オーバル Research Memo(3):2025年3月期中間期は増収減益決算も、利益は例年上回るペースで進捗
オーバルは2025年3月期中間期において、売上高が前年より増加しましたが、利益は減少しました。これは主に昨年のオーストリアのAnton Paarとのライセンス契約による一時金の影響と、材料費の上昇が原因です。センサ部門では国内外の特定産業向けの需要減少が影響しましたが、システム部門での大口案件が全体を支えています。 経営面では、流動資産と固定資産が増加し、特に機械設備の投資が進みます。自己資本比率は65.4%と高水準を維持し、財務健全性が評価されます。一方でROAとROEが業界平均を下回り、収益力の向上が求められています。全体として、同社の業績は堅調に推移しており、今後の収益力強化が焦点となります。
1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期における世界経済は、金融引き締め政策の継続による各国経済への影響や、中国経済の景気減速など、先行き不透明な状況が続いた。わが国では、雇用・所得環境、企業収益が改善しているなか、個人消費・設備投資も引き続き堅調を維持し、景気は緩やかに回復したが、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクもあり、物価の上昇もあって先行き不透明な状況が続いた。
このような経済環境下、同社グループでは「中期経営計画『Imagination 2025』」を着々と推進した。その結果、2025年3月期中間期の連結業績は、受注高7,939百万円(前年同期比9.5%減)、売上高7,128百万円(同2.2%増)、売上総利益2,959百万円(同1.6%減)、営業利益689百万円(同13.6%減)、経常利益624百万円(同26.8%減)、親会社株主に帰属する中間純利益422百万円(同23.2%減)と、増収減益決算であった。
前年同期に発生したオーストリアAnton Paarとのライセンス契約の一時金収受が、前年同期との比較では、売上高・各利益に大きく影響した。受注高の減少はセンサ部門の落ち込みが響いた。売上高はAnton Paarの一時金による減収分を、好調なシステム部門における大口案件の売上計上が上回ったことにより増収となった。売上総利益の減少も、原材料費の上昇のほか、Anton Paarの一時金による減収分の影響を大きく受けた。また、販管費の増加は、賃上げに伴う人件費増加によるものである。この結果、営業利益は減益となり、営業利益率は9.7%に低下したものの、2023年3月期中間期の7.7%を上回る水準を確保している。また、経常利益と親会社株主に帰属する中間純利益の減益率が大きかったのは、前年同期の為替差益の計上が、為替差損の計上に転じたことも響いた。2025年3月期通期予想に対する中間期の進捗率は、売上高は50.9%、営業利益も53.1%となり、例年に比べて高いことから、業績予想の達成に向けて順調に推移していると弊社では判断する。
事業部門別の業績を見ると、主力のセンサ部門では、受注高は4,578百万円(前年同期比27.1%減)であった。これは、国内は半導体関連業界向けが前期に前倒し受注があった反動で落ち込み、海外も中国・韓国の電気自動車など電池関連業界向けでバブル過熱が一服したことによる。半導体の受注は在庫の関係から波があり、前期に先行受注したことで在庫が過剰気味のようだ。売上高も4,794百万円(同4.9%減)であった。これは、受注高と同様に、国内では化学関連業界向けが堅調だったが、半導体関連業界向けが前期受注分を出荷したものの、前年同期の実績には届かなかったためだ。なお、前年同期は海外ではオーストリアAnton Paarとのライセンス契約に基づき、知的財産のライセンスの対価である契約一時金収受に伴う受注高・売上高を計上していた。
システム部門では、受注高は1,858百万円(前年同期比64.7%増)と大幅に増加した。これは、海外は低迷した一方、国内では(国研)産業技術総合研究所や石油関連業界向けの大口案件の受注があったことによる。システムの大口案件の受注は、今後もしばらく続きそうだ。一方、売上高は922百万円(同51.6%増)であった。海外については東南アジア地域における落ち込みが底打ちしたものの回復は限定的にとどまったが、国内は産業技術総合研究所や食品関連業界向けの大口案件の売上計上があり、前年同期を大きく上回って、同社全体の売上増をけん引した。
サービス部門では、受注高は1,501百万円(前年同期比10.3%増)、売上高は1,411百万円(同6.5%増)であった。これは、主要顧客の石油関連業界では、業界再編、脱炭素社会に向けたエネルギー置換など厳しい市場環境が続くなか、保全計画サポートサービスなど地道できめ細かいメンテナンス活動や他社商品のメンテナンス活動を継続していることによる。なお、サービス部門の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により2021年3月期に若干落ち込んだものの影響は小さく、その後は増加基調を続けており、他部門に比べて景気に大きく左右されない部門である。
高い安全性を確保
2. 財務状況と経営指標
2025年3月期中間期末の資産合計は、23,586百万円(前期末比135百万円増)となった。このうち、流動資産は12,666百万円(同31百万円増)であった。これは、主に現金及び預金が86百万円、電子記録債権が236百万円、棚卸資産が128百万円それぞれ減少し、受取手形、売掛金及び契約資産が422百万円、その他流動資産が54百万円それぞれ増加したことによる。棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の合計)は、半導体不足に伴い電子部品の入手が困難になるなど、材料不足のなかで同社製品の納期維持のため在庫を増やしたことで前期末まで増加が続いたが、こうした取り組みによって納期遅延を発生させなかった。今後も半導体市場の状況に応じて、柔軟に対応すると見られる。また、固定資産は10,920百万円(同103百万円増)であった。これは主に、無形固定資産が39百万円減少した一方、機械装置及び運搬具が143百万円増加したことによる。
一方、負債合計は7,688百万円(前期末比397百万円減)となった。このうち、流動負債は3,910百万円(同405百万円減)であった。これは主に、短期借入金が79百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が98百万円、未払金が312百万円、未払費用が47百万円それぞれ減少したことによる。また、固定負債は3,778百万円(同7百万円増)であった。これは主に、長期借入金が7百万円増加したことによる。長期・短期を合計した借入金は、1,904百万円(同86百万円増)であった。また、純資産合計は、15,897百万円(同533百万円増)となった。これは主に、利益剰余金が265百万円、為替換算調整勘定が257百万円それぞれ増加したことによる。
以上の結果、自己資本比率は65.4%に上昇し、最新データである2024年3月期のプライム・スタンダード・グロース市場に上場する精密機器業界平均の58.5%を上回る高い安全性を確保していると評価できる。一方、2024年3月期のROAは6.9%、ROEは7.7%で、収益性指標では業界平均を下回っており、今後は収益力強化が課題であると弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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