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リソー教育 Research Memo(1):新型コロナウイルスに対する徹底した感染防止対策が奏功、生徒数は回復軌道へ


■要約

リソー教育<4714>は“完全個別指導”と“進学指導”とを組み合わせた独自のビジネスモデルを構築し、事業領域を拡大している教育サービス企業である。幼稚園・小学校受験指導の(株)伸芽会や家庭教師派遣事業の(株)名門会、学校内個別指導の(株)スクールTOMAS、ツアー体験企画や体操教室などを行う(株)プラスワン教育などを子会社に持つ。

1. 新型コロナウイルス感染症対策と業績への影響について
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う政府の緊急事態宣言発出に伴い、同社グループでは「TOMAS」「名門会(教室指導のみ)」について2020年4月8日から22日までの2週間、完全休校としたほか、「伸芽会」についても4月8日から5月7日まで完全休校とした。「TOMAS」では休校期間中に教室の改修工事を行い、独自の徹底した感染防止対策を講じて学習塾業界の中ではいち早く授業を再開し、その様子はテレビのニュース番組でも取り上げられた。徹底した感染防止対策によって、安心して通塾できる環境を整えたことが評価され、生徒数も8月には前年同月比でプラスに転じ、その後も増加基調が続いており、徹底した対策を迅速に講じたことで、生徒数並びに業績の回復も早期に実現できる見通しとなっている。

2. 2021年2月期第2四半期累計業績の動向
2021年2月期第2四半期累計(2020年3月−8月)の連結業績は、売上高で前年同期比14.5%減の11,109百万円、営業損失で460百万円(前年同期は1,166百万円の利益)となった。コロナ禍によって、一時的に休校を強いられたことで、主力の「TOMAS」を中心にすべての事業で売上高が前年同期比で減少と低迷した。また、新型コロナウイルス対策費用等を計上したことが減益要因となった。最も影響の大きかった2021年2月期第1四半期は前年同期比21.2%の減収となったが、第2四半期は同9.8%減と減少率も縮小に向かっている。

3. 2021年2月期業績見通し
2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比2.6%減の26,000百万円、営業利益で同44.4%減の1,510百万円となる見通しだ。2021年2月期下期だけで見ると売上高は前年同期比8.6%増、営業利益は同27.0%増を見込んでいる。「TOMAS」の生徒数は2020年10月時点で前年同月比3%増と増勢に転じており、受験に向けて生徒1人当たりの授業回数も増加する見通しだ。「伸芽会」についても10月時点で生徒数が同8%増と好調に推移している。「名門会」については生徒数の回復が若干遅れているものの、オンライン授業を開始したこともあり、今後はキャッチアップできる見通しだ。また、上期は学校の休校に合わせて休校を強いられていた「スクールTOMAS」についても、学校再開に合わせて売上が回復に転じており、個別指導に加えてオンライン授業の提供も行っていることから問い合わせ件数も増加傾向にあり、2022年2月期以降の成長が期待できる状況となっている。

4. 成長戦略について
同社は今後の成長戦略の1つとして幼児教育分野の拡大を掲げており、その一環として、2020年9月にコナミスポーツ(株)と業務提携、ヒューリック<3003>と資本業務提携をそれぞれ締結した。コナミスポーツとは互いが展開している幼児向け教育サービス(「伸芽’Sクラブ」「運動塾」)において、相互のサービスを受けられるようにし、同社では「伸芽’Sアカデミースポーツ(仮称)」として提供する。また、ヒューリックが今後開発する子ども向けのワンストップ・サービス型ビルのテナントとして、同社の「伸芽’Sクラブ」、コナミスポーツの「運動塾」が入居し、子ども向け教育サービスを総合的に提供していく構想を描いている。ヒューリックによれば、2022年に第一弾を開業し、2029年までに首都圏に20棟程度を開発していくようだ。立地場所の探索が課題であった同社にとっては、幼児教育の一段の拡大につながる取り組みとして注目される。そのほか、個別指導学習塾に関しては、首都圏で「TOMAS」、首都圏以外の地域では名門会にて「TOMEIKAI」のブランドで新規開校を進めていくほか、「スクールTOMAS」についても現在60校弱の導入校数を早期に100校まで拡大していくことを目指している。コロナ禍の影響で業績は一旦足踏みするが、2022年2月期以降は再成長ステージに入るものと予想される。

■Key Points
・TOMAS、名門会、伸芽会を中心に各種教育サービス事業を展開
・徹底した感染防止対策が評価され生徒数が回復、2021年2月期の下期は増収増益に転じる見通し
・コナミスポーツ、ヒューリックと提携して幼児教育事業拡大に向けた取り組みを開始する

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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