TDCソフト Research Memo(5):2025年3月期第2四半期は増収増益、通期業績予想を上方修正(1)
TDCソフトは、2025年3月期第2四半期で前年同期比13.2%の増収と29.2%の増益を実現し、業績予想を上方修正した。特に金融業界向けシステムのモダナイゼーション需要が成長を牽引している。ITコンサルティング、金融ITソリューション、公共法人ITソリューション、プラットフォームソリューションの各分野で売上が増加。特に、ITコンサルティングでクラウドマネージドサービス関連のSaaSソリューションが好調に推移し、業績を拡大させた。また、プロジェクトマネジメントの効率化やプロパー要員の育成を進め、開発の質を向上させている。
1. 情報サービス産業を取り巻く環境
情報サービス産業を取り巻く環境は、テレワーク環境の整備・強化に向けた需要が一巡した。一方で、クラウドコンピューティング、AI、IoT、RPA、ブロックチェーン、マイクロサービスなどの技術革新によるDXの潮流が、企業の競争力強化に向けた戦略的な投資需要を高めた。特に同社が強みを持つ金融業界においては、老朽化した基幹システムがビジネス環境の激しい変化に対応できなくなってきており、現行の情報資産を生かしながら競争力強化に向けた次世代システムを刷新する、モダナイゼーションが活発化している。
2. 2025年3月期第2四半期の業績
2025年3月期第2四半期の業績は、売上高21,349百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益2,401百万円(同29.2%増)、経常利益2,442百万円(同26.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,652百万円(同26.1%増)と前年同期比で大きく増収増益となった。2024年11月に好調な業績を受けて通期業績予想を上方修正しており、修正後の業績予想に対する進捗率は、売上高48.5%、営業利益50.6%、経常利益50.4%、親会社株主に帰属する当期純利益50.7%となる。公共・民間を問わず、業務効率化や生産性向上、新サービス開発などを目的とするDXのためのIT投資が旺盛ななか、同社は各事業分野においてこれまで培った実績を背景に継続的に案件を受注し、順調に業績を拡大した。分野別の売上高について、ITコンサルティング&サービス分野は前年同期比8.7%増、金融ITソリューション分野は同11.6%増、公共法人ITソリューション分野は同16.6%増、プラットフォームソリューション分野は同18.6%増の伸びを見せた。中期経営計画で主要戦略の1つに掲げる「高付加価値SIサービスの追求」についても、アジャイル開発やクラウド分野、マイグレーション案件などが牽引し、次世代型SI事業の売上高は同14.8%増の4,939百万円と大きく成長した。利益面では、受注増に伴う開発プロジェクトの増加に対して、同社が開発したプロジェクトパフォーマンス機能の活用などによって厳格なプロジェクトマネジメントを徹底し、各案件を計画通りに進めた結果、売上総利益率は前年同期と同じ21.4%と採算性を確保した。販管費については、将来の事業拡大に向けた投資を行ったものの、2024年3月期に計上した本社移転費用の影響がなくなり、営業利益率は11.2%と同1.3pt上昇している。
同社に対するシステム開発などの引き合いは非常に多く、失注回避とプロジェクト完遂に向け、できる限りの対応策を実施した。顧客ニーズに適合した品質と価格競争力のある顧客提案に向け、システム開発の最重要リソースとなる人材について、従来よりも協力会社から多くの要員を受け入れ、相対的に少ない同社のプロパー要員をプロジェクトラインの主要な位置に据えた。プロパー要員についてはローテーションを組み、プロジェクト間の異動を円滑にすることで、プロジェクトの重要な役務を担い、計画通り完遂する体制を整えた。顧客期待に応えた結果、契約単価の改定(値上げ)を有利に進め、契約額の拡大に成功した。プロパー要員の育成にも積極的で、2024年度には新入社員を180名採用し、早期戦力化に向けたスキルアップ支援策として、プログラミング教育の一環となる「アルゴリズム社内認定制度」を導入している。これにより、プログラムのアルゴリズムに関する理解力や思考力を養成するためのテストを実施し、結果をスコアリングすることで技術者としての論理的思考力のレベルを階層化する。定期的に実施しており、現時点では人事考課に採用する方針はないが、実力の数値化により社員のモチベーション向上など好影響が推測される。
3. 事業分野別の業績
(1) ITコンサルティング&サービス分野
売上高は3,498百万円(前年同期比8.7%増)となった。2024年3月期に引き続き、顧客企業のDX推進に向けたIT需要の高まりを背景に、クラウドマネージドサービス関連のSaaSソリューション案件が堅調に推移した。クラウドプラットフォーム上で「ServiceNow(R)」などを使用した業務効率化や生産性向上を目的とするシステム構築や、「Salesforce」などの営業支援ツールの導入案件を多く手掛け、売上拡大に貢献した。業務効率化や標準化などをサポートする「ServiceNow(R)」は、導入や運用が容易で、あらゆる業種の仕様に合わせたカスタマイズが可能なことから需要が多い。営業支援に強みを持つ「Salesforce」は、顧客管理や予算管理などの周辺機能を有しており、営業活動やバックオフィス業務効率化、生産性向上を目指す企業から支持されている。同社はこれら有力製品の豊富な実績により技術力が認められるとともに、顧客からの信頼度が高く、同分野において順調に業績を拡大させている。
(2) 金融ITソリューション分野
売上高は9,526百万円(同11.6%増)となった。同社は、金融システム開発に強いNTTデータグループのコアビジネスパートナーに認定されていることから、NTTデータグループが運営する地銀向け共同利用型勘定系システムの統合バンキングクラウドに関するクラウドシフト案件などを数多く受注した。銀行の基幹システムのクラウド化やモダナイゼーションが活発になっているほか、クレジット業界向け電子決済関連の案件が増加しており、好調な受注はしばらく続きそうだ。
(3) 公共法人ITソリューション分野
売上高は5,774百万円(同16.6%増)となった。同分野は公共向けのほか、流通業、製造業、サービス業など、金融業以外のITソリューションを提供する。2025年3月期第2四半期は、特に運輸業、自動車業、及び旅行業向けの開発案件などが堅調に推移した。物流業界は2024年問題、自動車関連は先端技術の進展、旅行業はインバウンド需要増加といった背景から、業務DXのニーズは高いと見られ、同社は実績を足掛かりに着実に受注を獲得し、増収を実現したと弊社では見ている。
(4) プラットフォームソリューション分野
売上高は2,550百万円(同18.6%増)となった。既存システムのクラウドシフトの流れのなか、クラウド環境下でのインフラ構築案件が増加傾向にあるほか、通信関連、及び官公庁向けの受注が堅調に推移したことを受けて売上を伸ばした。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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