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藤商事 Research Memo(3):2021年3月期第2四半期累計業績はコロナ禍で減収、営業損失に


■業績動向

1. 2021年3月期第2四半期累計業績の概要
藤商事<6257>の2021年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比41.9%減の6,617百万円、営業損失で3,373百万円(前年同期は1,319百万円の営業損失)、経常損失で3,332百万円(同1,377百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失で3,823百万円(同1,266百万円の四半期純損失)となった。コロナ禍による政府の緊急事態宣言発出に伴い、4月−5月にかけてパチンコホールが休業し遊技機の購入もストップしたほか、営業再開後も客数が8割前後までしか戻らず、遊技機の購入意欲も低迷するなど、業界全体の厳しい市場環境を反映する結果となった。

売上高の内訳を見ると、パチンコ遊技機が前年同期比41.8%減の6,612百万円、台数で同11.8千台減少の16.6千台と大きく落ち込んだことが減収要因となっている。パチスロ遊技機については、型式試験※の適合取得に時間を要しており、2021年3月期第2四半期累計期間での新機種の販売がなかった。

※遊技機の製造・販売については、風営法等に定める「技術上の規格」への適合について、指定試験機関による型式試験及び各都道府県公安委員会による検定を受ける必要がある。


売上総利益率は前年同期の51.7%から45.1%に低下したが、これは減収要因に加えて当第2四半期累計に発売した2機種がともに本体販売の機種となり、材料費率が上昇したことも要因となっている。同社の販売形態は外枠も含めた本体販売と、外枠を残したまま盤面(パネル)とサイドユニットのみを入れ替えるパネル販売の2通りがある。本体販売はパネル販売(盤面及びサイドユニットの交換)と比べて部材費が多くなるため、販売単価が高くなる反面、売上総利益率は低下する。ただ、営業利益ベースへの影響はほとんどなく、次機種への入れ替えをホール側は低コストでできるため、シェアの維持向上につなげていくことが可能となる。

販管費率は前年同期の63.3%から96.1%に上昇し、金額ベースでは同11.8%減となった。項目別で見ると、変動費となる販売手数料が前年同期比45.2%減の164百万円、広告宣伝費が同16.7%減の105百万円となったほか、経費の削減等に取り組んだことでその他販管費についても同19.0%減の1,912百万円と減少した。ただ、販管費の中で大きな比重を占める研究開発費については、下期以降も新機種投入を継続していくため水準を落とさず、4,177百万円と前年同期並みとなり、販管費率上昇の主因となっている。


パチンコ遊技機で2機種を投入、「Pリング 呪いの7日間2」の稼働は好調だったもののコロナ禍で販売台数は伸び悩む
2. パチンコ・パチスロ遊技機の販売動向
パチンコ遊技機に関しては2020年4月に「Pリング 呪いの7日間2」、同年7月に「P遠山の金さん2 遠山桜と華の密偵」の2機種を投入した。「Pリング 呪いの7日間2」については、ゲーム性を高める「遊タイム」機能※を搭載した同社初の機種でゴールデンウィーク明けを狙って拡販を進めていく予定であったが、パチンコホールの休業期間と重なった影響で販売台数は9.9千台にとどまった。ただ、ホールでの稼働そのものは好調だったようで商品力の強さは維持しているものと考えられる。また、シニア層を中心に前機種が好評だった「P遠山の金さん2 遠山桜と華の密偵」についても、コロナ禍によってシニア層の客足の戻りが鈍かった影響で稼働が低迷し、販売台数は6.7千台と計画を若干下回ったものと見られる。

※「遊タイム」とは、低確率時に規定回数まで大当たりしなかった場合に、時短モードに突入する機能で、時短モードに入ることで、遊技者は一定回数分の大当たり抽選を、保有玉をほぼ減らすことなく行うことが可能となる。



無借金経営で手元キャッシュは160億円超え、財務の健全性は高い
3. 財務状況と経営指標
2021年3月期第2四半期末の総資産は前期末比5,396百万円減少の41,261百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産は収益悪化に伴って現金及び預金・有価証券が4,825百万円減少したほか、売上債権が1,562百万円減少、一方で、棚卸資産が811百万円増加した。また、固定資産では有形固定資産が91百万円、投資有価証券が890百万円それぞれ増加し、繰延税金資産が744百万円減少している。

負債合計は前期末比1,725百万円減少の4,926百万円となった。流動負債で仕入債務が1,301百万円、未払法人税等が100百万円それぞれ減少した。また、純資産は同3,670百万円減少の36,335百万円となった。保有株式の時価上昇に伴い、その他有価証券評価差額金が706百万円増加したものの、親会社株主に帰属する四半期純損失3,823百万円の計上と配当金支出559百万円が減少要因となった。

財務指標を見ると、自己資本比率は前期末の85.7%から88.1%に上昇し、流動比率も同様に631%から804%に上昇、手元キャッシュは前期末の218億円から169億円と減少したとはいえ依然高水準であり、無借金経営でもあることから財務の健全性は確保されているものと判断される。当面の課題は収益の回復となるが、コロナ禍において遊技機業界全体に逆風が吹くなかで、いかにパチンコユーザーやホールから支持を集める魅力的な機種を開発できるかがカギを握っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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