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コスモ・バイオ Research Memo(2):世界のライフサイエンス研究に貢献する独立系のバイオ専門商社


■会社概要

1. 会社概要
コスモ・バイオ<3386>は世界のライフサイエンス研究の進歩・発展に貢献する独立系のバイオ専門商社である。グループ企業は同社、連結子会社2社(ビーエム機器(株)、Cosmo Bio USA, Inc.(以下、CBU))、非連結子会社1社((株)プロテインテック・ジャパン)で構成されている。ビーエム機器はライフサイエンス研究に使用する機器類・消耗品の輸入及び国内販売、CBUは北米を中心とした新規製品・仕入先の探索及び日本以外の全世界向け販売を行っている。プロテインテック・ジャパンは米国PGI との合弁会社(同社出資比率51%)で、日本におけるPGI製品のプロモーションやテクニカルサポート等を通じてPGI製品の拡販を推進している。

また出資先として、組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ(株)、創薬ベンチャーのファイメクス(株)(武田薬品工業<4502>のアントレプレナーシッププログラムによって設立されたカーブアウトベンチャー)、ペプチド創薬支援で業務提携している創薬ベンチャーのメスキュージェナシス(株)(以下、MJ)などがある。

2. 事業の概要
同社は、世界の大学・公的研究機関・検査機関・民間企業・病院などの研究室で使用される基礎研究分野の研究用試薬・機器・消耗品・臨床検査薬を国内外で販売している。2021年12月期第2四半期累計の売上高構成比(連結ベース)は研究用試薬が75.6%、機器が23.2%、臨床検査薬が1.3%となった。研究用試薬を主力としている。研究用試薬とは実験・研究・測定のために使われる薬剤である。ライフサイエンス研究は広範囲に様々な分野で行われ、研究者一人ひとりが、それぞれ異なったテーマで研究を行っているため、タンパク質研究用試薬、遺伝子研究用試薬、組織培養研究用試薬、その他バイオ研究用試薬、バイオ研究用機器、創薬支援・受託サービスなど、多種多様な試薬・技術情報・サービスが必要となる。

3. 特徴・強み
グローバルな仕入ネットワークと業界最大級の品ぞろえの商社機能及びグループ内の製造・受託サービスのメーカー機能を強みとして、抗体分野を中心とする多様な顧客ニーズに対応して、多種多様な製品・技術情報・サービスをワンストップで提供している。仕入面は全世界に約600社(うち海外が400社以上)のグローバルネットワークを構築し、取扱品目数は自社ブランドを含めて業界最大級の約1,200万品目に達している。販売面は国内で全国をカバーする約200拠点の販売代理店網を構築し、海外は米国の連結子会社CBUが展開している。

4. 製造・受託サービス強化
成長ドライバーとして自社製造・受託サービスのメーカー機能を強化している。仕入で充足できないニーズに対して「自ら作る、サービスを提供する」ことで、ソリューションを提供する。特にカスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業、及び鶏卵バイオリアクター事業の規模拡大・収益化に注力している。

2006年12月に、初代培養細胞(プライマリーセル)の研究開発・製造・販売・受託解析を行うプライマリーセルを連結子会社化(2013年7月吸収合併)して試薬製造・受託試験事業に参入した。2017年10月には研究用試薬の自社開発・製造及び受託サービス事業の強化を目的として札幌事業所(北海道小樽市)を開設した。そして2016年12月にカスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業に本格参入、2019年7月に鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業を開始した。

5. 国内外の各種関連法規・取扱基準・規制に精通
製品のなかには薬機法、毒物及び劇物取締法など、関連法規や行政指導に該当するものが多く含まれている。動物由来もしくは動物由来の成分を含む場合には、輸入・輸出の際に動物検疫対象となる。また海外からの輸入品の場合には、関連法規や取扱基準・規制が日本と異なっていることが少なくない。このため製品の仕入・保管・販売に関しては、国内外の関連法規・行政指導による取扱基準・規制に精通して対応することが必要になる。また試薬の多くはタンパク質や核酸・細胞など生物由来の物質、いわゆる「ナマモノ」であるため、仕入から保管・納品まで厳重な温度管理が必要となる。こうした国内外の各種関連法規・取扱基準・規制に精通し、保管に関しても各種温度帯を備えた物流センターと入出荷ノウハウによって適切な温度管理を徹底している。このような対応力においても競合優位性を持っている。

6. 収益特性・リスク要因
収益に影響を与えるリスク要因としては、大学・公的研究機関の公的研究費や企業の研究開発費などライフサイエンス研究関連費用の支出動向、為替変動、海外仕入先のM&Aや日本における販売体制の改変、業界内の競合、法規制の変更などがある。

為替変動については、仕入の6~7割が輸入品のため、仕入原価が為替変動の影響を受けやすい。ドル高・円安は仕入原価上昇要因、ドル安・円高は仕入原価低下要因となる。為替変動リスクに対するヘッジ策としては、実需の一定範囲内で為替予約を行っている。なお仕入の通貨別割合はドル建てが6割、円建てが3割、ユーロ・その他が1割前後となっている。また収益特性として季節要因がある。大学・公的研究機関の公的研究費及び民間企業の研究開発費の支出は、国の年度末や民間企業の決算期末1月〜3月に多くなり、新年度入りした4月〜6月に少なくなる傾向がある。このため同社の売上高及び利益も第1四半期(1月〜3月)の構成比が高く、第2四半期(4月〜6月)の構成比が低い特性がある。ただし公的研究費で年度繰越や複数年予算が認められるようになり、年度末に予算消化が集中する傾向が緩やかになっているため、同社の四半期収益も徐々に平準化が進むと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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