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サイジニア Research Memo(5):実質増収かつ期初計画を超過達成


*12:45JST サイジニア Research Memo(5):実質増収かつ期初計画を超過達成 ■サイジニア<6031>の業績動向

1. 2024年6月期第1四半期の業績
中期経営計画初年度となる2023年6月期の第1四半期業績は、売上高が491百万円(前年同期比57.4%減)、営業損失が98百万円(前年同期は61百万円の損失)、経常損失が100百万円(同63百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が91百万円(同40百万円の損失)となった。大幅な減収はネット広告サービスを事業売却したためで、実質は増収である。また、損失は主力のZETAにおいて第1四半期が費用先行期となるためである。なお、期初予想との比較では、売上高で36百万円、営業利益で40百万円の超過達成となり、想定以上に好調な着地となった。

新型コロナウイルス感染症の法律上の位置付けが2023年5月に「2類相当」から「5類」へと引き下げられ、国内経済活動は正常化に向かっているが、ウクライナ情勢や円安、原燃料価格の高止まりなどが重なり、日本経済は依然として先行き不透明な状況が続いている。一方、同社の事業領域である国内EC市場はコロナ禍前の2019年を上回る規模に拡大しており、同社の主要顧客が多く属する物販系分野のEC市場は特に伸長しているようだ。このような市場環境の下、「ZETA CXシリーズ」の新サービス「ZETA BASKET」をリリースするなど、同社はCX改善サービスの積極展開に努めた。

この結果、事業売却によりネット広告サービスの2023年6月期第1四半期売上高295百万円が消滅したため減収となったが、CX改善サービスの売上高は前年同期の193百万円から8.3%増加して209百万円となり、売上高は実質増収となった。これはZETAが引き続き好調に推移したためで、主軸の「ZETA SEARCH」をはじめ「ZETA CXシリーズ」の既存製品が堅調に推移したところに、前期にリリースした「ZETA HASHTAG」が成長を開始したことなどが背景にある。また、2015年にリリースした「ZETA AD」がリテールメディア市場の広がりを受けて受注が入り始めたほか、2023年8月にリリースした、サイト内のあらゆる商品から目的別・テーマ別にコーディネート(まとめ)を提案するECキュレーションエンジン「ZETA BASKET」が好評価されるなど、CX改善サービスの積極展開策が奏功したと言える。利益面では、ネット広告サービスから撤退したことで第1四半期が費用先行期となるZETAの収益特性が強く現れたことにより損失を計上したが、ZETAの業績が想定を超えて好調だったため、期初予想との比較では超過達成となった。


「ZETA AD」の受注拡大などにより通期業績も上振れを期待
2. 2024年6月期の業績見通し
同社は2024年6月期の連結業績について、売上高1,800百万円(前期比26.2%減)、営業利益470百万円(同23.4%増)、経常利益455百万円(同20.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益270百万円(同3.6%増)を見込んでいる。ネット広告サービス撤退の影響は主に売上高の一時的減少という形で現れるが、低採算事業からの撤退となるため利益率は大きく向上する見込みである。

日本経済は今後も気が抜けない状況が続くと思われるが、同社がターゲットとするEC市場は、社会のデジタル化やDX化を背景に引き続き拡大が見込まれている。このため、実店舗中心の小売企業でもEC売上が拡大を続けており、また、EC売上の拡大に伴いECにおける接客強化や実店舗との相互送客といったよりレベルの高いCXが求められている。このような傾向はEC売上が早くに拡大したアパレル業界から小売業界全体へと広がり始めている。このため、こうしたニーズにフィットする同社のハイエンドで多機能なCX改善サービスは、新規顧客の増加や既存顧客による複数サービスの導入が引き続き見込まれ、期初予想の達成は射程圏にあると言える。さらに、第1四半期業績の超過達成に加えて、期初予想に織り込んでいない「ZETA AD」の受注拡大と「ZETA BASKET」のリリースなどにより、通期でもやや上振れて着地することが期待できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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