループは、2024年11月期の通期決算で大幅な増益を報告しました。主力の福祉事業の順調な成長に加え、AI技術の迅速な実装が寄与しました。売上高は前期比6.0%増の6,268百万円、営業利益は同7.1倍の144百万円となりました。特に福祉事業は、売上高が前期比8.3%増、営業利益が76.7%増となり、既設事業所の稼動率向上と新規事業所の成功が貢献しました。グループは、2社との資本業務提携を通じて新たな成長戦略を展開しており、特にmanabyとの提携ではeラーニングを活用したスキル習得機会を提供しています。2025年11月期には、売上高6,622百万円、営業利益172百万円を見込み、新規開設の加速や支援記録アプリの導入を通じてDX化を進める予定です。
売上高は前期比6.0%増の6,268百万円、営業利益は同7.1倍の144百万円。既存事業所の売上回復に加え、前期に開設した事業所の順調な立ち上がりが寄与した。待遇の改善を進めたことによる販管費率、物価の高騰などで食材費率が増加した一方、消耗品費・水道光熱費が節減できて原価率を抑制できている。
福祉事業は売上高が前期比8.3%増の3,432百万円、営業利益が同76.7%増の267百万円。前期に開設した事業所の順調な立ち上がりに加え、既存事業所の稼働向上が寄与している。介護事業は売上高が前期比0.6%減の1,643百万円、営業利益が28百万円の赤字(前期は40百万円の赤字)。3事業所を閉鎖したため減収となったものの、人員の再配置などの運営効率化で営業利益(損失)は改善した。外食事業は売上高が前期比9.6%増の1,192百万円、営業利益が同69.9%増の80百万円。前期に開店した店舗が順調に推移した。
2022年11月期、2023年11月期、2024年11期末の各事業の拠点数は、福祉事業が84→88→89拠点、介護事業は40→38→35拠点、外食事業は7→7→6拠点という推移。福祉事業は純増となっているが、2025年11月期以降の成長に向けていずれの事業も事業所の統廃合を進めている。
2社と資本業務提携を締結したことによる新たな成長ドライバーの獲得も進んでいる。そのうちの1社であるmanabyとは、独自のeラーニングを活用した学びの場を提供開始、外出困難な人でも自宅でビジネススキルを学べる仕組みの導入し、Webデザインやプログラミングなどのコンテンツも充実させている。もう1社のパパゲーノは、精神障害に関するリカバリー(自分らしい生き方の追求)を広める「神奈川県立保健福祉大学発ベンチャー」に認定された企業であり、福祉分野に特化した生成AI(ChatGPT)等の先端技術を活用して福祉事業所における職員の業務効率化を支援(「AI支援さん」)しており、これをグループ全体に広げていく。
2025年11月期は売上高で前期比5.6%増の6,622百万円、営業利益で同18.7%増の172百万円が予想されている。事業所の新規開設を加速するとともに、完全子会社化したパパゲーノで取り組んでいる支援記録アプリの導入を進め、IT/AIを活用したDX化による成長スピードの加速を図る方針。主力となる福祉事業では、需要が高まっている「就労継続支援B型」「生活介護」の開設を強化する。
福祉事業は「就労継続支援B型事業所」や「生活介護事業所」を中心とした出店を強化すること、拠点数で前期比7拠点増の96を前提に、売上高で前期比11.0%増の3,809百万円、営業利益で同6.4%増の284百万円が見込まれている。介護事業は前期に閉鎖した施設の影響があるものの、効率化を進めることで収益の改善を想定し、拠点数で前期比1拠点減の34を前提に、売上高で前期比1.0%減の1,626百万円、営業利益で39百万円と黒字転換を目指す。外食事業は前期に閉店した影響および物価の高騰による影響を考慮、拠点数で前期比変わらずの6を前提に、売上高で前期比0.6%減の1,185百万円、営業利益で同20.1%減の64百万円が予想されている。
国内の障害者人口は15年で約1.8倍増加しており、障害者総数(身体・知的・精神障害者数)は1,160.2万人で、障害者全体の16.5%の方が障害福祉サービスを利用している。また、障害福祉サービス利用者数・予算ともに増加し続けており、需要は拡大している。同社事業領域における市場規模も拡大するなか、放課後等デイサービスや居住支援を中心に未就学から成人後までサポートできることが同社の強みとなっている。
同社は今後、主力の福祉事業に資源を集中投下し、さらなる事業間のシナジー強化を図っていく。特に、障害者の自立支援の場の拡充として、就労継続支援B型の18歳を超える成人の就労支援に注力していくようだ。就労移行支援事業所をより強い業態へ進化するために直近では、独自開発のeラーニングシステムを活用し、在宅でもITスキルを学ぶ仕組みを構築している株式会社manabyとの資本業務提携を締結したほか、就労継続支援B型事業所を運営する株式会社パパゲーノとも資本業務提携を締結した。市場環境の追い風が続く中、M&Aを活用した非連続的な成長も続く可能性がある。
株主還元では、連結配当性向30%を目標としており、前期には自社株買いの実施も発表した。利益の積み上げ増加局面入りともなっており、株価の動きには注目しておきたい。
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