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クロスマーケ Research Memo(3):環境変化に適応して事業セグメントを再構成


■事業概要

1. 事業内容
こうした業界環境の変化を受け、クロス・マーケティンググループ<3675>は2021年6月期に事業セグメントを再編した。もとよりマーケティングソリューションカンパニーを標榜していることから、DXで拡張したマーケティングプロセス全域に対応可能だが、事業再編によって特にリサーチ業務の深化とマーケティングツールの拡充が図られた。具体的には、デジタルマーケティング事業に、デジタルプロモーションやEC・マーケティング支援、システムの開発・保守・運用、人材サービなどのマーケティングツールを集約した。また、リサーチ業務をデータマーケティング事業とインサイト事業に分け、データマーケティング事業にはオンラインを中心としたデータ収集などの業務を集中させ、インサイト事業にはコンサルティングなどを集中させ、顧客の意思決定支援をサポートする体制を構築した。これにより、顧客にとってマーケティングDXパートナーとしてのポジションを明確にすると同時に、オンラインリサーチやマーケティングソリューションといった括りでは説明できない事業領域も取り込んでいく方針である。祖業でもあるリサーチ業務に関しては既に国内外でフルサポートが可能だが、デジタルマーケティングに関してはインターネット広告やメディア出稿など伸びしろが多いように見受けられる。

(1) デジタルマーケティング事業
デジタルマーケティング事業では、デジタルプロモーションやEC・マーケティング支援、システムやアプリの開発・保守・運用、IT人材サービスなど、ITビジネスにおける総合的なソリューションサービスを提供している。システム開発では、金融機関向けアプリやECの決済・ポイント管理といった堅牢性が求められるシステムや、会員数100万人規模の大規模なシステムの構築・運用などに強みがある。デジタルプロモーションでは、提携・連携により構築した大規模なパネルネットワークによる消費者データを活用し、正確で最適なプロモーションなど最先端のマーケティングサービスを提供している。マーケティング支援では、顧客ニーズに沿った多彩なメディアを運営している。中でも2021年1月に子会社化した、メーカーとの繋がりや商品在庫・ハンドリングに定評のあるドゥ・ハウスは、「モラタメ.net」や「テンタメ!」といったプロモーションメディアを運営、無料サンプリングプロモーション※を通じて独自の消費者ネットワークも有している。なお、ドゥ・ハウスの子会社化により、同社のプロモーションパネルはグループ全体で800万人の規模を誇ることとなった。

※サンプリングプロモーションとは、化粧品や飲料、食品などを消費者に配ってアンケートをとり、メーカーの商品開発や商品育成支援など多目的なマーケティングに利用する販促手法である。


(2) データマーケティング事業
データマーケティング事業では、オンライン及びオフラインリサーチによるデータ収集などのサービスを提供、顧客の事業活動やマーケティング活動の意思決定を支援している。オンラインリサーチで最も重視されるのがアンケートパネルの量と質である。量については、提携先も合わせたアクティブなアンケートパネル数が約524万人(プロモーションパネルの内数)と日本最大規模を誇り、グループ全体での調査数は年間約20,000案件にのぼる。質は、性別・年代・居住地といった基本情報のほか同居家族など基本属性を幅広く網羅しているほか、毎年会員登録情報を更新してパネルの基本属性を常に最新の状態に保っている。また、悪質な不正回答者を登録抹消するなどパネルの品質管理も徹底している。スムーズな調査を実現するため、自動車保有などあらかじめ特定のテーマでセグメントした専門的なパネルを多数用意している。

(3) インサイト事業
インサイト事業では、分析やレポーティング、コンサルティング、消費者のインサイト発掘といったソリューションを提供することで、顧客の意思決定を支援している。そのため、インサイトの発掘に向けて年間1,300件以上のグループインタビューを実施、試飲・試食などの会場調査も年間約360本とほぼ毎日行っている(コロナ禍の期間は中止または会場からオンラインにシフト)。SNSなどを利用した投稿データの分析や、アンケートデータと2次データを統合したデータドリブンなコンサルティングなども行っている。例えば、ヘルスケア・メディカル領域に特化した子会社メディリードでは、医師・医療従事者や患者のパネルを構築しており、そうした専門パネルに対するリサーチをベースに、健康管理プログラムや発症リスクモデルの策定支援、創薬・治験などに関する論文・研究・医療技術評価の支援サポートを行い、好評を博している。このような専門領域でのインサイト事業は、リサーチ企業側で専門人材の確保や新しい技術への対応などが必要なため、非常に付加価値が高く、新規参入しにくいサービスと言え、同社の強みとなっている。また、デジタルマーケティング事業の機能を機動的に活用した、トータルなマーケティングソリューションも提案することができ、強みとなっている。

(4) 海外事業
海外事業は、独立したセグメントではないが同社の将来を語るうえで重要な切り口となる事業で、データマーケティング事業とインサイト事業を世界10ヶ国、20拠点以上で展開している。2012年に中国に進出、2014年にはKadenceを子会社化するなど積極展開を進めていたが、2018年頃から収益の足を引っ張るようになり、2020年にKadenceに集中するなど構造改革に着手した。2021年後半には体制整備に目途がつき、米国を中心に収益改善が著しくなってきた。現在、日米欧の大企業向けに提供インフラの強化を進めているところである。


顧客のマーケティングプロセス全体に関わるビジネスモデル
2. ビジネスモデル
同社ビジネスモデルの特徴は、データマーケティング事業とインサイト事業のリサーチ機能(生活者の理解)と、デジタルマーケティング事業による実行支援を組み合わせることで、付加価値の高い総合マーケティングソリューションを提供していることである。具体的には、祖業のネットリサーチやオフラインリサーチなど生活者のデータを効率的に収集して生活者の“Why?”を分析し理解する。そうしたデータや理解に基づいて的確なマーケティングツールを活用することで、顧客のマーケティングの実行支援を行っている。また、同社はマーケティングプロセス全域に関わっているため、様々な場面で生じる顧客の課題解決も支援することができる。さらに、セールス、リサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となり、各事業が一体となることで、機動的に課題を解決するサポート体制も大きな特徴と言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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