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マイクロアド Research Memo(3):消費者行動を分析し、顧客企業のデジタルマーケティングの課題を解決(2)


■マイクロアド<9553>の会社概要

・BtoB業界向け「シラレル」
同プロダクトは、BtoBマーケティングを支援するデータプラットフォームである。法人向け製品やサービスの認知拡大を目標としている企業に対し、1,000万以上のデータ量をほこる大規模ビジネスデータを利用してターゲティング広告を配信するサービスを展開している。同プロダクトの特徴は、「豊富なデータを利用し、精緻なターゲティング広告が可能になること」「広告配信後のレポーティングサービスが充実していること」「アンケートによって広告配信の効果を可視化できること」だ。特にBtoBマーケティングに活用可能なデータソースは非常に豊富であり、企業のIPアドレスによる企業情報データベースや、名刺情報データベース、各種ビジネスパーソン向けメディアが保有する大量のデータと連携している。これにより、企業名、業種、職種、職位など細かいターゲティングとアプローチが可能になっている。また、レポート機能に関しては、広告配信後に業種、上場区分、売上規模、資本金などに関するデータをレポート形式で提供している。顧客はこのレポートを活用することにより、広告配信の実績とマーケティング戦略との整合性を確認したうえで、次回以降のマーケティング戦略に反映することが可能になる格好だ。

・自動車業界向け「IGNITION」
同プロダクトは、自動車業界に特化したマーケティングデータプラットフォームである。自動車専門メディアからの膨大なサイト閲覧データと「IGNITION」独自のAI分析を組み合わせることによって、来店につながる可能性が高い潜在顧客層を獲得することを可能にしている。具体的には、複数の自動車専門メディアや趣味に関するメディアのデータからユーザー毎の自動車購買可能性をスコア化し、購買までのユーザー行動を購買プロセスとしてモデル化している。そのうえで、購買可能性を基にした広告配信を実行することによって検討者数の最大化を実現している。大量のデータベースに加えて、購買プロセスのモデル化による的確なターゲティングと広告配信がユーザーに与えた影響を可視化して比較できる点も特徴だ。これらの機能によって、顧客が抱える「購買を予定している層に配信したい」「自動車関心層よりも細かいターゲティングをしたい」「来店しても成約につながる顧客が少ない」といった課題を解決している。

・飲料食品業界向け「Pantry」
同プロダクトは、飲料・食品業界に特化したマーケティングプラットフォームである。実店舗でのクレジットカード等の決済データや、各種ポイントサービスの履歴データを活用し、オフラインの実店舗での購買活動を基にした、オンライン上でのマーケティングを実現している。消費者が定常的に購入している飲料・食品ブランドを分析することで、ブランドスイッチを促すマーケティングをオンライン上で実現するなど、オフラインでの購買傾向を基にしたデジタルマーケティングを可能にしている。また、実施したデジタルマーケティングの効果が実店舗での製品売上にどれだけ寄与したのかを、購買データを基に分析することで、その広告効果を可視化するレポーティングも行っている。これらの機能によって、顧客が抱える「リアルな消費行動を元にしたマーケティングを行いたい」「デジタルマーケティング施策が売上にどの程度効果があったか把握したい」といった課題を解決している。

また、UNIVERSEの特徴の一つとして、「保有するデータを組み合わせることで、新規のシステム開発は必要なく、即座に新商品を提供することが可能」という点がある。UNIVERSEの保有データを活用した新たなマーケティングプロダクトは適宜市場に投入されており、直近の事例としては以下のものを挙げることができる。

・UNIVERSE for 全国旅行支援
同プロダクトは、「UNIVERSE」が保有するデータを活用した、地方自治体向け広告配信サービスである。旅行・お出かけ・イベント情報などのライフスタイル系を中心としたメディアデータやWeb上の行動履歴から分析したGoToトラベル・県民割の関心層などを掛け合わせることにより、全国旅行支援への興味関心を持っている層の導出を可能にしている。これにより、全国旅行支援の利用見込みが高い層をターゲティングした広告配信を行うことができる。また、広告の配信後は、効果計測として訴求に対しユーザーの関心が多かった地域を都道府県別に分析するサービスも提供している。加えて、Web上の行動履歴をもとにユーザーの旅行に求める興味関心・傾向などを可視化したレポートの提供なども行っている。これらのサービスを利用することによって、顧客である地方自治体は、より費用対効果の高いプロモーションを行うことが可能になる。また、効果計測のデータを活用して、将来のプロモーション戦略を立案することも可能だ。

・UNIVERSE for ふるさと納税
同プロダクトも「UNIVERSE」が保有するデータを活用した地方自治体向けの広告配信サービスである。ライフスタイル系や金融系のデータとWeb上の行動履歴を分析し、ふるさと納税への興味関心や寄付額の多い富裕層を導出することができる。また、位置情報データの活用によって、過去に観光で訪れた土地など、各都道府県にゆかりのあるユーザーを捉えることも可能にしている。これにより、地方地自体やふるさと納税へ親和性の高い層をターゲティングした広告配信を行うことが可能になる。また、広告配信後の効果計測も実施している。ユーザーのふるさと納税に対する興味関心・傾向などを可視化・分析したレポートの提供を行っている。顧客である地方自治体はより費用対効果の高い広告戦略を実行することができるようになる。さらに、効果計測のデータを将来のプロモーション戦略の立案に活用することも可能だ。

これらの業界特化型のプロダクトを提供している「UNIVERSE」の稼働アカウント数は、好調に推移している。2022年9月期第4四半期の累計稼働アカウント数は、前年同期比39.7%増の1,366件と急伸している。中小顧客を中心とした営業体制を新たに構築したことが稼働アカウント数の伸びに寄与した。加えて、同一顧客内で他ブランドへの横展開を促進するという戦略も着実に成果を挙げた。同社は主要KPIとして稼働アカウント数を設定している。各業界に特化することよって、より的確なデータ分析を可能にしている同社プロダクトに対する顧客ニーズは今後も高まることが予想され、稼働アカウント数は順調に推移すると弊社は推察する。また、業界に特化するということは業界特徴に合わせたデータを効率的に分析できるということに加えて、顧客企業のKPIを深く理解することにもつながる。KPIを理解していることにより、データから抽出したインサイトを適切にKPIと関連付けながら顧客に提案できるという点も魅力だと弊社は考える。顧客企業のKPIに対する深い理解とそれに基づく提案は、同社の長い事業活動の歴史に裏打ちされたものである。この意味で模倣困難性が高く、同社の競争優位になっていると言えるだろう。

「UNIVERSE」の収益モデルは従量課金型であり、顧客がマーケティング活動を行う度に同社に支払われる広告費とデータ費が売上として計上される仕組みになっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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