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Jトラスト Research Memo(5):2021年12月期業績は増収及び各利益は大幅な黒字転換(3)


■Jトラスト<8508>の業績動向

c) JTO
2018年10月に株式60%を取得しグループ傘下に収めたマルチファイナンス会社のPT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCE(以下、JTO)は、オートローン業界の老舗として高い知名度があり、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。従来の中古車ローンに加え農機具ローンや新車ローンなど新しい商品の提供を始めてきたが、コロナ禍に伴う市場の変化に伴い、2020年4月以降は農機具ローン以外の新規貸付を一旦停止し、慎重な与信スタンスを継続するなど戦略的に貸付を抑制している。この結果、2021年12月末の貸付残高は57億円に減少し、同社グループに占める役割は大きく低下している。貸付残高の減少に伴いNPL比率は上昇しているが、貸倒引当金控除後のネットNPLは3.46%にとどまる。

d) JTII
債権回収業のJTIIについては、これまでに蓄積したノウハウを活用して買取債権の回収拡大を進めている。2020年からはBJI以外の他社からの不良債権買取も開始している。コロナ禍におけるデスクワークにより生産性が向上したことに加え、架電や通知の強化及び競売数の増加により債権回収力が向上しており、2020年12月期は過去最高の回収を実現した結果、期中請求残高は減少した。しかし、秋口以降は複数社からの債権買取が実現し、2020年10月以降、請求残高は再び増加している。2021年12月期はコロナ禍の悪影響を大きく受けているが、10月~12月は感染状況に落ち着きが見られたこともあり、回収金額が1,004億ルピア(8億円強)と7~9月比57%増加するなど、四半期ごとの回収金額は期を追うごとに増加している。

e) TAID(ターンアラウンドアセットインドネシア)
韓国で知名度の高いTA資産管理の子会社として韓国系金融機関をターゲットとして設立した。債権買取と債権回収受託の2本立でスタートしたが、両事業ともに順調に進捗している。

現在は韓国系金融機関からの債権買取、回収受託をしているが、今後はJTIIは不動産担保ローン、TAIDは無担保ローンとにすみ分けて債権買取を行っていく予定である。

(4) 投資事業
投資事業では、シンガポールを拠点に、事業のシナジー性や商品力などを総合的に判断し、投資先を選定する。特に、金融事業や金融事業とシナジー効果が見込める事業に投資している。投資事業は、現在係争中のJTRUST ASIA PTE. LTD.が保有するGroup Lease Holdings Pte.Ltd.(以下、GL)に対する債権の全額について200億円超の貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、2019年3月期には大幅な損失を計上した。

2021年12月期の営業収益は642百万円(前期比32.6%減)、営業利益は5,445百万円(前期は1,651百万円の損失)となった。これは、GL関連の勝訴判決に係る受領額7,847百万円をその他の収益に計上したことによる。なお2021年8月には、上記判決に含まれていなかった124百万米ドルに係る損害の回復を求める訴訟を提起している。同社では既に十分な貸倒引当金を引き当てたことで、将来の回収金は利益計上されることになるため、今後も回収に尽力することでグループ全体の業績回復に貢献する計画である。

3. 財政状況と経営指標
2021年12月期末の資産合計は、前期末比80,168百万円増の610,631百万円となった。これは主に、JT貯蓄銀行の株式譲渡を延期し継続事業に分類したことにより、売却目的で保有する資産が155,835百万円減少した一方で、銀行業における貸出金が220,433百万円、銀行業における有価証券が26,294百万円増加したこと等による。負債合計は、同74,680百万円増の502,685百万円となった。これは主に、JT貯蓄銀行の株式譲渡を延期し継続事業に分類したことにより、売却目的で保有する資産に直接関連する負債が141,109百万円減少したことや社債及び借入金が40,863百万円減少した一方、銀行業における預金が253,515百万円増加したこと等による。また、資本合計については、同5,487百万円増の107,945百万円となった。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益を1,123百万円計上したことに加え、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が2,992百万円増加したこと等による。

以上の結果、2021年12月期末の親会社所有者帰属持分比率は15.7%(前期末は17.3%)となった。同比率は2017年3月期末の24.2%から低下しているものの、2021年3月期の東証1部銀行業平均の4.80%やその他金融業平均の6.21%を大きく上回る強固な財務基盤を維持している。今後は利益の積み上げに伴い、徐々に改善に向かうと予想される。

2021年12月期のキャッシュ・フローの状況としては、営業活動によるキャッシュ・フローは30,092百万円の収入となった。主な収入は、税引前当期利益の計上5,899百万円、銀行業における預金の増加89,804百万円、営業債権及びその他の債権の増加13,456百万円などであった。一方で主な支出は、非継続事業からの税引前当期損失の計上2,675百万円、銀行業における貸出金の増加77,316百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは10,002百万円の支出であったが、主な収入は銀行業における有価証券の売却15,140百万円、償還による収入2,403百万円などで、主な支出は銀行業における有価証券の取得30,051百万円などであった。財務活動によるキャッシュ・フローは20,813百万円の支出であったが、主な支出は長期借入金の純減7,023百万円、短期借入金の純減6,053百万円、短期社債の純減4,968百万円などであった。この結果、2021年12月期末の現金及び現金同等物は14,054百万円増加し、期末残高は74,648百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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