加藤製作所 Research Memo(5):2025年3月期中間期は営業増益だが、特別損失計上により最終損失で着地
加藤製作所の2025年3月期中間期の業績では、売上高が前年同期比で10.4%減少しましたが、営業利益は5.7%増加しました。しかし、特別損失として中国子会社2社の解散および清算に伴う損失を計上したため、最終的には純損失を見込んでいます。日本市場では、建設用クレーンの販売遅れや東南アジア向け案件の反動で減収減益、中国市場では油圧ショベルの厳しい販売環境が続きましたが、販管費削減により営業損失は軽減されました。欧州市場でも建設需要の低下により減収減益が見られました。主要製品である建設用クレーンの売上は国内外で減少し、油圧ショベルも同様です。地域別に見ると、アジアや北・中南米で大きな減少が見られますが、欧州はほぼ横ばいでした。
1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比10.4%減の26,483百万円、営業利益が同5.7%増の845百万円、経常利益が同16.5%減の1,340百万円、親会社株主に帰属する中間純損失が4,988百万円(前年同期は2,521百万円の利益)となった。売上面は国内建設用クレーン新製品(新エンジン搭載80t吊りラフテレーンクレーン「SL-850RfIII」)の販売時期先送りによる期ズレ、前期の東南アジア向け建設用クレーン大口案件の反動、米国向け輸出における大統領選前の油圧ショベル買い控え影響、欧州の建設需要後退、さらに中国子会社2社(加藤中駿(厦門)建機有限公司及び加藤(中国)工程机械有限公司)の解散及び清算決定などにより2ケタ減収だが、営業利益は為替の円安効果、販管費の減少、貸倒引当金繰入額の減少などにより小幅ながら増益となった。
売上総利益は9.4%減少したが、売上総利益率は同0.2ポイント上昇して17.5%となった。販管費は12.3%減少し、販管費率は同0.3ポイント低下して14.3%となった。この結果、営業利益率は同0.5ポイント上昇して3.2%となった。営業利益45百万円増益の要因は、販売台数増加で85百万円増加、売価・原価・製品構成・その他の変動で622百万円減少、アフター部品の販売減少で47百万円減少、為替の円安効果で102百万円増加、販管費減少で335百万円増加、貸倒引当金繰入額減少で192百万円増加である。なお経常利益は営業外収益・費用で為替差損益が悪化(前期の為替差益520百万円に対して為替差損121百万円)したため減益となり、中国子会社2社の解散及び清算決議に伴って子会社整理損6,180百万円を特別損失に計上したため最終損失での着地となった。
一過性要因も影響して減収だが、中国の営業損失が縮小
2. セグメント別・品目別の動向
報告セグメント別(調整前)に見ると、日本は売上高が前年同期比10.9%減の23,386百万円で営業利益が同38.1%減の827百万円、中国は売上高が同7.1%減の1,037百万円で営業損失が231百万円(前年同期は609百万円の損失)、欧州は売上高が同5.8%減の2,706百万円で営業利益が同25.6%減の45百万円だった。日本は国内向け油圧ショベルが前年並みだが、建設用クレーンの一部大型製品の販売時期先送り、前期の東南アジア向け建設用クレーン大口案件の反動、米国向け輸出における米大統領選前の油圧ショベル買い控え影響等で減収減益だった。中国は油圧ショベルの厳しい販売環境の影響で減収だが、販管費の削減効果で営業損失は縮小した。欧州は全般的に建設需要が鈍化して減収減益だった。
主要品目別の売上高を見ると、建設用クレーンは前年同期比7.1%減の16,912百万円(国内が同6.2%減の14,716百万円、海外が同13.0%減の2,196百万円)、油圧ショベル等が同15.8%減の9,258百万円(国内が同2.2%減の3,863百万円、海外が同23.5%減の5,394百万円)だった。また海外の仕向地別売上高を見ると、アジアが同15.1%減の2,618百万円、中近東が同65.4%減の184百万円、欧州が同2.9%増の2,677百万円、オセアニアが同38.4%減の200百万円、アフリカが同68.2%減の40百万円、北・中南米が同34.8%減の1,919百万円だった。アジアは中国向けが減少、欧州は建設需要鈍化で横ばい、北・中南米は米大統領選前の買い控え影響で減収だった。なお国内売上高合計は同5.5%減の18,841百万円、海外売上高合計は同20.6%減の7,642百万円で、海外売上比率は同3.6ポイント低下して28.9%となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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