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DEAR・L Research Memo(4):子会社DLX-HDを加えセールスプロモーション事業の成長基盤が整う


■ディア・ライフ<3245>の事業概要

2. セールスプロモーション事業
(1) 様々な不動産業務に女性を派遣:ディアライフエージェンシー
会社設立時から手掛ける不動産業界向けの人材サービス業は、東京圏の不動産市況が活況なこともあり受注は堅調に推移してきた。同事業を手掛ける子会社のディアライフエージェンシーでは、ディア・ライフで不動産事業を行っている経験を生かし、不動産現場で役立つ人材を養成し、派遣している。人材派遣業界は大手から中小までの様々なプレーヤーが存在しているが、ディアライフエージェンシーは不動産業界に特化しているため、専門性の高い人材がそろっているのが最大の強みである。分譲・賃貸を問わず物件説明や案内を担当する営業サポート、総合受付や応接室管理などの受付業務、営業支援のモニター・調査・ポスティング業務、賃貸物件でのコンシェルジュサービスなど様々な業務分野への派遣を行っている。派遣スタッフはもとより同事業に従事する従業員の全員が女性であり、女性の社会進出を支援しているという側面もある。

派遣スタッフはその実務に即した基本的な研修を実施した後に現場に派遣しており、派遣後も顧客である大手不動産会社からのフィードバックをもとに派遣スタッフへのきめ細かいフォローアップを施している。このような丁寧な仕事ぶりが、派遣先の不動産会社と派遣スタッフ両者からの信頼を得て当事業の好循環につながっている。優良な派遣スタッフを数多く抱える同社には、大手不動産会社からの継続的な需要がある。コロナ禍においては、モデルルームの営業休止などは発生したが、現在は再開し、今後も堅調な業績が見込まれる。

(2) ポテンシャルの大きい金融・保険分野の非対面(コールセンター)/人材派遣:DLX-HD
DLX-HDは、光通信<9435>傘下で保険サービス事業などを行うNFCホールディングス<7169>が2020年12月に設立した会社で、コールセンターによる保険契約の取次業務人員に特化した専門派遣を展開するN-STAFFを傘下に持つ。昨今のコロナ禍において、非対面型のアウトバウンド向けコールセンターの需要は急速に伸びている。

(3) 業績推移
セールスプロモーション事業の売上高は、不動産業界の活況を追い風に右肩上がりで推移してきた。新規開拓や営業・バックオフィス・アフターサービス系職種など幅広い分野のオーダーに対応できる体制を整えていることも成長の要因だ。2021年9月期に大幅増収となったのは、下期から子会社DLX-HDの業績が計上されたからである。セグメント利益が2017年9月期をピークに減少傾向にあるのは、人件費の上昇やサービス体制の質量面の向上を目的とした投資などにより、事業コストが増加したことが要因だ。2020年9月期からは、コロナ禍の影響による派遣需要の減少による。

3. 関連会社パルマ
(1) 成長性が高いセルフストレージ市場
セルフストレージ市場は潜在成長力の高い市場である。持分法適用関連会社で2015年に東証マザーズに上場したパルマは、この高成長が期待されるセルフストレージ事業者向けのサービスを多面的に提供しており、業界におけるサービスプロバイダーとしての第一人者である。上場を果たしたことで認知度・信用力がさらに高まったパルマは、今後もこの成長余地の大きいセルフストレージビジネスを支えるマーケットリーダーであり続けることが大いに期待される。

「セルフストレージ」とはレンタル収納スペースの総称であり、今後個人利用の大きな拡大が見込まれている。個人利用では主に家財・日常使用頻度の低い物品の保管などに利用される。遺品の保管や、都心の狭小住空間を補完する収納空間としての需要が増えてきており、また引越し・移転や離婚時の一時的な荷物保管としてのニーズも大きい。このように個人の潜在需要が大きく見込まれるため、物件供給やサービスの普及に合わせて市場の急拡大が予想されている。

(2) 競争力の高いセルフストレージ事業者向けサービス
事業の2本柱は「ビジネスソリューションサービス」、「ターンキーソリューションサービス」である。2021年9月期は、「ビジネスソリューションサービス」は堅調だったものの、「ターンキーソリューションサービス」が前期実績を下回り、売上高3,637百万円(前期比20.0%減)となった。

パルマが行う「ビジネスソリューションサービス」とは、ユーザーからの問い合わせ対応、申し込み・解約受付、日々の集金・決済手段提供、入金管理、滞納保証・管理はもちろんのこと、さらには物件の巡回清掃までの実務を一手に代行する業務だ。事業者は、数多くのエンドユーザーへの個別対応や、小口入出金の多い資金管理を一括してアウトソーシングできる。既に相応の受託シェアを有するパルマのビジネスソリューションサービスは効率的なオペレーションを提供できていることから、競争力が非常に高い。直近では、同サービスの特徴である、Web等を活用した非対面での受付・契約代行サービスが、コロナ禍におけるニーズに合致し、受託機会が増加している。また、国内最大級のWEB予約決済・在庫管理システム「クラリス」の運営とWeb集客サイト「クラギメ」の管理運営代行をしており、事業者の効率的な事業運営をサポートしている。

パルマの「ターンキーソリューションサービス」は、事業計画から物件開発、運営までのフルサービスを提供する。新商品を求める大手不動産事業者、ポートフォリオの多様化を図る不動産投資家、海外での先行事例を熟知している海外投資家など多くの潜在投資家が日本のセルフストレージ市場への投資に関心を持っている。パルマが提供する「新規開業に必要なサービスをパッケージにしたターンキーソリューションサービス(あたかも鍵を回すだけで運転可能な施設を提供するサービス)」の潜在需要は非常に大きい。

(3) 日本郵政グループの経営資源を有効活用し新たな発展ステージへ
2018年5月、パルマは日本郵政グループの100%子会社である日本郵政キャピタル(株)を割当先とする第三者割当増資を実施した。さらに、日本郵政キャピタルとのパートナーシップをより強固なものとすること、パルマの既存株主への希薄化の影響を最小限にとどめるために、同社から日本郵政キャピタルへパルマ株式の一部を譲渡。この一連の資本政策により、日本郵政グループのパルマ株式所有比率は19.24%、同社の所有比率は61.12%(連結対象)から39.96%(非連結)となっている(2021年9月末時点)。

パルマにとっては、信用力・財務基盤が強化されるとともに、日本郵政グループの保有資産の有効活用の一環としてセルフストレージ施設を供給するなど、大きな成長機会の創出が期待できる。日本郵政グループとしても全国23,794(2021年9月末)の郵便局施設をはじめとした、保有資産の収益性・ 資産効率の向上が可能となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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