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ディーエムソリュ Research Memo(5):アルゴリズム対応という課題を抱えるインターネット事業


■ディーエムソリューションズ<6549>の強みと課題、進化

1. 強みと課題
ダイレクトメール事業における強みは、その参入障壁の高さ自体に加え、100人近くの営業スタッフによる全国規模の展開力、価格競争力、企画・デザインから発送までのワンストップソリューション、フルフィルメントサービスのキャパシティにある。インターネット事業においては、蓄積されたSEOノウハウ、バーティカルメディアやインターネット広告の運用ノウハウ、Webサイトの構築力にある。こうした2つの事業を持つことも強みといえ、それぞれの事業価値を向上させることでシナジーを増幅、ネットとリアルにわたる新サービスや新規事業など新たな価値の創造も追求している。

(1) ダイレクトメール事業の強み
ダイレクトメールの市場は、規模が3,400億円程度で微減傾向にあると言われる。また、依然として小規模な印刷業者が印刷のついでに郵便の発送を代行していることが多い。このため、大手の同社でさえシェアが5%程度しかなく、集約化がようやく進み始めたニッチな業界と言うことができる。しかし、DMの減少要因は、インターネットの普及によって、同社では取り扱いのない年賀状や請求書が減っていることにあると言われている。したがって商用のDM市場は、実態として言われるほど縮小している可能性は低い。また開封率の高さから高単価商材や好景気業種の利用が意外と多いこともあり、全体のトレンドと異なって堅調と考えられる。

そのような業界において同社の強みは、100人近くもの営業スタッフを抱え全国規模で営業展開していることにある。同業の大手発送代行企業でも、同社ほどに営業スタッフを抱える体制にはなっていないように思われる。その結果、4,600を超える様々な業種の取引先を有し、年間4万件を超える案件を取り扱っていることから、景気に左右されにくい構造になっている。また、同社は中小規模の案件をメインターゲットとしているが、中小規模案件は顧客ニーズに合わせてカスタマイズする能力が必要となる。自社デザイナーを数人抱え、商品企画のできる部署もあるため、発送代行にとどまらず、企画やデザインなど顧客の求めに応じてワンストップのサービスが可能となっている。加えて、急成長するEC市場に対してはフルフィルメントセンターの拡充で対応しているが、上場企業の資金力を背景に、余裕あるキャパシティを持つことで積極営業を下支えすることができる。全国屈指のスケールがあるため、ゆうメールやメール便などの発送費においても強い価格競争力を維持している。

(2) インターネット事業の課題
インターネット事業のボラティリティがやや高いことは課題と言える。インターネット業界は日進月歩で新しい技術が開発されるため、常に新たな技術に関するノウハウを導入しサービスを拡充しないと、即座に優位性が失われるからである。また、インターネット広告もバーティカルメディアも検索技術の優位性が決め手となるが、定期的に行われる検索エンジンのアルゴリズム更新への対応がなかなか容易ではない。長年そうしたノウハウを積み上げ、今でも社内スタッフがアルゴリズムの変更に対応しているが、それでも集客が弱まることがあるため、気の抜けない作業を続けていく必要がある。2021年から続いている同社メディアへの顧客流入の低調は、まさにそうした課題が顕在化したといえる。現在鋭意対応中だが、コンサルティングなどを拡充しているデジタルマーケティングや元来のメディア作成能力に定評があることから、アルゴリズムというリスクをカバーしながら、成長が続くインターネット市場において最新の技術を追求していくことが肝心と考える。


ECが基盤2事業の間に納まることで進化が加速
2. ビジネスモデルの進化
ダイレクトメール事業とインターネット事業は以前からシナジーが期待されていたが、大きな効果として現れているとは言いづらい。そのようななか、これまでビジネスの核としてこなかったが、常に意識してアプローチしてきたEC領域が、ビアトランスポーツの子会社化で事業の形になってきた。ECとは、情報流と商流がバーチャルで、物流がリアルな商売である。商流は決済なのでアプリケーションとなるが、情報流は同社のインターネット事業がピタリと当てはまり、物流はまさにダイレクトメール事業そのものである。同社においてECがダイレクトメール事業とインターネット事業の要に納まることは自然といえ、同社のビジネスモデルの進化を示していると考える。2つの基盤事業の間に関連の深い新規事業が納まってくると、2つの事業の間でも共通課題や共同作業が生まれやすくなるため、今後、シナジーが大きく増幅していくことが予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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