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MRO Research Memo(4):新たに「時間資源」創出支援を打ち出す。第1弾としてアルダグラムに15億円出資


■トピックス

1. 従来の購買プロセス以外の領域へ「時間資源」創出支援を拡大
MonotaRO<3064>は2000年の設立以来、20年以上にわたり右肩上がりの成長を遂げてきた。2010年以降は、周辺領域で新しい事業モデルを積み上げ、重層的な成長を達成してきた。たとえば、2010年に大企業向けに購買管理システム事業(大企業連携)に参入し、現在は売上高構成比で20%を超えるまでに存在感を増している。2013年には海外事業(韓国)に進出し、2019年以降は黒字化を果たし、なお成長を続けている。成長の主体は中小企業を主な対象とした事業者向けネット通販事業(monotaro.com)であり、今後も着実な成長が期待される。今後はインドネシア及びインドにおける海外事業の黒字化を目指すなど一段の成長を促すために、2022年に新たな戦略を打ち出した。

これまでの事業モデルでは、顧客が間接資材の購買プロセスにおいて発生する時間(探す、見積もる、価格交渉する、配送を待つなど)を削減することで、顧客に貢献してきた。言わば、間接資材購買プロセスの効率化による「時間資源」という価値の創出・提供である。2022年の新戦略として、「時間資源」の創出支援を従来の購買プロセス以外の領域へ拡大すると言う。たとえば、建設工程管理や顧客間連携などのシステムにおいて発生する時間を削減するというように、様々なサービスや物の提供への拡大を目指す。新戦略の第1弾として、同社は、プロジェクト管理アプリ「KANNA」を提供するアルダグラムへの出資(15億円)を実施し、業務提携したことを2022年6月に発表した。

2. 建設工程管理アプリのアルダグラムに15億円を出資
同社はアルダグラムへ15億円を出資し、業務提携したことを2022年6月に発表した。アルダグラムは2019年5月に設立されたスタートアップ企業で、プロジェクト管理アプリ「KANNA」を提供している。「KANNA」は建設業、不動産業、製造業などのノンデスクワーク業界における現場の生産性アップを実現する「プロジェクト管理アプリ」である。まず無料で導入できること、スマホで簡単に連絡・スケジュール・報告などが行えること、カスタマイズが容易なことなどが評価され、5,000社で導入されている。協業の構想としては、同社全顧客のうち、約2割となる建設・工事業の顧客に対し、「KANNA」のサービスを推奨し、建設現場の業務効率化と建設施工管理におけるコミュニケーションの効率化を支援するとしている。アルダグラムは「KANNA」の知名度向上を加速し、同社は「KANNA」利用者における「monotaro.com」の利用拡大を見込む。「時間資源の有効活用」という価値の提供の具体施策として、その成果に期待したい。

3. 外部環境リスクへの対応状況
2022年12月期の上期は、国際的な外部環境の変化が激しく、リスクへの対応が求められた。売上高の減少につながるリスクとしては国内企業の経済活動の減速があったが、現在のところ製造業を中心に注文単価や購入頻度は引き続き好調である。また、上海等のロックダウンに起因する欠品発生のリスクが一時期高まっていたが、物流ルートの変更や在庫数量引上げなどの対策を実施し、これまでのところ影響を限定的に抑えることができた。また、為替円安や物価高(原材料や原油)による仕入れ価格の上昇による粗利率低下の懸念についても、販売価格変更や割引キャンペーンの見直しなどを柔軟に行い、粗利率を維持した。実際に、2022年12月期第2四半期単体の商品粗利率は、同第1四半期よりも上昇し、販売価格変更等の施策が奏功したことが分かる。同社が輸入する商品には中国や台湾が生産国のものが多いため、今後も注視が必要ではあるが、これまでのところリスクマネジメントに成功していると言えるだろう。なお、2022年12月期の事業計画には、こうした一定の欠品リスク及び粗利率低下リスクが織り込まれている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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