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いい生活 Research Memo(5):2023年3月期は大幅な増収増益、上方修正どおりの着地(1)


*12:05JST いい生活 Research Memo(5):2023年3月期は大幅な増収増益、上方修正どおりの着地(1) ■業績動向

1. 2023年3月期の業績概要
いい生活<3796>の2023年3月期の業績は、売上高で前期比10.8%増の2,696百万円、EBITDAで同13.7%増の682百万円、営業利益で同41.7%増の234百万円、経常利益で同41.8%増の236百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同47.9%増の158百万円と大幅に増収増益となった。売上高をサービス別で見ると、サブスクリプションが同6.9%増の2,196百万円、ソリューションが同31.5%増の500百万円となった。売上構成比の81.4%をサブスクリプションであげている。

新規顧客の獲得、既存顧客へのアップセル・クロスセルなどにより、SaaSのサブスクリプションの売上が好調であったことに加え、SaaSのアドオン機能等のシステム開発の受託やSaaSの導入・運用サービスにおけるソリューションの売上も好調であったため、2023年4月に期初予想より大幅な上方修正を発表し、そのままほぼ着地変わらずの結果となった。

(1) 利用法人数・店舗数
有料課金法人数は前期末比33法人増加の1,490法人、サービス利用店舗数は同147店舗増加の4,553店舗と着実に拡大している。同社のサービスを継続して利用している法人に加え、新規の受注が伸びている傾向がうかがえ、大手企業から地方の有力企業へサービスの導入が進んでいる。地域別の利用法人数は、首都圏が約5割、首都圏及び大阪や福岡を含めた都市圏全体では約8割を占める。

(2) KPI
同社は、1顧客当たりの平均月額単価である「ARPU」と特定の期間(月単位)における顧客の解約率である「MRR解約率」をKPIとしている。「ARPU」は、通信業界で事業における健全性や収益性を評価するために使用され、顧客から収益を最大化するための戦略を立てるための指標としても活用し、「MRR解約率」は、どれだけの顧客を失っているか、事業の持続可能性や収益予測を図るために用いる。

(a) ARPU
同社のARPUの推移を見ると順調な伸びを示しており、2023年3月期第4四半期のARPUは同四半期10千円増の129千円であった。ARPUの増加は利用料金の大きい新規顧客が増加していること、及び既存顧客が新しいサービスを追加で購入していることを示している。同社は、サービスを一元的に提供しているため、顧客からのサービスの追加購入が起こりやすく、既存のサービスをフックに新しいサービスを購入する顧客が増えている。サービスラインナップが増えれば増えるほどこの収益モデルは拡大していく仕組みとなっている。

(b) MRR解約率
同社のMRR解約率の推移を見てみると、2023年3月期末のMRR解約率は0.03%(前期末は-0.68%)であり、2021年3月期第3四半期以降のMRR解約率は1%以下である。四半期によってはMRR解約率がマイナスで表示される場合もあるが、これは当月に解約となったMRRよりも既存顧客に対するアップセルによって増加したMRRが上回っていることを示している。同社のような低いMRR解約率は、高い既存顧客の維持率や満足度を保っており、今後の持続的な収益と成長につながることを示している。

(2) 人員構成
人員構成については、2023年4月末時点で、コーポレート部門が14人(2022年3月期末比増減なし)、導入・運用支援サービス部門が20人(同5人増)、カスタマーサクセス&サポート部門が25人(同1人減)、セールス&マーケティング部門が71人(同10人増)、エンジニアが74人(同9人増)となり、合計204人の体制となっており、突発的な増員はしていない。同社は、今後の不動産テックの市場活況に伴い、セールス・マーケティングへの投資に注力しており、セールス&マーケティング部門及びエンジニア部門などのフロントオフィスの人員が増加している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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