東京通信G Research Memo(3):ポイ活ゲームが好調だったほか、新規事業も順調な進捗を見せる
1. 2023年12月期第1四半期の業績概要
東京通信グループ<7359>の2023年12月期第1四半期業績は、売上高が1,252百万円(前年同期比4.6%減)、営業損失が25百万円(前年同期は37百万円の利益)、経常損失が42百万円(前年同期比50百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が70百万円(同19百万円の利益)、EBITDAが54百万円(同53.3%減)となった。プラットフォーム事業が増収増益と好調だったものの、メディア事業が減収減益となり、連結ベースの業績に影響した。ただ、同事業の減収減益は、戦略的にリソース配分を見直した結果である。同社が強化しているPaly-to-Earn領域の「ポイ活ソリティア」「ラクラクソリティア」がAppStoreのランキングで第1位を獲得するなど好調だった。こうした国内のカジュアルゲームが好調ななか、開発リソースを国内向けに重点配置した格好だ。プラットフォーム事業に関しては、電話占い「カリス」が安定して業績に貢献した。加えて、新規事業である「OWN.」も順調に会員数を伸ばしたほか、「B4ND」も参画アーティストが順調に拡大するなど、正式リリースに向けて確実に進捗が見られた。
2. 事業セグメント別動向
(1) メディア事業
メディア事業は、売上高785百万円(前年同期比11.1%減)、セグメント利益は89百万円(同17.0%減)となった。世界に配信しているハイパーカジュアルゲームアプリでは、「stop the flow!」「draw flights」などのヒットタイトルの運用が好調だった。また、同社が注力しているplay-to-Earn領域では、「ポイ活ソリティア」「ラクラクソリティア」がAppStore(無料ゲーム)のランキングにて第1位を獲得するなど、好調だった。加えて、国内向けに従来配信していたカジュアルゲームを翻訳して海外向けに配信しており、これも好調な結果となった。こうしたなかで、同社の重要指標(KPI)である運用本数(月平均)※は358本と順調に推移した。一方で、国内向けカジュアルゲームが好調だったことを受け、グローバル向けコンテンツであるハイパーカジュアルゲーム等の開発リソースの一部を国内カジュアルゲーム向けに重点配置した。これを受け、減収減益となった。ただ、足元では「ポイ活ソリティア」などのカジュアルゲームが好調であり、下期にかけても業績に貢献してくる見込みである。
※広告出稿による運用を伴う国内及び海外のスマートフォン向けアプリの1ヶ月当たりの平均本数。
(2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業は、売上高465百万円(前年同期比8.9%増)、セグメント利益は41百万円(同10.7%増)と好調だった。主力事業である電話占い「カリス」が引き続き好調に推移し、増収増益に寄与した。鑑定師の雑誌企画やTVへの積極的な出演、新たな広告媒体への広告出稿等、「カリス」の認知度向上のためのプロモーションに注力するなか、重要指標である電話占いの鑑定回数は64千回(2023年12月期通期の目標は299千回)と堅調に推移した。電話占いに関しては、2023年4月に事業譲受した「SATORI電話占い」が2023年12月期第2四半期から業績に貢献してくる見込みである。
また、新規事業も順調な進捗を見せた。ヘルステックアプリ「OWN.」に関しては、既存ユーザーの高い継続率とSNSマーケティングによる新規ユーザーの流入により順調にアクティブユーザーが増加し、累計ダウンロード数が10万ダウンロードを突破した。特に直近では、多くのフォロワーを抱える筋トレ系インフルエンサーのTestosterone氏、フィジークアスリートとして有名な久野圭一氏、筋トレユーチューバーとして人気のコアラ小嵐氏などがメンバーとして名を連ねる「OWN.Familia」を創設しており、このこともユーザー数の増加に寄与している。加えて、ECを通じたプロテインやウェアの販売なども行っており、サービスの幅も順調に拡大している状況である。
「B4ND」に関しては、2023年2月にβ版をリリースしたことを受け、営業活動が順調に進捗し、参画するアーティストの数が拡大している状況だ。今後も様々なレベルのアーティストの参画を視野に入れ、営業活動に注力していく。
(3) その他の事業
その他の事業は、売上高1百万円(前年同期比31.9%減)、セグメント損失は36百万円(前年同期はセグメント損失14百万円)となった。同社の投資先である(株)オーバースにおいて、秋元康氏が総合プロデューサーを務める新規アイドルグループ創造プロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」が順調な進捗を見せた。参画するアイドル発掘に向けてオーディションを実施中であるが、多くの応募が集まっているという。また、街づくりプラットフォーム「AMIZA」においても、2023年2月に「AMIZA CITY GINZA」を公開するなど、確実に進捗が見られた。加えて、2023年1月にはIT全般・ゲーム業界に特化した人材サービス「Seekers Port」を開設している。同事業に関しては、比較的早く業績に貢献してくる見込みである。
3. 財務状況
2023年12月期第1四半期末における財政状態は、資産合計が3,675百万円(前期末比208百万円減)、負債合計が2,868百万円(同137百万円減)、純資産合計は807百万円(同71百万円減)となった。資産の主な減少要因は、現金及び預金が119百万円、償却によりのれん、商標権及び顧客関連資産が73百万円減少したこと等によるものである。負債の主な減少要因は、返済により長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が87百万円、繰延税金負債が17百万円減少したこと等によるものである。純資産の主な減少要因は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が70百万円減少したことによるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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