加藤製作所 Research Memo(1):2025年3月期は最終損失で着地予想も、2026年3月期の収益改善に期待
加藤製作所は、建設クレーンと油圧ショベルを主力とする歴史ある建設機械メーカーです。2025年3月期は営業利益が増加したものの、特別損失の影響で中間純損失を計上しました。しかし、通期予想では特別損失が縮小し、前期比で売上が増加する見込みです。同社は中期経営計画を通じて収益性の向上を図り、インド市場への進出を含む成長戦略を推進しています。これにより、2026年3月期には大幅な収益改善が期待されています。
加藤製作所<6390>は1895年の創業(個人事業)以来130年近い歴史を持つ大手建設機械メーカーである。社会インフラ構築に欠かせない建設機械メーカーのパイオニアとして、現在は建設用クレーンや油圧ショベルを主力として事業展開している。顧客の要望に応えて「頑丈」「力強い」「操作しやすい」といった顧客視点の製品づくりを特徴としており、顧客から高い信頼を得ている。
1. 建設用クレーンと油圧ショベルが主力
建設用クレーンのラインナップはラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、クローラクレーン、油圧ショベル等のラインナップは油圧ショベル、ミニショベル、クローラキャリアである。品目別売上構成比は建設用クレーンが6割、油圧ショベル等が4割、全体の海外向け売上比率は3割前後で推移している。同社の市場におけるポジションとしては、建設用クレーンで大手、油圧ショベルで中堅という位置付けである。新製品開発では世界初のハイブリッド式ラフテレーンクレーンの受注を2024年11月に開始した。なお中国事業については中国子会社2社の解散及び清算を決定した。一方で、中国に代わる新たな主要市場としてインド及びその周辺国を含めた商圏を拡大する方針を打ち出し、インド最大手のクレーン製造・販売企業とインド国内での合弁会社設立に向けた協議を進めている。
2. 2025年3月期中間期は営業増益だが特別損失の計上により最終損失での着地
2025年3月期第2四半期(以下、中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比10.4%減の26,483百万円、営業利益が同5.7%増の845百万円、経常利益が同16.5%減の1,340百万円、親会社株主に帰属する中間純損失が4,988百万円(前年同期は2,521百万円の利益)となった。売上面は国内建設用クレーン新製品の販売時期先送りによる期ズレ、前期の東南アジア向け建設用クレーン大口案件の反動、米国向け輸出における大統領選前の油圧ショベル買い控え影響、欧州の建設需要後退、中国子会社2社の解散及び清算決定などにより2ケタ減収だが、営業利益は為替の円安効果、販管費の減少、貸倒引当金繰入額の減少などにより小幅ながら増益となった。経常利益は営業外収益・費用で為替差損益が悪化したため減益、中国子会社2社の解散及び清算決議に伴って子会社整理損6,180百万円を特別損失に計上したため最終損失での着地となった。
3. 通期予想は前回予想比で最終損失が縮小する見込み
2025年3月期通期の連結業績予想は2024年11月8日付で修正し、売上高が前期比7.0%増の61,500百万円、営業利益が同9.3%減の1,500百万円、経常利益が同37.9%減の1,600百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が4,200百万円(前期は4,235百万円の利益)としている。前期比で見ると、売上高は前期から発生していた建設用クレーンの一部機種における主要部品供給制約の解消や拡販強化などにより増収を見込むが、営業利益は全般的な需要鈍化、中間期の一過性要因、原材料価格上昇や成長投資などにより減益、経常利益も為替差益を見込まず減益予想とし、子会社整理損の計上により最終損失計上となる見込みである。なお前回予想との比較では最終損失が縮小する見込みとなった。販売先送りとなっていた新エンジン搭載80t吊りラフテレーンクレーンを2024年12月に販売開始するほか、中国子会社2社の解散及び清算処理完了など一過性のマイナス要因が一巡し、売価・原価改善効果の進展なども寄与して、2026年3月期の収益は大幅改善が期待できると弊社では考えている。
4. 中期経営計画で収益性向上戦略を推進
同社は2022年3月に中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を策定した。次なる飛躍に向けた徹底的な変革ステージと位置付けて収益性向上戦略を推進している。計画最終年度となる2025年3月期の業績予想については売上高・営業利益とも当初計画値に届かない見込みであるが、2024年5月に発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」より、今後策定を予定している2026年3月期を初年度とする次期中期経営計画において、関連指標に係る具体的な中期目標を開示し、計画達成に向けた各種施策を推進する。今後も成長戦略の着実な実行による業績拡大、株主還元の充実やIRの強化の継続などにより、企業価値の向上に取り組んでいく。なお株主還元については2025年3月期の最終損失計上が一過性要因によるものであり、2026年3月期以降の業績拡大や資本収益性改善が見込まれるため、前期比増配予想としている。
■Key Points
・130年近い歴史を持つ大手建設機械メーカー、建設用クレーンや油圧ショベルが主力
・2025年3月期中間期は営業増益だが特別損失の計上により最終損失での着地
・通期予想は前回予想比で最終損失が縮小する見込み
・中期経営計画で収益性向上戦略を推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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