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ウェーブロックHD Research Memo(1):樹脂成形加工の同業と資本業務提携を発表、事業シナジー創出を図る


*12:01JST ウェーブロックHD Research Memo(1):樹脂成形加工の同業と資本業務提携を発表、事業シナジー創出を図る ■要約

ウェーブロックホールディングス<7940>は、防虫網や農業用、建設資材用各種シート等のマテリアルソリューション事業と、金属調加飾フィルムを中心としたアドバンストテクノロジー事業を展開する樹脂加工メーカーである。環境関連ビジネスの取り組みを強化すべく、地中熱ビジネス推進を目的として2022年4月に(株)エイゼンコーポレーションを子会社化した。東京証券取引所(以下、東証)市場区分見直しに伴い、2022年4月よりスタンダード市場に移行している。

1. アァルピィ東プラ(株)と資本業務提携契約を締結
2023年5月に、樹脂加工分野の同業で事業規模も同等水準にあるアァルピィ東プラ(株)(以下、RP東プラ)との資本業務提携契約を発表した。RP東プラのアセット活用による収益基盤の強化と事業シナジー創出により、グループ事業の拡大及び企業価値向上を図ることが目的だ。特に、食品業界や自動車業界向けビジネス、海外展開においてシナジー創出を期待している。同年6月にRP東プラの株式の20.32%を取得し、持分法適用関連会社とし、提携の進捗状況に応じて、過半数以上の株式を取得することも検討していく。弊社では、今回の資本業務提携によって非効率であった領域での収益性向上が期待できること、成長分野における事業展開の選択肢も増えることから、中長期的な成長を実現するうえでポジティブに評価している。

2. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比7.5%増の22,584百万円、営業利益で同46.7%減の346百万円となった。売上高は、注力分野である自動車向け金属調加飾フィルムが好調に推移したほか、原材料価格高騰に伴う売価転嫁が一部進んだことに加えて、新たに連結子会社化したエイゼンコーポレーションの売上が寄与した。一方、利益面では原材料価格やエネルギーコストの高騰による原価率の悪化、並びに巣ごもり需要の反動等で一部製品の販売数量が減少したことなどが減益要因となった。

3. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.5%増の24,500百万円、営業利益で同13.3%減の300百万円となる見通し。売上高は自動車向けの採用増により金属調加飾フィルムの高成長が続くほか、地中熱ビジネスが本格化し前期の31百万円から700百万円と急拡大することか増収要因となる。一方、利益面では原材料価格の高止まりやエネルギーコストの上昇など厳しい事業環境が続くことを前提とするなか、アドバンストテクノロジー事業の設備投資増強に伴う減価償却費の増加(前期比220百万円増)が減益要因となる。弊社で算出した本来の収益力を示すEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)では、同17.0%増と増益に転じる見通しだ。なお、RP東プラの持分法投資損益が営業外に計上される見込みだが、期初計画には織り込んでいない。

4. 中期経営計画の進捗状況
2021年6月に発表した中期3か年計画では最終年度となる2024年3月期に売上高24,500百万円、営業利益1,260百万円を目標に掲げていた。売上高は想定通り推移する見込みだが、営業利益は960百万円の未達となりそうだ。未達の内訳は、マテリアルソリューション事業で720百万円(原材料価格及びエネルギーコストの上昇や販売数量の下振れ等)、アドバンストテクノロジー事業で200百万円(先行投資による減価償却費増等)となる。ただ、中長期の成長を見据えた事業戦略については、今回のRP東プラとの資本業務提携も含めて、順調に進んでいるものと評価される。マテリアルソリューション事業については「事業構造の転換」を進め、差別化が可能な製品やソリューションに注力していくことで収益力の強化を図り、注目の新規事業である地中熱ビジネスも2024年3月期に700百万円の売上が見込まれており、収益貢献を開始する見通しだ。アドバンストテクノロジー事業では、環境に優しく機能面でも優れる金属調加飾フィルムの需要が拡大しており、米国での現地製造も開始するなど今後も高成長が期待できる状況となっている。2024年3月期は減価償却負担の増加で減益となる見込みだが、2025年3月期以降はこれまで取り組んできた施策の効果が顕在化し、業績も成長軌道に入るものと予想される。

■Key Points
・金属調加飾フィルムは自動車への採用相次ぎ高成長が続く
・2024年3月期は増収減益見込みだが、弊社算出のEBITDAベースでは2ケタ増益に転じる見通し
・樹脂成形加工の同業と資本業務提携契約を締結、協業によるシナジー創出に期待
・中期3か年計画で掲げた事業戦略は着実に進捗、2025年3月期以降は収益成長が期待できる状況に

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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