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ココナラ Research Memo(8):2023年8月期は営業損失を最小限に抑えるため、下期にコントロールする方針


*13:08JST ココナラ Research Memo(8):2023年8月期は営業損失を最小限に抑えるため、下期にコントロールする方針 ■今後の見通し

1. 2023年8月期の業績見通し
ココナラ<4176>の2023年8月期の連結業績は、営業収益で前期比25.1%増の4,800百万円、営業損失で700百万円(前期は515百万円の損失)、Non-GAAP営業損失で570百万円(同501百万円の損失)、経常損失で700百万円(同511百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で645百万円(同494百万円の損失)と期初計画を据え置いた。

「ココナラ」流通額は同25.0%増の15,900百万円を計画していたが、前述のとおりリオープニングの影響により第2四半期までの成長率が当初計画をやや下回っていること、第3四半期に入ってからも成長率に大きな変化は見られないことなどから、通期の流通額も当初計画をやや下回る可能性があると弊社では見ている。通期計画に対する第2四半期までの進捗率も44.8%と、直近2年間の平均値(約46%)をやや下回る進捗となっている。また、営業収益も流通高と同様下振れする可能性はあるものの、テイクレートが想定よりも若干上回って推移しているほか、「ココナラエージェント」のマッチング件数を増やすことで計画達成を目指す考えだ。

一方、費用面では第2四半期までの進捗率が42.6%と低い水準となっている。前述のとおりテレビCMを第2四半期に見送ったことに加えて、人材採用ペースも当初計画を下回っていることが要因だ。同社は下期の費用については通期の営業損失予想700百万円を下回ることがないように投下する方針を示している。このため、テレビCMを含めた広告宣伝費については計画の範囲内で下期に積み増すものと予想される。

(1) 「ココナラ」流通高の拡大施策
「ココナラ」流通高の見通しについては、リオープニングによる影響や景気後退による影響を考える必要がある。リオープニングによる影響については、2021年10月以降の成長率鈍化の要因になっていると同社は見ているが、一方でリオープニングから一定期間が経過したことから、今後は流通高への影響も落ち着くものと想定している。また同社は、景気が後退し不況になった場合でも、「ココナラ」のサービスは影響を受け難く不況抵抗力が強いビジネスであると認識している。不況になり収益が悪化する局面では、企業はコスト削減のため発注先の見直しを行うが、オフライン取引と比較して「ココナラ」で提供するサービスは価格メリットが大きいためで、こうした需要を取り込み、流通高を拡大していく蓋然性が高いと見ている。このため、足元の成長率が鈍化しているものの、リオープニングの影響が一巡すれば再び成長率も加速する可能性は十分にあると弊社では見ている。流通高拡大施策として、同社は以下の3点に取り組む方針だ。

a) ビジネス利用の拡大
法人ユーザー向けを対象に開設した「ココナラビジネス」の利用拡大を図るための施策として、テレビCMやタクシー広告による認知度向上を図るとともに、アライアンス戦略によって法人会員の獲得を進めていく。その第1弾として、2022年10月に(株)みずほ銀行と業務提携を発表した。みずほ銀行が抱えるネット法人顧客※に対して、「ココナラビジネス」のサービスを特典付きで利用できることを銀行のサイトを通じて告知したが、実際のところ期待したほどの効果は得られなかった。銀行では他社商材に関する営業を行えないことが一因と同社では考えており、今後は他業種で中小企業の顧客基盤を持つ企業とアライアンスを組むことで、法人会員の獲得を進める方針だ。中小企業ではDXに取り組みたいがIT系の人材が社内にいないため、DXが進まないといったジレンマを抱えている企業が多く、こうした企業に対して「ココナラビジネス」で提供する制作・ビジネス系サービスを提供していく。「ココナラビジネス」の法人会員数は2万社強だが、国内の中小企業は300万社を超えており潜在的な成長余地は大きい。一方、大企業の開拓については直接セールスが有効と考え、「ココナラエージェント」も含めて営業活動を開始している。

※みずほ銀行で「法人口座開設ネット受付」経由で新たに口座を開設した法人顧客や、「みずほビジネスデビッド(Visa)」の会員顧客(一部個人事業主含む)。


b) ユーザビリティの向上
「ココナラ」の利便性向上を目的とした機能拡充については、下期以降も継続的に実施する予定だ。期初段階では「予約管理機能」「サブスクリプション機能」※1「高額取引向け決済機能」※2の導入を計画し、「予約管理機能」についてはリリースしたが、そのほかの機能については適宜、開発の優先順位を見直していることもあり現時点では未定となっている。その代わりの新機能として、ChatGPTを活用した「AIアシスタント機能(β)」を2023年4月にリリースした。こうした新機能の開発によって、マーケットプレイスが活性化し流通高も拡大していくものと予想される。

※1 「サブスクリプション機能」は、レッスンなど月額で定期的にサービスを購入・販売したいユーザー向けの機能。
※2 「高額取引向け決済機能」とは、納品までの期間が長いプロジェクト型案件について、進捗状況に合わせたマイルストン課金を行う機能。出品者にとっては、納品前段階でも一定の収入が得られるメリットがある。


c) 新規事業の立ち上げ
新たなマッチング手法へのチャレンジとして、ITフリーランス向け業務委託案件の紹介サービス「ココナラエージェント」を2023年1月から開始した。現時点では想定どおりで、順調な立ち上がりとなっているようだ。案件数を獲得するための営業組織も新たに作り、経験者の中途採用を強化する方針となっている。「ココナラエージェント」は「ココナラ」で扱えなかった月次稼働型案件となるため、「ココナラ」会員のIT系フリーランスに対して多様な働き方を提供できることにもなり、競合他社にはない強みとなる。また、月次稼働型案件を利用する法人会員が、単発案件について「ココナラビジネス」を利用する機会が増えることも想定され、2つのサービスを提供することによるシナジーも期待できることになる。同社では「ココナラエージェント」のサービス開始によって、法人会員の拡大だけでなくITフリーランスの登録者を増やすことで、ココナラ経済圏を一段と拡大する戦略だ。また、2023年8月期中にもう1つ新規事業を立ち上げる可能性を会社側では示唆している。同社は検討中のサービスとしては、「ココナラ」の周辺サポートがあり、また将来的には海外進出も見据えている。

(2) 営業費用の見通し
営業費用は前期比26.4%増の5,500百万円を計画している。広告宣伝費は2022年8月期並みの水準を想定していたものの、前述のとおりテレビCMを第2四半期に見送ったこともあり、やや下回る可能性がある。一方、人件費・採用費や支払手数料・システム費、業務委託費などは前期比で2ケタ増となる見通しだ。また、新規事業開始に伴う立ち上げ費用も営業費用の増加要因となる。

なお、株式報酬費用とココナラスキルパートナーズの事業費用を除いたNon-GAAP営業損失では570百万円(前期は501百万円の損失)を見込んでいる。営業利益との差額が前期の14百万円から130百万円に拡大するが、過半は株式報酬費用の増加によるものとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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