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巴川紙 Research Memo(5):財務状況は2022年3月期に大きく改善


■業績動向

3. 財務状況
巴川製紙所<3878>は事業転換を図るなかで事業の統廃合、これに伴うリストラ費用が発生、一方では構造改革の進展、子会社化による収益基盤強化などもあり、設備投資を抑制しつつキャッシュ・フローのプラスを維持し、コロナ禍によるダメージを受けるなかでも財務体質の改善が進みつつある。2022年3月期第3四半期においては自己資本比率が30.9%と、2018年3月期の32.9%以来の30%台乗せとなった。2021年3月末の優先株の発行も含め主要金融機関からの支援体制は盤石であり、財務体質が改善するなかでシンジケートローンによる長期の支援体制も構築している。ただし、利益の振れ幅に左右されず持続的な開発投資を継続していくだけでなく、将来予想される優先株償還にも備えるためにはさらなる財務体質の強化が必要なことは明白である。利益のさらなる積み増しと同社グループとの補完により、今後いかに資産効率を上げていくか、また収益性の高い事業比率を上げて行くかが財務改善のポイントとなるだろう。

キャッシュ・フローについては2007年3月期に静岡事業所、清水事業所、巴川影像科技(恵州)有限公司、TFCにおいてFPD向け光学フィルム及び化成品製造設備増強等を集中的に行い、10,926百万円(2007年3月期総額は12,515百万円)の大型設備投資を行って以降は、基本的には設備投資を抑制している。そのため投資活動によるキャッシュ・フローは大きく膨らむことがなく、2022年3月期は構造改革に伴う資産売却収入もあり、フリーキャッシュ・フローの大小は営業活動によるキャッシュ・フローに大きく左右される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)


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