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データセク Research Memo(6):海外事業は南米市場の高い成長性とPMIにより、今後の成長が期待される


*15:16JST データセク Research Memo(6):海外事業は南米市場の高い成長性とPMIにより、今後の成長が期待される ■業績動向

2. 事業セグメント別の動向
2024年3月期第2四半期より、データセクション<3905>の従来の事業セグメントである「FollowUP」を主力とした「リテールマーケティング」及び「AI・システム開発事業」「ソーシャルメディア分析事業」「新規事業」を含んだ「データ分析ソリューション」の2セグメントから「国内事業」「海外事業」の2セグメントに再編した。

(1) 国内事業
売上高は1,383百万円(前期比9.8%増)、セグメント損失は18百万円(前期は76百万円のセグメント利益)となった。2024年3月期において、売上高は前期比で増加した。主な要因は、2023年9月に譲り受けたThe ROOM4Dのデータサイエンス事業が寄与し、連結子会社DSSにおける複数の大型開発案件が進行したことによる。今後は、The ROOM4Dの買収後の統合(PMI)を通じてデータサイエンス領域を強化し、データ利活用やAI開発の実績を生かしたコンサルティングやIT教育の提供を拡大する。また、DSSとの連携を深め、Fintech領域での受注拡大に努める。ソーシャルメディア分析事業では、自社の「Insight Intelligence」シリーズや連結子会社SIによる多言語ソーシャルメディア分析のコンサルティングサービスが提供され、パブリックセクターやインバウンドニーズの案件増加により売上高が増加した。リテールマーケティング事業においては、AIカメラとPOSデータを組み合わせた「FollowUP」の導入が進み、特に多店舗展開を行う小売業からの受注が増加した。新規事業では、AIによる医療系データ解析サービスの開発に注力し、モニタリングAIや国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトの進行があった。小売業向けの新製品開発や医療関連ビジネスの進行により、国内各社全般に受注が拡大したものの、事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用、エンジニア人材の増強、BPO費用の拡大、人件費及び業務委託費の増加により、セグメント損失は18百万円となった。

(2) 海外事業
2024年3月期の海外事業の売上高は865百万円(前期比12.6%増)となり、セグメント利益は176百万円(前期は118百万円のセグメント損失)となった。同社の海外事業は、グローバル展開が進み、特に南米市場での成長が著しい。「FollowUP」は20ヶ国以上で展開されており、チリの連結子会社Jach Technology SpAでは、現地上場ディベロップメントなどの大口顧客からの受注が増加した。また、スペインとパナマの非連結子会社を連結子会社化し、商圏を拡大することでグローバルな事業基盤を強化している。さらに、2021年9月に子会社化したINTELIGENXIA S.A.や、2023年3月期に連結子会社化した、FollowUP Peru S.A.C.も順調に成長し、買収後のPMIも順調に進行している。南米市場の高い成長性とPMIの進行により、グローバル事業の基盤が強化され、今後の成長が期待される。

2024年3月期は、国内事業について、売上高の増加はプラスの兆候ではあるものの、セグメント損失が発生している点は懸念材料である。データサイエンス事業やFintech領域の拡張など、新規事業への積極的な投資は長期的な成長には必要だが、短期的にはコスト管理と事業効率の向上が重要になる。特に、人件費や業務委託費の増加には注意が必要だ。これらの支出が収益の改善に直結するかどうか、継続的なモニタリングが求められる。海外事業に関しては、売上高と利益の両方で前年を上回る結果を出しており、特に南米市場での強いパフォーマンスが見られる。新興市場への積極的な投資が実を結んでいるものの、PMIの進捗と、新市場でのブランドと製品の浸透度を評価することが今後の成功を左右すると見ている。今後も地域特有のニーズに応える製品開発とマーケティング戦略が重要になると、弊社では見ている。

3. 財務状況と経営指標
2024年3月期末の資産合計は3,786百万円で、前期末比13.7%減の599百万円減少した。これは現金及び預金が244百万円、有形固定資産が139百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が86百万円増加した一方、投資その他の資産が862百万円、無形固定資産が124百万円減少したことが主な要因だ。負債合計は1,803百万円で、前期末比3.9%減の73百万円減少した。これは短期借入金が86百万円、流動負債が148百万円、その他固定負債が64百万円増加した一方、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が358百万円減少したことが要因である。純資産は1,982百万円で、前期末比21.0%減の526百万円減少した。2024年1月26日付の第三者割当による新株式及び新株予約権の発行により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ352百万円、新株予約権が22百万円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が1,253百万円減少したことが主な要因である。

2024年3月期の連結財務指標は、自己資本比率が50.6%となり、前期の56.2%から低下したものの、健全な水準を維持している。一方、時価ベースの自己資本比率は329.7%に急上昇し、前期の88.0%から大幅に改善した。これは、株価上昇や市場評価の向上が寄与していると考えられる。キャッシュ・フロー対有利子負債比率は、前期の623.7年から3.7年へと劇的に改善した。これはキャッシュ・フローの増加と有利子負債の削減が主な要因である。インタレスト・カバレッジ・レシオも前期の0.2倍から28.6倍へ大幅に改善し、利息支払い能力が飛躍的に向上した。これらの指標から、同社は財務健全性の向上と市場評価の改善に成功しており、経営基盤が強化されていると言える。特に、有利子負債の管理とキャッシュ・フローの強化が財務体質の改善に寄与している点が評価される。

4. キャッシュ・フロー計算書
2024年3月期末の現金及び現金同等物は、前期末比で244百万円増加し、1,659百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは333百万円となり、前期の2百万円から大幅に改善した。これは、税金等調整前当期純損失が1,099百万円であったにもかかわらず、貸倒損失や減損損失、減価償却費などの非現金費用の計上が寄与したことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは569百万円の支出となり、前期末の255百万円から増加した。これは主に、有形固定資産の取得による支出が536百万円に達したことなどが原因である。これにより、将来的な成長基盤が強化されることが期待される。財務活動によるキャッシュ・フローは382百万円の獲得となり、前期末の242百万円から増加した。これは主に、株式の発行による収入が704百万円、長期借入金による収入が135百万円、短期借入金の増加が86百万円となったものの、長期借入金の返済による支出が504百万円発生したことによる。これらの活動により、資金調達が進み、財務基盤の安定化が図られた。総じて、2024年3月期においては、営業活動によるキャッシュ・フローの改善と資金調達の成功により、現金及び現金同等物が増加し、財務の健全性が向上している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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