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霞ヶ関キャピタル Research Memo(6):ポストコロナを見据えて、物流施設開発事業の大幅拡大を計画(2)


■霞ヶ関キャピタル<3498>の事業別の取り組み

4. 保育園開発事業
保育関連市場は、女性の社会進出に対する意識の変化や政府による女性活躍推進により、共働き世帯数や女性の就業率が依然として上昇傾向にあることから、保育に対する需要は引き続き高い。また、こうした需要に対応するため、政府及び自治体が保育の受け皿拡大を目的に保育士確保や保育所整備の施策を進めており、保育所の新設に対する需要は当面の間継続すると見込まれる。

同社は東京都23区に、さくらさくみらい入谷保育園、練馬区、大田区、目黒区、江東区、文京区、世田谷区の7ヶ所の開園・企画実績があり、今後も開発用地のソーシングを進める計画だ。ただ、保育園開発はサイズが小さく、粗利も低いことから、同社の事業としての優先順位は低いと見られる。

5. 再生可能エネルギー発電施設開発事業
国内再生可能エネルギー市場は、固定価格買取制度※の下での買取実績及び設備認定容量が引き続き増加基調にある。しかし、事業化される見込みの薄い多数の太陽光発電施設等の設備認定案件により送電網が押さえられ、一部地域においては新規の有望案件の事業推進が困難になる状況が生じていた。この状況を踏まえ、経済産業省が「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」を設置するなど、再生可能エネルギーの大量導入に伴い顕在化しはじめた系統制約や調整力確保、国民負担の軽減等の新たな課題の解決に向けた議論も本格化している。

※太陽光発電等で発電した電気をすべて、固定価格で電力会社が買い取る制度。


2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において掲げられた2030年度の目標(国内総発電量に占める再生可能エネルギー発電の割合を22~24%とする目標)では、太陽光発電は2018年度の6.0%から2030年度には7.0%程度に拡大する計画だ。これに対して風力発電の比率は、2018年度の0.7%から2030年度には1.7%程度へと、比率は低いものの成長率は最も高くなる計画である。再生可能エネルギー導入に対する政府の支援姿勢は継続し、今後も国内再生可能エネルギー市場はより一層拡大していく見通しであるが、地球温暖化に対応する世界の潮流もあり、安心・安全な再生可能エネルギーへのシフトが政府の計画以上のペースで進むことも予想される。

同社では、北海道から鹿児島県まで全国25件の太陽光発電施設を開発し売却済であるが、2021年3月には北海道松前郡松前町で稼働済みの小型陸上風力発電施設8基及び開発用地を取得し、想定される年間発電量は同社本社オフィスの使用電力量をカバーする電力量である。また、これまでのノウハウを生かし、大型風力発電施設開発にも参画を予定しており、今後はオフィスだけでなく、保有物件や開発物件にも対象範囲を拡大する予定だ。さらに、取得した土地については、協働パートナー及び関係機関と共に風力発電所開発に向けて準備を進める。同社では、既に成熟傾向にある太陽光発電ではなく、成長性が高く利益幅も大きい風力発電に注力する方針だ。また、バイオマス発電(動植物から生まれた生物資源を直接燃焼やガス化などによって発電するもの)への投資も考えているようだ。

6. 海外事業
海外事業としては、ASEANの中で最もインフラが整っているタイと、人口が現在の2億6,000万人から3億人に増加すると予想されるインドネシアに現地法人を設立している。タイは、日本とアジア、そして世界をつなぐ「ハブ」となる立地であり、高速鉄道・路線複線化計画により国内交通インフラの整備が進められている。同社は2018年8月に、世界中に複数の上場会社を傘下に持つ、世界有数のコングロマリットCharoen Pokphand Groupの関連子会社であるAlpha Capital Enterprises Limitedの株式を取得し、そのネットワークを今後の事業展開に活用する考えだ。また、インドネシアは多くの島々で成り立っており、太陽光をはじめとする分散型電源が求められていることから、同社の持つノウハウを活用する計画だ。

同社の海外事業での役割は、事業を企画し、適切なファイナンスで資金を調達して販売するスキームを作り上げ、日本の投資家、デベロッパー、事業会社に、海外への水先案内人として投資機会や事業機会を提供することである。当面はコロナ禍に伴い人々の往来にも制約があるため海外事業での大きな進展は難しいが、長期的には有望な事業分野と言えよう。

このように、同社は様々な分野で事業を意欲的に展開しており、今後も次々と新事業に参入する考えである。現状では対外的に中期経営計画を発表していないが、会社としての経営方針を明確化し、投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は有意義であると弊社では考える。特に同社株の長期保有を考える投資家は、会社の2~3年先のビジョンや業績計画に基づいて投資判断をする傾向が強い。現状はコロナ禍により事業環境が先行き不透明であり、計画の策定が困難であろうが、経済環境が落ち着いた段階での中期経営計画の発表を期待したい。

7. SDGsへの取り組み
2015年9月の国連サミットで採択され掲げられたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に基づき、誰一人として取り残されない社会を目指して、世界中で取り組みが始まっている。同社も、事業活動を通してSDGsの達成に積極的に貢献し、持続可能な社会の実現のため社会問題解決に取り組むためのESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の略)経営を行っている。

同社は、同社の成長がより良い社会への前進につながることをビジネスポリシーに掲げている。実際、冷凍冷蔵物流施設開発は環境問題・地球温暖化問題に、アパートメントホテル開発は地方創生に、認可保育園開発は待機児童問題に、再生可能エネルギー発電施設開発はエネルギー問題に貢献している。また同社は、社会貢献活動の一環として、新型コロナウイルス感染症と最前線で闘う医療関係従事者向けに、2020年2月15日に開業したアパートメントホテル「AKARI 上野入谷」(19室)を、2020年5月18日から6月30日まで無償提供した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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