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サイオス Research Memo(3):オンプレミス向けの販売減少とSaaS事業への先行投資により減収、営業損失計上


*15:23JST サイオス Research Memo(3):オンプレミス向けの販売減少とSaaS事業への先行投資により減収、営業損失計上 ■業績動向

1. 2022年12月期の業績概要
サイオス<3744>の2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.3%減の14,420百万円、営業損失で572百万円(前期は358百万円の利益)、経常損失で499百万円(同400百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失で639百万円(同367百万円の利益)となった。2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、収益認識会計基準)等を適用しており、売上高は489百万円減少、営業利益及び経常利益はそれぞれ22百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は26百万円増加した。

業績悪化の要因は、大きく分けて2つある。1点目は、2021年後半から続いている半導体不足によりサーバー等のハードウェア製品の供給不足が生じ、顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受け、オンプレミス向け製品・サービスの売上が減少したことが挙げられる。2点目は、SaaS事業強化に向け投資を積み増したことが挙げられる。

また、売上総利益は前期比217百万円減に留まったものの、販管費が同713百万円増加したことにより、営業損失幅が拡大した。販管費の増加要因としては、人件費を含む研究開発費として838百万円(同199百万円増)を計上した。


「Gluegentシリーズ」、MFP向けソフトウェア製品は堅調な増収に

2. 事業セグメント別の動向
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業の売上高は前期比9.1%減の8,716百万円、セグメント損失は13百万円(前期は352百万円の利益)となった。主力自社製品である「LifeKeeper」は国内におけるライセンス販売が減少したものの、米州及びアジア・オセアニア地域はサブスクリプション販売が伸長したこともあり増収となった。一方、売上構成比の高いRed Hat, Inc.関連商品は、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受け、大型案件の受注が減少し減収となった。海外売上高については、円安効果もあり同27.4%増の792百万円となった。利益面では、減収に伴う売上総利益の減少に加えて、人件費の増加が減益要因となった。なお、収益認識会計基準等の適用に伴う収益への影響はない。

(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前期比7.2%減の5,691百万円、セグメント損失は570百万円(前期は4百万円の利益)となった。「Gluegentシリーズ」及びMFP向けソフトウェア製品が堅調な増収となったものの、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受け、金融機関向け経営支援システム販売が減収となった。利益面では、減収に加えて人件費増加、新製品・サービスへの投資が減益要因となった。新製品・サービスとしては、Med Tech領域で「INDIGO NOTE」をリリースしたほか、HR Tech領域で「OurEngage」を提供開始した(詳細は後述)。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は489百万円減少、セグメント利益は22百万円増加した。


有利子負債が減少、将来の売上となる契約負債は順調に積み上がる

3. 財務状況と経営指標
2022年12月期末の総資産は前期末比627百万円減少の6,022百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が643百万円減少した。固定資産では投資有価証券が91百万円増加した一方で、繰延税金資産が57百万円、差入保証金が45百万円それぞれ減少した。

負債合計は前期末比26百万円増加の4,778百万円となった。買掛金が132百万円、有利子負債が91百万円、未払法人税等が24百万円それぞれ減少した一方で、将来の売上高となる契約負債が361百万円増加した。契約負債が発生する製品・サービスとしては、「LifeKeeper」、「Gluegentシリーズ」やMFP向けソフトウェア製品(サブスクリプションモデル)等がある。純資産合計は同654百万円減少の1,243百万円となった。円安進展により為替換算調整勘定が82百万円改善した一方で、配当金130百万円と親会社株主に帰属する当期純損失639百万円の計上により利益剰余金が761百万円減少した。

経営指標を見ると、収益悪化により自己資本比率が前期末の27.7%から19.4%に低下したが、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は2,282百万円と2,000百万円台を維持しており、契約負債も前期末比361百万円増加の2,760百万円に積み上がっていることから、財務面の懸念はないと弊社では見ている。一方、同社は収益性の改善に向け、フロー型からSaaS事業を中心としたストック型への転換を進めている。2023年12月期は事業構造改革も実施する計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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