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エスプール Research Memo(9):2025年11月期の営業利益50億円達成の蓋然性が高まる


*14:49JST エスプール Research Memo(9):2025年11月期の営業利益50億円達成の蓋然性が高まる ■今後の見通し

3. 中期経営計画
エスプール<2471>は2021年11月期から5ヶ年の中期経営計画を推進している。基本方針として「環境変化に強いバランスの取れたポートフォリオ経営の推進」に取り組み、「社会的価値と経済的価値創出の両立」をテーマに掲げている。事業戦略としては、「既存事業の深掘りによるオーガニック成長の継続」「新たな事業領域における成長機会の獲得」の2つの戦略を推進し、また組織戦略として「ESGを軸とした経営基盤の強化」に取り組んでいく方針を打ち出した。

最終年度となる2015年11月期の業績目標としては、売上高410億円、営業利益50億円を設定していたが、中期経営計画の2年目を終えて、改めて事業別の進捗状況も踏まえて計画を精査し発表した。結論としては、売上高は人材アウトソーシングサービスの計画引き下げを主因として364億円に引き下げたものの、営業利益については障がい者雇用支援サービスの見通し引き上げや、新規事業となる広域行政BPOサービス、環境経営支援サービスの想定を上回る成長により50億円の目標を維持した格好となっている。経費は前回計画から本社共通費用や投資費用・予備費などを合わせて4.9億円増額しているが、特に具体的な増加要因となるものはないことから、50億円達成の蓋然性は高まっていると言えるだろう。

(1) 人材アウトソーシングサービス
2025年11月期の売上高は2022年11月期比8.6%増の18,000百万円、営業利益は同9.6%増の1,830百万円を見込む。足元の売上状況を踏まえて売上回復ペースを保守的に修正し、前回目標から売上高で7,200百万円、営業利益で855百万円引き下げた。コールセンター業務については、チーム派遣による高品質なサービスの提供による主要顧客での取引シェア拡大により、今後も着実な成長を見込む。一方、販売支援業務では携帯ショップ向けの回復が見込み薄ななか、旅行関連業界などその他業界向けに販路を拡大していくことができるかがポイントとなる。

(2) 障がい者雇用支援サービス
2025年11月期の売上高は2022年11月期比54.5%増の8,900百万円、営業利益は同47.5%増の3,280百万円を見込む。前回計画から売上高で800百万円、営業利益で280百万円上積みした。農園数は2022年11月期末の37園から66園に、管理区画数で同6,211区画から10,610区画に拡大していく。年間で1,400~1,500区画の販売ペースで達成することになる。前述のとおり、障がい者雇用率が現行の2.3%から2024年4月には2.5%に引き上げられることもあり、需要面では問題ない。

また、同社は現在、1パッケージ(6区画、障がい者雇用3名)単位で販売しているため、従業員130名以上の企業が販売対象先となっていたが、43.5~130人の企業(障がい者雇用数1~2名)に対しても同社の農園を活用できるような新たなサービスの開発も進めることで、販売対象先を拡大し成長を継続する考えだ。

(3) 広域行政BPOサービス
2025年11月期の売上高は2022年11月期比5.5倍の5,000百万円、営業利益で同5.7倍の1,750百万円を見込む。前回計画では売上高で3,000百万円を目標としていたが、想定以上にBPOセンターの引き合いが強いことから、目標を2,000百万円引き上げた。

BPOセンターの拠点数は2022年11月期末の11拠点から50拠点に拡大する。同社が対象とする地域は全国で120拠点程度(センター雇用者数30人以上/拠点)、このうち60~70拠点まで開設可能と見ており、50拠点という数字は十分達成可能な水準と見られる。また、15~20人/拠点の運営が可能な小規模自治体まで含めると、さらに拡大することも可能だ。

リスク要因としては競合企業の参入があるが、現時点では確認されていない。また、新型コロナウイルス感染症関連やマイナンバー関連など現状は行政で取り扱う業務が多いこともあって繁忙状況が続いているが、これらの業務が一段落した後にその他の市民サービス業務を取り込むことができるかどうかによって拠点当たりの収益も変わってくると見られ、その動向は注視しておく必要がある。

(4) 環境経営支援サービス
2025年11月期の売上高は2022年11月期比67.1%増の1,200百万円、営業利益は同70.7%増の560百万円を見込む。前回計画では売上高で500百万円を目標としていたが、足元の需要が想定以上に好調なことから大幅に上方修正した。気候変動や水セキュリティ分野に加えて生物多様性など環境経営に関わる様々なコンサルティングサービスを提供していくことで、一段の収益成長を目指す。前述したように、上場企業においては環境経営への取り組みの重要性が今後も高まる方向にあることからビジネスチャンスは広がっており、目標を達成する可能性は十分あると見られる。

(5) その他既存サービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスや採用支援サービス、セールスサポートサービス等のその他の既存サービスについては、2025年11月期の売上高で2022年11月期比33.7%増の3,760百万円、営業利益で同306.3%増の260百万円を見込む。直近の収益状況を踏まえて、前回計画から売上高で580百万円、営業利益で375百万円引き下げた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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