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テンポイノベ Research Memo(3):店舗転貸借事業が主力事業


■テンポイノベーション<3484>の事業概要

1. 報告セグメント区分
報告セグメント区分は、飲食店向けの居抜き店舗物件に特化して転貸借する店舗転貸借事業及び不動産売買事業(2020年3月期第2四半期から報告セグメント追加、売上高及び利益には売買物件保有期間における賃料収益を含む)としている。

2020年3月期の売上高は店舗転貸借事業が9,385百万円(売上構成比94.0%)で不動産売買事業が599百万円(同6.0%)、営業利益は店舗転貸借事業が568百万円(営業利益構成比72.4%)で不動産売買事業が216百万円(同27.6%)だった。なお構成比は不動産売買事業における物件売却によって変動する。


店舗転貸借事業は東京・飲食店・居抜き店舗に特化
2. 店舗転貸借事業
(1) 店舗転貸借事業の概要
店舗転貸借事業は、不動産オーナーから賃借した店舗物件を店舗出店者に転貸借する事業である。出店・起業希望者が多く、出店費用を抑えることができる飲食店の居抜き店舗の転貸借に特化して事業展開している。

ターゲットエリアは、飲食店舗が集中して需要が見込める東京23区を中心とする首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)である。主要顧客は低コストで飲食業の出店・起業を希望する小規模事業者である。

賃借する店舗物件は、不動産業者・提携先・既存出店者等の紹介や「店舗買取り.com」を通じて仕入れ、転貸借する出店希望者は不動産業者の紹介や「居抜き店舗.com」を通じて獲得する。「居抜き店舗.com」の累計会員数は2020年3月期末時点で62,862名となった。


店舗のプロが関わることでALL Win
(2) ALL Winのビジネスモデル
店舗転貸借事業は、各方面それぞれにメリットがあるビジネスモデルである。不動産オーナーにとっては賃貸料収入の安定や店舗出店者管理からの解放、不動産業者にとっては店舗物件紹介や出店希望者仲介による収益獲得機会の増加、店舗出店者にとっては居抜き店舗を利用することによる出店費用の負担軽減や物件開発活動工数の削減、店舗撤退者にとっては原状回復工事等の閉店費用・業務上の負担軽減というメリットがある。店舗物件に関わる登場人物が多岐にわたり、利害内容も複雑なため、同社のような店舗物件専門のプロが関わることでALL Winが可能なビジネスモデルとなる。


ランニング収入が積み上がるサブスク(ストック)型ビジネス。転貸借物件数は増加基調
(3) サブスク(ストック)型ビジネス
店舗転貸借事業の収益モデルは、不動産オーナー・不動産業者に対して賃料・仲介料等を支払い、店舗出店者から賃料・手数料等を得る。この差額(転貸差益額)が同社の収益となる。

店舗出店者との成約時に得るイニシャル収入(礼金・手数料や造作販売等の一時的収入)は成約件数等によって変動するが、ランニング収入(賃料、更新料)は成約以降、退店に伴う解約まで継続的に計上される。そのため、転貸借物件(賃借した物件のうち店舗出店者と転貸借契約を締結している店舗物件)数の増加に伴って積み上げるサブスク(ストック)型ビジネスモデル(転貸借物件数×転貸差益額)となる。同社は、積極的な店舗開拓を推進して転貸借物件数が増加基調であり、サブスク(ストック)収益の積み上げによって売上高も増加基調である。2020年3月期末の転貸借物件数は2010年3月期末比11倍強の1,684件となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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