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川辺 Research Memo(1):2023年3月期は黒字化を達成。次の100年に向けて中期経営計画を策定


*12:01JST 川辺 Research Memo(1):2023年3月期は黒字化を達成。次の100年に向けて中期経営計画を策定 ■要約

川辺<8123>は服飾雑貨の製造卸売・小売を展開する老舗の専門商社である。「インターモード川辺」の名称で、ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、タオル、雑貨等を販売する身の回り品事業、香水等を販売するフレグランス事業を展開している。2023 年2月に創業100周年を迎え、100周年活動の一環として「ハンカチ王子」こと元プロ野球選手の斎藤佑樹(さいとう ゆうき)氏とパートナーシップ契約を結び、ハンカチーフ市場の活性化に向けて「斎藤佑樹さんとのプロジェクト」を始動した。

1. 2023年3月期は黒字回復
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比16.4%増の12,551百万円、営業利益が123百万円(前期は214百万円の損失)、経常利益が205百万円(同122百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が124百万円(同365百万円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響が和らぎ、特に第4四半期に百貨店等への人流回復やインバウンド需要回復が顕著となり同社の売上高も回復傾向となった。各利益は為替の円安影響のほか広告宣伝費や人件費の増加などのコストアップ要因があったものの、増収効果や第4四半期からの販売価格改定効果、その他経費抑制効果、在庫削減効果などにより黒字へ回復した。

2. 2024年3月期は営業・経常増益予想、さらに上振れ余地
2024年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比7.5%増の13,491百万円、営業利益が9.5%増の135百万円、経常利益が1.3%増の208百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が19.7%減の100百万円としている。引き続き人流回復を見込み、新商品投入や拡販を推進して増収、営業・経常増益予想としている。親会社株主に帰属する当期純利益については前期計上の特別利益剥落などにより減益予想である。同社は、事業環境(為替変動やインフレなどによる個人消費やコスト環境への影響)の不透明感、一部百貨店向け取引業態変更の影響、前期計上のコロナ関連助成金の剥落、成長に向けた先行投資などを考慮して、営業利益と経常利益が小幅増益に留まる見込みとしている。ただし弊社では、インバウンド需要の回復や価格改定効果の通期寄与なども勘案すれば予想に上振れ余地があると考えている。

3. 「中期経営計画2023 NEXT」でオリジナルブランド強化
同社は2023年6月に「中期経営計画2023 NEXT」を策定・公表した。本計画を「次の100年に向けた未来作りの一歩」と位置付けて、定量目標は2026年3月期の売上高14,550百万円、経常利益300百万円、配当性向40%以上としている。基本方針は、親会社の一広(株)を含めた同社グループの強みである「川上の製造から川下の販売までカバーする垂直型のサプライチェーン」を生かし、新規販路の開拓、生産性向上やコスト削減による収益確保、ブランド力向上と顧客満足度向上、グループ全体で連携した「モノ作りと販売」による新たなオリジナルブランドの強化、人材育成、サステナビリティ事業への取り組みを強化する。

4. グループ連携とオリジナル創造に注目
同社の岡野将之(おかの まさゆき)代表取締役社長は「コロナ禍からの回復途上ながらも、2023年3月期は黒字必達という目標を達成することができた。2024年3月期は新たに策定・公表した「中期経営計画2023 NEXT」の初年度として、変革に向けた取り組みを本格化させたい」と意気込みを語っている。弊社では、同社の自社オリジナルブランドの育成が成長に向けたポイントになるだろうと考えており、グループ会社連携による製造と販売の拡大及びオリジナルの創造という重点戦略の進捗状況に注目している。

■Key Points
・2023年3月期は黒字回復
・2024年3月期は営業・経常増益予想、さらに上振れる可能性
・次の100年に向けて「中期経営計画2023 NEXT」を策定。グループ連携とオリジナル創造に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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