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日本リビング保証 Research Memo(1):独創的ビジネスモデルで持続的高成長と安定収益基盤の構築


■要約

日本リビング保証<7320>は、住宅業界をメイン市場として、「おうちのケア等の“住宅の一生”を面倒みる」をビジネスコンセプトに、住宅会社や住宅オーナーの困りごとを解決するソリューション企業である。創業メンバーの強いリーダーシップのもと、2009年の創業以来13期連続増収の持続的成長を果たしている。

1. 同社は企業成長サイクル上「成長期」にあり、今後も拡大と発展が続く
2022年6月期第2四半期業績は、売上高1,608百万円(前年同期比34.6%増)、営業利益467百万円(同191.6%増)と過去最高の売上高・営業利益を達成した。また、直近5年間だけでも売上高2.6倍、経常利益8.5倍と急成長を遂げている。

事業セグメントは「おうちのトータルメンテナンス事業(以下、おうち事業)」と「BPO※事業」の2つからなり、両事業とも過去最高の売上高(おうち事業は908百万円(前年同期比11.4%増)、BPO事業は652百万円(同106.3%増))を達成した。特に、新商品の「建物20年保証」と「蓄電システム機器の最長20年保証」の“ダブル(W)20年保証”が売上に大きく寄与した。同社は創業して14年目を迎えるが、企業成長サイクルの観点からみても「創業期」から「成長期」の軌道に乗り、今後もビジネスの拡大と新しいサービス創造が続くものと思われる。

※BPO(Business Process Outsourcing)の略で、業務の企画・設計から実施までの一部または全部を専門業者に外部委託すること。


2. 唯一無二の“ストック型とフロー型”ビジネスモデルで、健全な財務構造と安定収益基盤を確立
同社は創業と同時に、業界初の住宅設備の延長保証サービス「住設あんしんサポート」の提供を開始した。保証サービスの特徴は会計処理上、設備保証の売上・原価は保証期間に応じて前受収益・前払費用として按分計上される。設備保証料は一括キャッシュインされ潤沢な手元資金として留保され、成長投資や資産運用の原資となる。従って、収入からキャッシュ循環で成長投資を賄うため借入金は不要、極めて財務健全性に優れたビジネスモデルと言える。同社のビジネスモデルは、会員、契約数、契約残高を増やすことで、自動的に売上、利益に直結する所謂“ストック型ビジネス”と言える。

一方、2013年ごろからスタートしたBPO事業(メーカー保証制度の立上げ代行)は、当初は再生可能エネルギー関連(太陽光パネル、発電システム)が中心であったが、最近ではその中でも蓄電システム機器や家電関連としてGIGAスクール向けタブレットが大きく収益に貢献している。これらは、国や地方自治体の補助金関連であったり、社会的なニーズの高まりもありスピーディかつ、大きくビジネスが拡大する傾向がある。これは、“フロー型ビジネス”で、最初に「メーカー保証制度の構築」の一括受注となり、会計処理上は当期一括計上となる。原価がほとんどかからないため、売上が増えた分だけ利益も増える仕組み(一般には、リカーリングビジネス※とも言う)である。同社はストック型ビジネス(おうち事業)とフロー型ビジネス(BPO事業)を最適な組み合わせとすることで、財務健全性と持続的安定収益基盤を確立している。

※リカーリングビジネスとは従量制継続課金から得られる経常収益に頼るビジネスモデルのこと。米Gillette社のカミソリが有名。


3.保証会社から「おうち情報のトランスポーター」などビジネスモデルの再定義と創造へ
同社では、会社の存在意義(何のための会社か)を問い、「ビジネスの再定義」を行った。主力商品の「住宅設備の延長保証サービス」だけでは、顧客(住宅会社)の下請けのイメージを拭い去れず、それを脱却する必要があった。現在多くの業界では、IoT/AI基盤を活用したDX(データの蓄積と利活用)がビジネスのトレンドとなりつつある。これからは、「データを制するものはビジネスを制する」とも言われ、いかに有用なデータをマネジメントするかがDXビジネスの“キモ”となる。同社でも、「おうち情報」のプラットフォームを形成し、「便利」や「安心感」の顧客体験の浸透を図っている。これまで取り扱ってきた「おうち情報」(新築時の図面や設備、部位ごとの保証の有無、メンテナンスや点検のサイクル、資産価値等)を蓄積し、自在に出し入れすることで、住宅オーナーから住設機器の点検・修理・交換の要請があれば、いつでも住設メーカーを特定し、瞬時に保証情報を提供できるようにしている。また、例えば、データ(おうち情報)を制することで、より広い分野での新しい独自のサービスを積極的に提供することを計画している。

また、DX企画力やデジタル化に強い会社になることが喫緊の課題である。当面はデジタル人材率を現状の20〜30%から50%への引き上げを目指している。そのためには、IT専門人材(SE、プログラマー、データサイエンティスト、部門とITを繋ぐプロデューサー人材等)の採用とIT教育を推進している。同時に、IT企業との協業やM&Aも選択肢として進めている。

■Key Points
・同社は企業成長サイクル上「成長期」にあり、今後も拡大と発展が続く
・唯一無二の“ストック型とフロー型”ビジネスモデルで、健全な財務構造と安定収益基盤を確立
・保証会社から「おうち情報のトランスポーター」へ進化

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)


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