和田興産 Research Memo(2):長い歴史を誇り、地元での認知度が極めて高い総合不動産会社
1. 会社概要
和田興産<8931>は、1899年の創業以来125年の長い歴史を有する総合不動産会社であり、不動産販売事業(分譲マンション・戸建て住宅及び宅地などの開発・販売)と賃貸その他事業(マンション・店舗及び駐車場などの賃貸・管理)を主な事業内容とする。日本有数の住宅地である神戸市、明石市、阪神間を中心に事業展開し、特に本社を構える神戸市では、2023年までマンション分譲実績で26年連続1位を誇っている。また、日本経済新聞社大阪本社「第26回(2023年)マンションブランドアンケート関西版」によれば、企業とブランド名の組み合わせ認知度で6位、「個性がある」ブランドで7位、「親しみがある」ブランドで3位と、大手事業者の中でも同社の地元での存在感は大きいと言える。
企業理念として「共生(ともいき)」を掲げている。人と人とのつながりを大切に、共に支えあい、自分の生き方が他の人の幸せにつながることを歓びとするという想いのもと、住む人一人ひとりの気持ちに応えながら、自身の生き方にフィットするオンリーワンの住まいづくりを心がけている。同社では、7つの観点(暮らしと共に、豊かさと共に、街と共に、環境と共に、こどもと共に、みんなと共に、未来と共に)で持続可能な社会づくりに貢献する「ナナトモ サステナビリティ」を宣言している。
また、プロダクトコンセプトとして、「プレミアムユニーク(価値ある独創)」を掲げ、住む人にとってオンリーワン(かけがえのない)住まいづくりとして、ものづくりと住む人の気持ちにこだわった同社が目指すべき住まいのあり方を示している。いつまでも変わらぬ愛着と、住まいとしての価値を誇れる、住む人にとっての「プレミアムユニーク」を神戸発・神戸ブランドとして発信している。
同社では、「地域密着」で事業展開することで、3つの強みを有している。第1は、「用地取得力」である。地元の不動産仲介会社と長年の付き合いを通じ、用地情報を他社よりも早くキャッチできる。第2に、その土地を生かすための「企画力」である。地域に根差し、地域と共に歩んできたからこそ、その土地に寄り添ったこだわりの企画を実現できている。第3に、「ネットワーク力」である。土地を生かすための企画を考え、実現するためには社内外を超えた「人」との協力が必要不可欠であるが、長年にわたって築いた信頼関係と協力体制を有している。これらの強みを発揮することで、年々業容を拡大している。
2024年2月末現在、従業員数は122名(うち正社員108名)である。2022年5月より、創業家の和田 剛直(わだ たけなお)氏が代表取締役会長、溝本 俊哉(みぞもと としや)氏が代表取締役社長を務め、両氏のリーダーシップのもと、着実に中期経営計画を推進している。
2. 沿革
同社の歴史は、1899年1月に神戸市で不動産賃貸業を創業したことに遡る。その後、1966年12月に和田興産(有)を設立し、1979年9月には和田興産(株)に改組した。
創業時以来、不動産賃貸業を行っていたが、1968年3月より宅地開発・分譲・木造戸建住宅の販売を開始している。また、1982年4月には分譲マンションの1棟販売を開始し、1985年12月には賃貸マンション事業を本格的に開始した。1991年3月より自社ブランド「ワコーレ」として分譲マンション事業を本格化した。1996年6月には、阪神淡路大震災からの復興のため、優良建築物等整備事業に従事している。
さらに、2007年5月には木造戸建住宅の販売を本格化し、2012年8月には大阪府下でマンション供給を開始し、2013年8月には阪神地区で不動産仲介を行う(株)日住サービスと資本業務提携し、2016年2月には阪神間を中心に分譲・賃貸マンションの管理を行う晴耕雨耕(株)とも資本業務提携をするなど、神戸市、明石市、阪神間を中心に年々事業を拡大してきた。2005年3月より首都圏で分譲マンション販売を行っていたが、リーマンショックを期に原点回帰を目指し、2016年2月には東京営業所を閉鎖した。現在は、近畿圏で地域密着型経営を推進している。
事業拡大に伴い、2004年9月にはJASDAQ市場に株式を上場し、2020年4月には東証2部へ市場変更、2022年4月には東証スタンダード市場に移行している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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